懐かしさのトマト狩り・・・その3 | 柴犬と小規模農家の奮戦記!

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ロンリーライダーの農業と趣味の日常です

6月の下旬になるとトマト狩りをしていた事を思い出します。

20年間やっていたフルーツトマト栽培をやめてからほぼ1年が経ちましたが、この時期は年度の栽培を終了する時で、後片付けをする直前にはお世話になった皆様に圃場にきていただき、無償でトマト狩りをしてお持ち帰っていただいていました。

 

 

最近は過去の話が多くなりましたが、その時の様子をまた振り返ってみたいと思います。

フルーツトマト栽培は見た目よりもかなり過酷で、1日に平均約1000~2000個のトマトを収穫し、それを作業場に持ち運び、1個1個手作業で拭きます。

旬の時期の多い時は7000個~9000個ありました。

それが夕方までかかり、そこからサイズ分け、糖度があるもの無いものなどの品質分けをし、それからやっと箱詰め作業に入ります。

夕食はその作業の前に簡単に済ませるか、その作業の途中で済ませるかとなります。

全ての作業が終わるのは真夜中になるのが普通で、翌日にはまた早朝からその繰り返しです。

冬の寒い日はサイズ分けの作業で肩や腰に負担がかかり、夏の暑くなる時期はハウス内の温度は熱中症になるどころでは無い中での作業となります。

家族の者や手伝いの人が数人でもいればまだ負担は軽減されるのですが、年齢的に2人だけではどうにも過酷すぎるようになりました。

我々が栽培をやめる手前3年の間に他の栽培者では3人の方が亡くなり、2人が大病にかかるなど、体にかかる負担は想像以上です。

おまけに近年は経費の高騰によって利益は大きく減り、手伝いの人を雇うにも最低労働賃金の値上がりによって、これ以上費用を増やすことは出来ず、さらに大雨や強風による災害によって設備が破損しても修繕費の即払いを求められることも多く、これではやっていけないと判断してやめた事は前にも報告させていただきました。

 

 

でも、フルーツトマト栽培は味や品質を追求するためにやりがいがあり、成長して収穫したトマトは食べていただく皆さんに喜ばれることも多く、多くの人が訪問してくれることもあって楽しく賑やかな日もありました。

それが励みになっていたことで何とかやっていました。

特に1年の栽培の締めくくりではお世話になった方々や知人、近所の皆さんにトマト狩りに来ていただくイベントみたいなことをやっていて、それがけっこう楽しかったのです。

 

 

お声を掛けさせていただいたのは、友人、知人、いつも購入してくれていたお客さん、近所の方、そしてそのご家族、などなどでした。

 

 

トマトは長年日本では初夏に植えられるので夏野菜のように思われていますが、高温多湿はどちらかというと苦手な環境で、水分を多く含む日本の土壌では本来の美味しさを持ったトマトは育ちません。

確かにトマトは育つのですが、原種の環境は乾燥した肌寒いアンデスの高原地で、日本のトマトのように実は大きくありません。

そのため、フルーツトマトとして栽培するには気温の高くない冬が旬となり、水分を調整できる施設園芸となるのです。

 

 

栽培を終了する6月~7月の高温時期は、実はすぐに熟して旨味が増しません。

そんなトマトでも加工したり料理に使うには、路地のトマトよりもはるかに美味しいので、皆さんは喜んでトマト狩りに参加してくれます。

 

 

ただ、ハウス内はかなり蒸し暑いく、また花も咲いている場合がありますので、花粉症の人はかなりしんどいようです。

それでも、子供同伴のご家族は喜んで収穫してくれます。

子供にとっては貴重な体験となることもあるようです。

 

 

お世話になった近所の方は毎年、楽しみに参加してくれ、暑い中でも黙々と収穫してくれます。

普段にお手伝いに来てくれている方は、良い実を確実に収穫してくれます。

 

 

おばちゃんたちはあっという間に収穫箱いっぱいにしていきます。

残ったトマトは処分するしかないので、できるだけたくさん収穫してくれるとありがたいです。

 

 

幾つかのグループが来てくれる時はハウス内はさらに熱気が高まります。

暑い中でも、最初は皆さんやる気満々で収穫して行きます。

 

 

収穫したトマトが次々と運ばれてきます。

「こんなにいただいても良いのですか?」と言われますが、こちらは「どうぞ、どうぞ」と。

毎年来てくれている方は手慣れたもので、細かく抜かりなく収穫してくれます。

 

 

見た目には綺麗ですが、高温の中で育っていますので果肉は柔らかく、糖度はあまりありません。

もちろん、そうは言っても冷やして生で食べても美味しいです。

そう説明しながら、収穫してもらいます。

赤いトマトは出来るだけその日に食して欲しいですし、緑色のトマトも翌日にはオレンジ色になります。

 

 

北海道出身のイナカデリコさんは暑さに弱いらしく、かなりしんどかったようですが、トマト狩りは楽しくて何とか2時間の収穫作業をがんばりました。

 

 

作業の様子を記念撮影です。

頭上にはトマトが鈴生りにあります。

和気あいあいとした雰囲気でハウス内が明るくなります。

楽しみながら作業をしないとしんどくなります。

 

 

このトマト狩りは普段に神経を使う仕事に携わり、精神的に疲れた方々には大好評で、暑くても何も考えずに無邪気にできる事が気分転換になるようです。

我々はもうたくさんだ~と思う作業も、サービス業など室内で行う職種の方々にとってはそうかも知れませんね。

 

 

1時間ほどで、暑さのためにギブアップする男性陣がいるかと思えば、なかなか止める様子が無い女性陣もいたりと、たっぷりと2時間のトマト狩りを楽しんでくれました。

「小さいタイプは息子の弁当に、大きいタイプはソースにする」と喜んで取って帰りました。

 

 

朝から始まり、約2時間近くの収穫作業では徐々に気温は上がってきて汗だくだくになってきます。

それでも大量に収穫してくれました。

「もうこれで充分」と言いますので、「え、もういいの?まだまだ獲ってよ」と言いましたが、かなりの量と暑さなのでこれで終了とするグループがほとんどです。

 

 

たくさん収穫しましたね~。

こうした完熟トマトはケチャップやソースに、またはジュースにできます。

たくさん収穫してくれるトマト狩りですが、それでも獲りきれません。

でも、大助かりで、これが終わると始まる処分作業がかなり楽になります。

また、食べられずに処分されるより食べてもらう方がトマトにとっても良くて、こちらもこのイベントが楽しいので、良い事づくめのトマト狩りでした。

こうして振り返ってみると懐かしさでいっぱいです。