革新 [柔道イノベーション]
競技をメジャーとは、マイナーと差別したくはないのですが、現実的には、オリンピックレベルであっても、スポンサーが付かずに競技継続が危ぶまれている選手達は少なくないと言われています。
実際、興業として成り立つプロ競技も限られています。
国内メジャースポーツの代表であるプロ野球やJリーグ(サッカー)であっても、チームによって、観客動員数にバラツキがあり、経営難に陥っているところもあります。
そんな中、圧倒的に多数派であるマイナー競技は、それぞれに工夫して、競技人口あるいは観客人口を増やす努力をしています。
以前、柔道を盛り上げるために、その底辺である少年柔道を活性化させようとする方々を取り上げたことがありました。
柔道と言えば、日本の国技であり、もっとも世界に普及した競技です。
日本人のどこかに、勝って当たり前的な考えがあるのも事実です。
しかし、現実は、国際化が進むに連れて、海外選手の実力が高まっているのです。
国技だからと言って、簡単にメダルを獲れる様なものではありません。
例えば、柔道の盛んなフランスは、日本の柔道人口を上回り、正に、メジャー競技の一つになっているくらいです。
そんな柔道をメジャー競技にしたい。
そんな想いがまた形になりそうです。
なんと、ネット放送で、日本初の柔道番組が7月29日金曜日からスタート するのです。
日本初!まじめな柔道バラエティーと題した番組宣伝の告知放送
も紹介されています。
柔道とアイドルの絡みがどのような企画になるのか非常に楽しみです。
保守的な柔道界にあっては、賛否両論があるかもしれませんが、起爆剤になることは間違いないと思います。
柔道ファンの一人として応援させていただきます。
素質 [不器用だからこそ・・・]
私は、学生時代ある競技の選手でした。
中学生時代に、非常に運動神経の優れた同級生がいました。
私が、1週間掛けて繰返して、やっと出来るようになった動きも、その同級生に掛かれば、1時間程度で出来る様になってしまいます。
練習をサボリがちな同級生に対して、私の方が一生懸命に取り組んでいましたが、競技実力は及びませんでした。
正直、不器用な自分を卑下しました。
その後、お互いは、異なる高校に進学。
高校2年生の春季大会。
私は、その同級生と戦う機会を得ました。
結果、嘘の様に簡単に勝つことが出来ました。
その後も、何度か対戦することがありましたが、全て圧勝。
一度も負けることはありませんでした。
以前、あるテレビ番組で、法隆寺などの文化遺産の修復を手掛ける優れた宮大工の棟梁の話しが取り上げられていました。
その棟梁は、自身の技術を継承するために、毎年100人を超える問い合わせから面接をして、弟子を雇い育てていると言います。
その採用基準を以下のように語っています。
「自分は不器用な子を採用します。器用な子はすぐに理解が出来ますから、すぐに仕事が出来てしまう。時間が早いって事です。」
「不器用な子は時間がかかりますよね。 しかし、自分達の仕事は法隆寺のような千年もつようなものなんですから、時間がかかってもいいんです。」
「器用な子は仕事を頭で覚え、不器用な子は仕事を体で覚えます。」
「下手は下手なりに一生懸命に仕事に向かう子。そういう子を採用したいと思いますね。」
そうです。
直ぐに結果を出さなければならないことであれば、器用な方が良いのかもしれません。
しかし、世の中なんて、直ぐに結果を求めることの方が少ないのではないでしょうか。
多少、時間がかかっても良いので、より完成度の高いホンモノが求められるのではないでしょうか。
勿論、器用な上に、努力を惜しまない者ならば最強なのでしょうが、器用だからこそ、辛抱することができない場合が多いことも事実だと思います。
私は、中学時代の指導者に言われたものです。
「お前は不器用だから、他の奴等が簡単に出来ることも時間が掛かる。しかし、お前は、それでも、諦めないで取りくむだろ。お前にとって、不器用なことが素質なんだぞ。不器用で良かったな。」
最後の「不器用で良かったな」で私は救われました。
育成 [卒啄同機]
12日、プロ野球交流戦、オリックス 対 巨人戦・・・
巨人先発の沢村拓一投手。
人気では日ハムの斎藤佑樹投手に軍配が上がりますが、実力ではそれを上回る評価を得て、プロ球界に入った大物ルーキーです。
しかし、順調に勝ち星を先行させる斎藤投手に対して、なかなか勝ち星を挙げられない沢村投手。
ピッチングの内容からすれば、斎藤投手よりも、沢村投手の方が上回っているように見えます。
何故か打線の援護を得られません。
沢村投手は、1回裏に1点を先制されたものの、2回表の攻撃で味方のソロ本塁打で帳消しにしてもらいます。
今日こそはと期待が持たれますが、同点のまま、8回表の攻撃を迎えます。
しかし、そこでも絶好のチャンスを得ながらして、得点することができませんでした。
そして、その裏。
逆に2死、2塁のピンチを迎えたところで、2ラン本塁打を浴びてしまい、9回表の攻撃で、 1点を返すも、そこまで・・・
沢村投手は、7回まで1失点で好投したものの、味方の援護なしに8回に力尽き、8回、7安打、3失点で今季5敗目(2勝)を喫してしまいました。
「ナイスピッチングしましたね。援護がない。ベテランクラスが彼を育てないと。沢村も我慢だね。」とコメントしたのは原辰徳監督。
対して・・・
「これからが楽しみ」
初先発で6安打4失点で3回途中降板した埼玉西武の菊池雄星投手に対しての渡辺久信監督のコメントです。
「初登板で緊張していたと思います。今日の反省を踏まえて練習してほしい。」
「そんなに悪くなかった。これからが楽しみになってきました。」
「1回(登録を)抹消します。うちにはタフな連戦があるので、そういうところでチャンスがあるかもしれない。そのためにファームで頑張ってほしい。」
「卒啄同機」(さいたくどうき・そったくどうき)という言葉があります。
雛が卵からふ化するとき、親鳥が外側から卵の殻をつつきます。
すると、ふ化する準備ができた雛は、それを真似して卵の中から殻をつつきます。
親鳥が早く卵を割ってしまうと、雛は死んでしまいます。
逆に遅ければ、雛は卵の中で死んでしまいます。
この言葉は、雛(選手)を育てる上で、(監督の)育成するタイミングが大切であることの教訓です。
沢村投手、菊池投手を育成する立場にある、それぞれの監督の指導のタイミングを見守りたいと思います。
※便宜上、「啐」に対して「卒」を使っています。