映画『スパイの妻<劇場版>』を見る。 | 柴犬カン、福の日記

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柴犬カンと福、筆者の出来事、想い、政治、経済、文学、旅行、メンタルヘルス、映画、歴史、スポーツ、等について写真を載せながら日記を綴っていきます。柴犬カンは2018年12月に永眠しました。柴犬福が2020年4月7日夕方にわが家にやってきました。その成長記録。

 黒沢清監督によるNHKドラマを劇場版にしたもの。2020年キネマ旬報ベストテン、日本映画第1位の映画。

 太平洋戦争前夜を背景に、運命によってもてあそばれる夫婦の試練を描き出す。蒼井優と高橋一生が続いて夫婦にふんし、東出昌大らが共演。『ドライブマイカー』などの濱口竜介監督と、濱口監督の『ハッピーアワー』などの脚本を担当した野原位が、黒沢監督と共に脚本を手掛ける。

 あらすじは、1940年、神戸で貿易会社を経営する優作(高橋一生)は満州に渡り、偶然恐ろしい国家機密を知る。正義のために一連の出来事を明るみに出そうとした彼は、反逆者とみなされてしまう。優作の妻の聡子(蒼井優)は反逆者と疑いの目で見られる夫を信じ、スパイの妻とそしりを受けても、愛する夫と手に手を取って生きていこうと決意する。

 悪い映画ではないです。大東亜戦争直前の雰囲気はよく出ている。富裕層の律儀な正義感。旦那のほうが妻に向かって「私はコスモポリタンだ。」という発言をする。日本人でも西洋かぶれでもないと。

 基本的な立ち位置がリベラルで、アメリカやイギリスは基本的に善であるように受け取られなくもない。主人公の男は貿易関係の仕事をしている中で欧米の醜さもおそらく知っていたであろうと思うが、その部分はほぼない。

 満州は自由な雰囲気であるとの説明があったが、まさにその頃のことをユーチューブで説明している林千勝氏の動画が頭に浮かぶ。満州は極めて共産主義に近いムードが漂っていた。そこにいる日本の支配層、軍人、経済人などだ。

 二重スパイや家族にも自分の立場を明かさない。戦後、ソ連や中国の共産化の中で、その土台になっていたのは日本人たちであったというのは言い過ぎだろうか?

 良質の映画だが、やや偏りがある点を差し引いて80点という評価をしたい。

 ちなみに10日にNHKで放送したのだが、録画しぞびれて、結局ネットでレンタルしてみました。