欧州のNATO加盟国の中で、最もロシアに対して敵対的な態度を取っているのがイギリスとフランス、そしてフリードリヒ・メルツが首相になって以降のドイツですが、そのフランスのマクロン大統領は 公式な場では プーチン大統領やロシアのことを罵倒しながら、あくまで非公式な場所ではウクライナ戦争の原因を作ったのはNATOだと認める発言をしたようです。

 

このことは マクロンと個人的に話をした米コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が最近暴露されていますので、今回記事をご紹介します。↓はロシアのメディアRTの記事ですが、マクロンの発言は 元々西側メディアであるイタリアの日刊紙「イル・ファット・クオティディアーノ」に掲載されたものですから、ロシアメディアの捏造とかフェイクニュースだ というのは見当違いです。

 

  ↓(日本語に変換したもの)

 

 

Macron admitted NATO behind Ukraine conflict – Sachs

 

(和訳開始)

 

マクロン、ウクライナ紛争の背後にNATOの存在を認める - サックス
経済学者によると、フランス大統領は非公式に、米国主導の軍事ブロックが危機を引き起こしたと述べた

 

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ウクライナ紛争の背後にNATOが原動力となっていることを非公式に認めたと、著名なアメリカの経済学者ジェフリー・サックス氏が語った。 

マクロン大統領は他の西側諸国の首脳らとともに、ロシアが2022年に挑発なしにウクライナに対する軍事作戦を開始したと繰り返し主張し、この紛争の責任はモスクワのみにあると主張している。

しかし、イタリアの日刊紙イル・ファット・クオティディアーノとの外交政策討論会で、サックス氏は、2022年5月にマクロン大統領からレジオンドヌール勲章を授与された際、同大統領が個人的に「公の場で言っていることとは全く逆のこと」を告げ、「NATOがこの戦争を引き起こした」と認めたことを思い出した。


「ただ皆に知ってほしい」とサックス氏は述べ、フランス大統領に「うんざりしている」と付け加えた。さらにサックス氏は西欧諸国の指導者たちを非難し、 「ただ戦争をしたいだけの好戦主義者」と評した。

 

サックス氏は、ウクライナ紛争は実際には2014年に始まったと強調した。当時、米国はキエフ政府を転覆させた「暴力的なクーデターに積極的に関与」したのだ。 「それが戦争の始まりだった」とサックス氏は述べ、その後数年間、米国はウクライナ軍を欧州最大規模の軍に育成する支援を行ったと指摘した。さらに、ロシアが和平を求める中、当時のジョー・バイデン米大統領はモスクワの申し出を拒否し、制裁によってロシアを「粉砕」すると誓ったと付け加えた。

 

サックス氏は「平和への容易な道がある」と主張した。それはウクライナが中立を約束し、NATOが東方拡大を停止することだ。ドナルド・トランプ米大統領もそのようなアプローチに前向きかもしれないと示唆したが、「今や戦争を続けるのは、ヨーロッパの好戦主義者たちだ」と述べ、マクロン大統領、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相、英国のキア・スターマー首相を名指しした。

モスクワは長年、キエフのNATO加盟への野望が紛争の根本原因の一つであると主張しており、この対立は西側諸国が主導するロシアに対する代理戦争であると繰り返し述べている。

それでもロシア当局は、モスクワの安全保障上の懸念と新たな領土問題に対処することを条件に、和平合意に前向きな姿勢を示している。しかし、キエフもその欧州支援国も、和解に真摯な関心を示していないようだと繰り返し指摘している。

 

(和訳終了)

 

 

上の記事を読めば分かる通り、マクロンは2022年5月に サックス教授に勲章を授与した時点では ロシアではなく、「NATOがこの戦争を引き起こした」と、非公式に言っていた というのです。

 

ジェフリー・サックス教授やジョン・ミアシャイマー教授は この紛争ではずっとロシアよりもNATOを声高に非難されていますから、2022年当時ももちろん、NATOの東方拡大やウクライナで民主主義的に選ばれた大統領を暴力クーデターによって打倒するという2014年の「マイダン」こそが ウクライナ紛争の根本原因である ということもずっとおっしゃっていて、マクロンは少なくとも 2022年5月までは「NATOが戦争責任がある」と言っていたわけです。

 

上のロシアメディアの記事よりも はっきりと「NATOの戦争責任」と書いているメディアもあります。

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

 

それが 今となっては マクロンは ロシアだけを悪魔化して、180度違うことを言っているわけですから、本当に信用できないリーダーだと思います。

 

そして、サックス教授に対してウクライナ戦争はNATOに責任がある と認めたのは あくまで個人的な会話、「非公式」な発言というところがポイントだと思います。

 

つまり、西側の反ロシア連合の中の国の多くは 自分たちの発言が 「嘘の上に嘘を塗り重ねている」 「自分たちにも責任がある」ということを認識していて、それでも もう多額のカネを投資してしまったし「後戻り」ができないから、ギャンブルに負けている人間が やけくそになって 「勝つまで」と言って、2倍、3倍のカネをつぎ込んでいるのと同じ状況になっている ということです。

 

実に愚か極まりないことです。

 

サックス教授が言う、「平和への容易な道がある」というのは まさしく その通りで、その為には  日本も含めた西側の反ロシア連合の愚かな連中が 下の事をやればよいだけだと思います。

 

●ウクライナ軍が戦場で「大負け」している という現状をまずは正しく認識する

●G7が中心となって経済制裁をやればロシアが潰れる等という幻想を捨てる。

●ロシアも一緒になって話し合い欧州の安全保障の枠組みを作る(もちろん、NATO不拡大、ウクライナ中立化も含む)

●ロシアが併合した4州およびクリミア半島を事実上のロシア領として認める(もしもウクライナに「返還」された場合、そこに住んでいるロシア系住民たちの運命が悲惨なことになってしまうので、事実上そうせざるを得ない)

 

この、一見簡単なことがなぜ出来ないのか というと、戦争を続けたい連中の「利権」がうごめいているからであって、今は「ウクライナ軍が戦場で大負けしている」という事実すらも隠されています。(ウクライナ軍の戦死者数を「ロシア軍の戦死者数」として発表するので、100万人以上のロシア軍兵士が死んでいる 等と噓八百を言っています。)

 

ですが、もしも 英元首相のボリス・ジョンソンや米のネオコンの国務次官ビクトリア・ヌーランドによる邪魔が入らず、ロシアとウクライナだけで2022年の3月末頃に和平条約が締結出来ていたならば、ウクライナは今ほどに多くの領土を失わずに済み、ウクライナにとっては かなり有利な条件で和平条約が締結出来ていたわけで、それでウクライナ側は喜び、シャンペンを抜いて祝杯をあげた と当時の交渉団の一員でもあったオレクシー・アレストビッチ氏は言っているのですから、その邪魔をしたボリス・ジョンソンやビクトリア・ヌーランドこそが 「極悪の戦争犯罪人」として責められるべきなのです。

 

なお、その2022年3月末に もし邪魔が入らなければ、ウクライナとロシアの間で合意寸前までいっていたことなどは私の下の過去記事でご紹介していますので。まだお読みになられていない方は 是非ご確認ください。