土佐くろしお鉄道ごめんなはり線の夜須駅から予土線を経由して伊予西条駅まで、四国左半分を周遊する鉄道旅は予土線で愛媛県に入って行きました。
高知県若井駅から愛媛県の北宇和島駅を結ぶ予土線のダイヤは両駅ともその先の窪川駅や宇和島駅まで繋いでくれます。
予土線の前身の私設宇和島鉄道は明治の終わりから大正の初期にかけて全国的に敷設されたレールの幅が狭く、車両も小さい軽便鉄道でした。
北宇和島駅から吉野生駅の間はそんな名残か、レールの幅は修正されていますが、路線はカーブが多く速度が遅くなって運行されていきます。
当時、南予地方は陸上交通の便が悪く、鉄道の開通は地元では大いに活気づいたものでした。
大正3年10月18日に私設宇和島鉄道は宇和島ー近永間で開業、大正12年に近永ー吉野生間が開通。
その後、昭和8年に国による買収によって国鉄運営となり、私設宇和島鉄道は18年の使命を終えたのです。
宇和島駅に到着すると、次の乗り換え時間までに少し時間があったので、トイレ休憩をして駅舎から出てみました。
ツーリングではよく駅前を通り、たまに休憩させてもらった宇和島駅が本来の形で訪れると言う新鮮さがありました。
駅前には宇和島で最初に走ったドイツのコッペル社製の機関車が復元展示されています。
宇和島からは松山方面へ予讃線で向かうのですが、次に乗る列車は普通列車ではなく、特急列車となります。
普通列車による鉄道旅を基本にしているのですが、宇和島から八幡浜までは普通ダイヤの本数は極端に少なく、普通列車に拘ると、次の発車時間は15時30分頃までなく、かなりの待ち時間となり、普通列車で繋ぐと松山に着くのがかなり遅くなります。
そこで、今回はうまく時間を活用するため、宇和島から八幡浜までは特急で繋ぐこととしました。
出発時間まで宇和島駅ホームの様子を見てみます。
先ほどまで乗ってきたキハ32形の向こうには、14時9分発の江川崎行きの32形が待機しています。
富士重工製の車両で、手前が新潟鉄工所製です。
これまで乗って来た32形は運転所に引き上げて行きました。
江川崎行きの車両の隣のホームには八幡浜行の普通列車が進入してきます。
因みに予土線を行くダイヤはこの次は15時20分の江川崎行きで、江川崎までのダイヤは数本あるのですが、窪川まで行き通すダイヤは17時30分までありません。
宇和島から再び窪川まで戻るのはその時間まで待たないといけないのです。
予土線で窪川に帰るのであれば、沿線をゆっくりと乗り降りしながら窪川駅着が午後7時過ぎのゆっくりとした鉄道旅の覚悟が要ります。
15時30分ごろ発の八幡浜行はキハ54形で、本心はこれに乗って行きたいのですが、これで乗り繋いで行くと、これから先の普通列車ダイヤの繋ぎが悪くなり松山への到着がかなり遅くなります。
そんなことで、今回は八幡浜までは特急で繋ぐこととしました。
それにしても宇和島駅は国鉄時代の車両の宝庫です。
13時59分発の松山行の特急「宇和海」に乗り込みます。
車両は2000系気動車です。
出発して、あっという間に宇和島市と西予市の境にある法華津峠に差し掛かります。
これまで普通列車で移動してきたので、特急列車は速くスムーズに進んで行く感じがしますが、何だか窮屈で開放的ではないです。
移動手段としては良いのですが、のんびり鉄道旅には適さないです。
伊予吉田駅と旧宇和町の中心駅である卯之町駅に停車して行きます。
そして14時29分に八幡浜駅に到着します。
約30分での到着で、やはり特急は早いです。
八幡浜駅は八幡浜市の中心駅で、四国で最も西の橋にある駅と言われています。
昭和14年開業当時から使われているコロニアル屋根の洋風木造建築です。
八幡浜は西の九州への航路があり、九州への窓口となっているのでツーリングではかなり馴染みのある場所です。
ここも本来の形で訪れて新鮮な感じがします。
ホームは単式ホームと島式の合計2面3線となっています。
この駅もキハ54形の車両が多く待機していて、土讃線では見られない車両が多いです。
八幡浜駅では次の出発まで45分ほどの待ち時間がありますので、駅前のスーパーやじゃこ天店で食料を調達してきました。
八幡浜を15時15分に出発する松山行の車両に乗り込みます。
車両は「すまいるえきちゃん号」と言うキハ54形の特別ラッピング車両です。
デザインは四万十エリアの豊かな自然に息づく多様な生き物たちを“希望”の意味を持つ黄色で描き「四万十エリアにはたくさんの希望がある」ことを表現したと言います。
2022年1月にデビューし、予土線で特別ツアー期間で運行されていました。
いわゆる今の観光列車みたいなものでした。
そのツアー期間を終えた今、予讃線の松山ー宇和島間で運行されているのです。
行先表示は松山行きとなり、長浜経由と表示されました。
海岸線の下灘駅を通るルートで行くのです。
ワンマンでの運行です。
車内は全てロングシートで、ボックス席はありません。
車内にも生き物たちのデザインがなされています。
出発の前に宇和島行の特急「宇和海」のアンパンマン車両が通過して行きました。
松山ー宇和島間の特急車両は2000系気動車のようです。