Caparison Guitarsの拘り ヘッド編 | MUSICLAND KEY SHIBUYA 1Fスタッフブログ

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MUSICLAND KEY 渋谷店1Fスタッフによるブログです。
気になる機材や豆知識等を不定期に綴っていこうと思います。

こんにちは。渋谷店2Fスタッフの和田です。

ついに東京都でも35度を記録し、猛暑日との事です。

室内でも油断はできないので、小まめな給水を心がけております。

こうも気候が変化すると楽器のメンテナンスも大変ですが、

まずは自分の体のメンテナンスを…。

 

さて、本題に入ります。

前回ではブリッジに焦点を当てましたが、

今回はCaparison Guitarsの顔ともヘッドシェイプについて。

まずはこちらをご覧ください。

このシェイプは

 

Devil’s Tail

 

と名付けられています。

まさに見たままのネーミングではあるのですが、

このシェイプにも細かな拘りが詰め込まれているんです。

 

まずはこのシェイプになった流れから。

ヘッドをデザインする中でまず重要なのがペグの位置。

ネックのスケールやナットからの距離で弦の振動は変化します。

的確な位置にペグ位置を決めないと、共振したり、デットポジションが出来てしまう場合があります。

ギター全体のバランス見て配置されたのがこの位置関係なのです。

位置が決まったところでついにヘッドシェイプが決まった訳なのですが、この決まり方が凄い。

 

1弦ペグから4弦ペグの方へカーブを描き、そして6弦ペグから5弦ペグへの

カーブの延長線をつなげようと。

あ、繋がらないかも…。

いや、繋げる!!ちょっと尖るかも

 

ここまできたら尖らせてしまえ!!

 

との事です。

ペグ位置のこだわりの話が吹き飛んでしまうレベルの決め方ですが、

ここにもしっかりと拘りがあるんです。

それは

 

簡単に真似出来ない‼︎

 

そうなんです。

簡単に製作出来ないんです。

何がってまずは説明不要のこのトンガリ。

この部分をルーターで飛ばしてしまおうものなら一発アウトです。

が、この鋭角を出すのはかなり大変なのです。

私もクラフトマンの端くれとして言わせて頂くと

 

絶対やりたくない!!

 

が、さらに難関が続くのです。

それがこのカーブ

実はヘッドのサイドはストレートではないのです。

画像をみて頂ければわかると思いますが、Devil’s Tailの先っぽの方はサイドが直線ではないのです。

これをネックを作業台に固定した状態でルーターでカットしていく訳です。

これは機械じゃ出来ない、熟練が必要な技術です。

もう想像しただけで泣きそうです。

ヘッドにはアングル(角度)がついておりますので、作業台に平行に置く事ができません。

ヘッドを浮かした状態で固定、そして高速で回転するルーターを使って手で削る。

失敗したらネックは

 

すぐに破棄!!

 

スカーフジョイントだからと言って先だけ入れ替えるなんて事はしない!!

クラフトマンの端くれとして、もう一度言います。

 

絶対にやりたくない!!!!

 

これぞまさに職人技!!

 

真似出来るものならやってみろ!!

 

と言うのもうなづけます。

って、これ真似する前に新しいシェイプ考えた方が早いですよね…。

ちょっと熱くなってしまいましたが、これだけ大変な工程を経て完成しているのです。

 

失敗したネックがもったいない気もしますが、失敗したら本当に破棄しているとの事です。

部分的に再利用等はしていないそうです。

破棄されたネックと聞くと思い出したのは

 

Warren DeMartini

 

Charvelの工場のゴミ箱に捨てられたネックとボディを拾ってきて、

それを組み立てて使っていたのは有名なエピソードです。

未来のギターヒーローはCaparisonから誕生??

※不法侵入及び窃盗となるので絶対に真似しないでくださいね。

 

ちょっと話しが逸れてしまったので修正。

ヘッドトップにはPro.Blackフィニッシュという特殊な塗装が施されています。

触ってみるとわかるのですが、細かなツブツブが吹き付けられており、

ザラザラしています。

このザラザラがヘッド上で発生する余計な高音部分をカットする効果等があり、

よりクリアなサウンドをボディ側へと伝えているのです。

 

他にもネック角度とか色々あるのですが、2回目にして既に長編となってしまいましたので、この辺りで…。

 

どうですか!!

想定の倍くらいの長さになってしまいましたが、ここに詰め込まれた拘りを感じて頂ければと。

特徴的なヘッドなので、デザイン優先のように思われている方も多いと思います。

が、ここには並々ならぬ拘りが詰まっていたので、いつか紹介をしたかったのです。

 

ユーザーの方ならわかると思いますが、ヘッドぶつけると真っ先に欠けてしまう部分です。

が、その先には職人さんの技術が詰め込まれているのです。

なので、大事に扱ってくださいね。

そしてこれから持ってみたいと思っている方は、ぜひともヘッドのこの美しいカーブと鋭角なトンガリを確認してください。

是非とも各部に詰め込まれた職人魂を感じてください。