診あう二人 その一 | 信の虹 ー신의 nijiー

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ここは韓国ドラマ「信義」の登場人物をお借りして楽しんでいる個人の趣味の場です。
主に二次小説がメインです。ちま(画像)の世界も大好きです。
もしも私個人の空想の産物に共感してくださる方がいらっしゃったら、
どうぞお付き合いください^ ^

皆さんこんばんは。

先日は地震のニュースに驚きました…。
これからの天候も気になりますが、被害に遭われた方々が一日も早く日常に戻れますよう願っています。

今日は随分前にいただいたネタを、大事にしまっていた保管庫から取り出してきました。
王道な展開ばかりのような気がしますが(特に一話目)
逆にサラッとして読みやすくて、気に入ってます(自分で言ってるよ!)・・・が、何度も読み返すうちに自分で考えた文章なのか、はたまた昔読んだベテラン様達の文章が脳内に蘇っただけなのか自信が無くなる部分もあり・・・(;^_^A(←またかいっ)
思い当たる節がありましたら、是非とも教えてくださいませ。( 人 )"

ドラマ中の鉢巻ヨンの時期(夏?)のエピソードというイメージですが、もちろんウェービーな隊長で想像していただいても♪
お話しは短めに区切って、ヨン話に分けて今日から四日間更新します。
コメ欄は最終話で開けるので、もしも感想をいただけるようでしたら、よろしくお願いします。

まだ二人の思いが通じていない頃の、ある爽やかな夏の日・・・というイメージが伝われば嬉しいです^ ^




診あう二人



「玉が転がるような脈、竹を掻くような脈、か。難しいわね・・・」

ウンスが宮中の庭を歩きながら呟いている。
それを横目にちらりと見ながら迂達赤の男達は囁き出した。

「俺、い、医仙様に急に木陰に連れ込まれて・・・」

「俺もだ。俺は突然壁に追い込まれて、こんな風に手を・・・」

「おい、聞いたか?徳成府院君様とも手を握り合っていたらしいぞ。おまけにあの銀髪の笛男まで」

「お気がふれたのだろうか」

「いや、天界では男女の仲はもっとこう…隔ての無いものらしい。よもやこの地で伴侶を探すおつもりなのでは」

「では、俺達もその候補に入っているということか?」

その一言に、鎧をまとった男達は色めきだった。
まさかな、いやでも、という言葉が宙を舞う。

「んなワケあるかよ・・・」と呆れ返るトルベを見てようやく我に返ったトクマンは、咳払いを一つすると後輩達に喝を入れた。

「馬鹿者!口を慎め!今の言葉、隊長に聞かれたらどうなるか・・・うわっ!てててテジャン!」

「どうなるんだ?トクマン。言ってみろ」

「いえ、何でもありません!」

「説明しろ」

「か、勘弁してください・・・」

泣きそうな顔で尻尾を振りながら、トクマンは鬼の上司に懇願の瞳で訴えた。
先程まで浮き足立っていた若武者達は、皆何事も無かったかのように一斉に姿勢を正して貝のように口を閉じている。
トルベは額に手を当てて、哀れな弟分を見つめた。


全く。何を考えているのだ。
ヨンは事の詳細を聞き出すと、深く溜息をついた。

医仙が、誰かれ構わず男に手を出しているらしい。
突然「ちょっと来て」と言われ、手を握られる。
おまけにその手を顔に添えることもあるという。
目線の先で先程から捉えている医仙の姿。
蹴られた脛を抱えて悶えるトクマンを気にせず、ヨンは足早にウンスのもとへ駆け寄った。

見れば医仙が歩哨の手を取り、なにやらぶつぶつと呟いている。
手を取られた男は夢心地のようで、恍惚とした面持ちで医仙を眺めている。

「何をしているんです」

ヨンはウンスの手を取り、目の前の歩哨を蹴り飛ばした。

「痛っ!何をする・・・てっ、テジャン!」

迂達赤隊長に睨まれた男はすっかり怯えきって、役目を放り出しその場を逃げ出していく。

「医仙、一体何を、」

「あら、隊長さん。あなたのもみせて」
ウンスはそう言うと、ヨンの手を取り握り締めた。

「やめてください」

そう言って避けようとした腕を「まって」と、逃さぬように細い指を絡めてくる。
力尽くで離せばいいと頭ではわかっていても、手を取られた途端に動けなくなる。

蹴り飛ばしたさっきの男と同じ面を今自分がしているのかと思うと情けない。
ヨンは我に返ろうと固く瞼を閉じ、深く深く息を吸った。
が、駄目だ。堪らなくなる。

「やめなさい」

ヨンは思わず語気を強めてウンスの白い手を引き剥がした。
目の前のひとは柔らかな赤い髪を揺らして少し目を丸くしたが、

「あれ、ちょっと脈が早い?熱でもある?」
とヨンの額に手を伸ばす。

その手を素早く躱し「熱などありませぬ」と一歩下がると
「何よ。逃げなくてもいいじゃない」と、ウンスは白い頬をまんまるに膨らませた。