宮原、SP4位 坂本5位 ザギトワが世界歴代最高で首位/フィギュア
サンスポ
平昌五輪第13日(21日、江陵アイスアリーナ)フィギュアスケート女子ショートプロクラム(SP)で、ともに初出場の宮原知子(19)=関大=は自己ベストの75・94点で4位、坂本花織(17)=シスメックス=は自己ベストの73・18点で5位だった。欧州選手権女王のアリーナ・ザギトワ(15)=OAR=が世界歴代最高を更新する82・92点で首位に立った。世界選手権2連覇のエフゲニア・メドベージェワ(18)=OAR=が81・61点で2位につけた。フリーは23日に行われる。
2010年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央さんが昨春引退し、世代交代を告げるように五輪に臨む10代コンビが、逆境をはねのけて表彰台に挑んだ。
宮原は14年ソチ五輪後の日本女子を引っ張ってきたが、豊富な練習量に対して必要な栄養素が足りず、昨年1月に左股関節の疲労骨折が判明。復帰に向けて練習を徐々に積んでいた8月中旬には右股関節の骨挫傷を負った。2度の故障で合わせて約2カ月半もリンクを離れ、氷上練習でジャンプを跳べない時期も。それでも決して諦めず、昨年末の全日本選手権で4連覇を果たして五輪切符をつかんだ。冒頭のルッツ-トーループの2連続3回転、後半の3回転ループ、ダブルアクセルを決めると、ホッとした表情を浮かべた。
坂本は15年に右脚すねを疲労骨折し、約1カ月も銀盤を離れた。骨折が治ると今度は右股関節の肉離れになり練習後のクールダウンやストレッチも取り入れ、選手としての自覚も芽生えた。シニアデビューの今季はついに潜在能力が開花。跳ぶ幅があり着氷で流れる豪快なジャンプを武器に五輪代表の座を射止めた。6分間練習後すぐの演技で基礎点が1・1倍になる後半にフリップ-トーループの2連続3回転ジャンプ、3回転ループ、ダブルアクセル(2回転半ジャンプ)をすべて成功させ、演技後は喜びを爆発させた。
メドベージェワは今季途中で右足の骨にひびが見つかり、グランプリ・ファイナルなどを欠場。復帰戦だった1月の欧州選手権ではザギトワに敗れたが、五輪の団体SPでは自身の歴代最高得点を81・06点に更新していたが、この日もフリップ-トーループの2連続3回転、3回転ループ、ダブルアクセルを完璧に決め、自己記録を0・55点塗り替えた。
ザギトワは昨季の世界ジュニア選手権女王として、シニアにデビューした今季は無敗を誇る。端正な顔立ちと長い手足が氷上に映えるフィギュア界の天才少女。五輪前哨戦のグランプリ・ファイナルを制するなど勢いに乗っている。五輪で初の演技となった団体のフリーでは世界歴代2位の158・08点をマークしていたが、この日もルッツ-ループの2連続3回転、3回転フリップ、ダブルアクセルを成功させメドベージェワの得点を上回り首位に立った。
「サトコは神がかっている」「ザギトワは感銘的」異次元バトルに海外名手たちも喝采
The ANSWER
ザギトワ&メドベージェワは80点越え…上位5人が自己ベスト更新のハイレベル
平昌五輪は21日、フィギュアスケート女子シングルのショートプログラム(SP)が行われ、上位陣は異次元の争いは展開。世界選手権2連覇中の女王エフゲニア・メドベージェワ(OAR)が25番手で81.61点をマーク。11日の団体で記録した自身の世界最高得点をさらに更新したが、3人後に登場した同門の15歳アリーナ・ザギトワ(OAR)は82.92点をマーク。わずか20分後に世界記録を更新してみせた。
この2強の異次元の戦いのみならず、上位は極限のハイレベル争いだった。3位のケイトリン・オズモンド(カナダ)、4位の宮原知子(関大)、5位の坂本花織(シスメックス)まで上位5人がノーミスの演技で自己ベストを更新。まさに4年に一度の祭典にふさわしい演技が続いた。
この歴史的なハイレベル決戦に、海外の名スケーターたちも続々ツイッターで反応。男子シングルで羽生結弦(ANA)が達成するまで、最後の五輪連覇達成者だった、“レジェンド”ディック・バトン氏は「ザギトワ 芸術性、テクニック、ドラマ性、力強さ、すべてのエレメントは誰もが欲するものだ」とトップに立ったザギトワを絶賛。
ソチ五輪団体銅メダルで、全米選手権を2度制している、グレイシー・ゴールドは宮原の演技をたたえた。「サトコはあまりに洗練され、鍛錬されている。すべての動きに目的がある。彼女の中身が神がかっていることはいうまでもない。ファンタスティックに見えた」と賛辞を並べた。
「何人かが衝撃的なスケートを今日見せてくれた」とワグナー
またメドベージェワについても言及。「エフゲニアは自分がみていて神経質にならない1人。彼女の自信を感じるわ」と女王の風格を感じ取っていた。
ソチ五輪団体銅メダリストで、全米選手権を3度制したアシュリー・ワグナーは「何人か衝撃的なスケートを今日見せてくれた。個人的にはケイトリンがこのイベントで輝ける星だった。ザギトワもとても感銘的なスタートになった。何が起こるか注視しないといけないわ」と3位だったオズモンドを“輝ける星”と称し、15歳の天才少女にも熱視線を送っていた。
空前のハイレベルの戦いが展開されたSP。23日のフリーでは、いったいどんな頂上決戦が行われるのだろうか。
そして驚異的な構成、ザキトワ!!
ザギトワ世界最高得点、30人中17人が今季ベスト
<ピョンチャン五輪:フィギュアスケート>◇21日◇女子ショートプログラム(SP)
4年に一度の大舞台で今季ベストを更新する選手が続出した。その数は30人中、実に17人。アスリートにとって最高の晴れ舞台に、多くの笑顔が広がった。得点が出やすい傾向にある五輪とはいえ、好試合となった。
その中でも最も衝撃を残したのは、15歳のアリーナ・ザギトワ(OAR=ロシアからの五輪選手)。基礎点が1・1倍になる後半に3回転ルッツ-3回転ループの連続ジャンプなど全3回のジャンプを決め、表現力を示す演技構成点(5項目)でも9点台中盤と高い水準を保った。得点はなんと82・92点(技術点45・30点+演技構成点37・62点)。3人前で滑った同門の世界選手権2連覇エフゲニア・メドベージェワ(OAR)が81・61点で更新したばかりの世界最高得点を、即座に塗り替えてみせた。
日本勢の2人、宮原知子(関大)は75・94点、坂本花織(シスメックス)も73・18点で自己ベストを更新。メダルを狙える好位置につけて23日のフリーを迎える。
<五輪フィギュア>フリー滑走順、宮原は19番、坂本21番
◇SP首位ザギトワ22番、2位メドベージェワは最終24番
23日のフィギュアスケート女子フリーの滑走順の抽選が21日に行われ、ショートプログラム(SP)4位の宮原知子(関大)は最終第4組の19番、5位の坂本花織(シスメックス)は21番に決まった。SP首位のアリーナ・ザギトワ(ロシアからの五輪選手=OAR)は22番、同2位のエフゲニア・メドベージェワ(同)は最終24番に登場する。
得点 | |||
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1 | アリーナ・ザギトワ | 個人資格(ロシア) | 82.92 PB |
2 | エフゲーニャ・メドベージェワ | 個人資格(ロシア) | 81.61 PB |
3 | ケイトリン・オズモンド | カナダ | 78.87 PB |
4 | 宮原知子 | 日本 | 75.94 PB |
5 | 坂本花織 | 日本 | 73.18 PB |
6 | カロリーナ・コストナー | イタリア | 73.15 |
7 | ガブリエル・デールマン | カナダ | 68.90 |
8 | チェ・ダビン | 韓国 | 67.77 PB |
9 | 長洲未来 | 米国 | 66.93 |
10 | カレン・チェン | 米国 | 65.90 |