シンイ祝ヨン周年 in Japan★ハン国の王子と森の妖精ウンス(10) | 信の虹 ー신의 nijiー

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ここは韓国ドラマ「信義」の登場人物をお借りして楽しんでいる個人の趣味の場です。
主に二次小説がメインです。ちま(画像)の世界も大好きです。
もしも私個人の空想の産物に共感してくださる方がいらっしゃったら、
どうぞお付き合いください^ ^

パーティーも終わりに近づいてきました。


ウンスは先に部屋に戻ると言い残して、ふらりと会場を後にしました。
中庭に出ると、夜を迎えたばかりの群青の空に

蜂蜜色の三日月がふわりと美味しそうに浮かんでいます。
ウンスはその月明かりに薄っすらと照らされた、黄色い小菊を指先でそっと撫でてみました。
懐かしい、自分が生まれた森の香りが漂いました。


(バカみたい、私・・・)
自分が今想いを告げたいのはヨン王子なのだと、やっと気づいたのです。
(でも・・・遅すぎるわよね。それに、やっぱりヨン王子が好きだなんて言えない。ムシが良すぎる。
そうよ私、自分が消えてしまうのが嫌で、今はもう誰でもいいと思っているのかも知れない。)

 

(誰かにこの思いを話すだけでも、自分の気持ちを整理できるかもしれないわ。)
ウンスはふと、先程出会ったキ・チョル公爵の顔を思い出しました。
(離れを訪ねてみよう。)
行ってみると、キ公爵は待ち構えたような笑みでウンスを部屋に招きました。

 

ウンスはそこで今の思いを正直に全て話しました。
幼い頃、憧れの王子様をこっそり見つめていたこと、それがミヌ王子だと思いここまで追ってきたこと、しかしいつの間にかヨン王子に惹かれていたこと、けれど今更この想いを打ち明けるなど出来ないと思っていること。

 

キ公爵はウンスの話しを一通り聞くと、 ふむ、と片方の眉を上げて思いもよらぬ事を言い出しました。
「では、私と結婚してはどうです?」
「え?」
「私には金もある、そしてもしこの国が滅びてもチュン国との繋がりがある。
あなたには何の苦労もさせない。どうせ王子と結ばれないのなら、私と一緒になりましょう」

 

実は、人間の世界には森の妖精と結婚した者は何でも自分の望みが叶えられるという伝説があるのです。
キ・チョル公爵はそれを知っていて、ウンスを我が物にしようとしていたのでした。


「・・・いやです」
「もう遅い。妖精とキスさえすればいいらしいからな。こっちへ来い」
「いやだったら!」

ウンスが公爵に腕を掴まれそうになった途端、部屋のドアが蹴り破られ、気づけば公爵が何かに吹き飛ばされたように倒れていました。口元には血が滲んでいます。

「・・・!」

公爵が睨む視線の先には、ヨン王子が鬼の形相で立っていました。


「こいつに触れるな」