フリージャーナリストの山口敬之氏が米国での共和党関係者人脈から得た情報によれば、今年の4月に米国議会で可決され、バイデン政権も承認した米国からウクライナへの610億ドル(日本円で9.4兆円相当)支援は 資金を「あげる」という話ではなくて、あくまでも「貸す」というローン前提で承認されたという話になっていて、なんとその借金の保証人が日本だということです。(その山口氏の話は下の過去記事でご紹介しています。)

 

 

 

山口氏によれば、岸田文雄が米国に「国賓」待遇ということで招かれて議会で演説した際には すでにそのような「密約」があり、岸田の演説も それを踏まえた演説の内容になっていた という話ですが、仮に山口氏の情報が間違えていたとしても、少なくとも 日本は すでに世界銀行でのウクライナの15億ドル(約2400億円ほど)の借金の保証人になっていることは大手メディアでも報じられています。

 

 

普通、借金の保証人というのは よほど相手に信頼があって借金を返せるという確実な収入見込みがない限り、なってはいけないと多くの方が思っておられるかと思いますが、今回の記事では 今の、そして戦後のウクライナに 本当に借金を返す能力や意欲があるのか ということについて分析した面白い記事をご紹介したいと思います。

 

結論から言えば、ウクライナは本当に財政面で絶望的な状況ですし、ウクライナ政権や国会議員の人たち等の権力の上層部にいる人たちには 借金を返そうという意欲すらも なさそうです。(戦争前であっても借金を踏み倒した過去もあり)

下は本年6/25付記事で、オルタナティブ・メディアのANTI WAR.comからのものです。

 

The Ticking Time Bomb of Ukrainian Debt (That the West Will Have To Pay)

 

(和訳開始)

 

ウクライナの借金という時限爆弾(それは西側が払わなければならない)

 

G7は最近、ウクライナに500億ドルを貸し付けることに合意し、注目を集めた。この融資は、没収されたロシアの国家外貨準備高3,290億ドルの年間利息で返済される。最終的に融資がまとまると、この融資はG7加盟国による一連の融資から構成され、米国は500億ドルの基準に達するよう必要な額を資金に追加することとなる。

ライバル国の債務返済のために事実上他国の国家資産を没収することの合法性から一歩離れて考えると、これはウクライナにとって何を意味するのだろうか?数字はさまざまで、ウクライナ政府は経済データの公開をますます控えるようになっているが、ウクライナの経済規模は現在約1800億~1900億ドルである。これを文脈に当てはめると、ロシアの経済の約11分の1、米国の経済の131分の1にあたる。

したがって、500億ドルはウクライナの年間GDPの約27%に相当する。これは単一の融資としては莫大な数字だ。しかし問題は、ウクライナが戦争が始まって以来、毎年この額を借り入れていることだ。ポリティコによると、ウクライナは2022年に580億ドル、2023年に460億ドルを借り入れ、2024年には520億ドルを借り入れる予定だ。つまり、わずか3年でウクライナはGDPの82%を借り入れることになる。

ウクライナがこれほどの借金を必要とするのは、政府が毎年、税収やその他の収入源から得る収入のほぼ2倍を支出しているためだ。これを背景として、欧州連合は加盟国がGDPの3%を超える財政赤字を出せないよう制限を設けている。EU加盟を目指すウクライナは、戦争が始まって以来、毎年25%の財政赤字を出している。それに加え、ウクライナは毎年、経常収支(輸出額と輸入額の差)が赤字であるため、通貨暴落を防ぐための資本も必要だ。

そして、ウクライナは今年、現在予測されているよりもさらに多くの借金をする必要があるだろう。明らかに、ウクライナの巨額の支出は戦争努力によるもので、少なくとも2023年には総経済生産の3分の1を占めていた。2024年の公式防衛予算は286億ドルで、ウクライナが2023年に実際に費やした金額の約半分だ。(ウクライナは当初の2023年の防衛予算を394億ドルから563億ドルに増額したが、それでも2024年の予算よりは多い)。

つまり、ウクライナは毎年GDPの25%の負債を抱えており、現在の経済規模は戦争開始前と変わらず、負債の山は制御不能に陥り続けるだろう。EUは、ウクライナの負債は戦争開始以来毎年GDPの10%ずつ増加していると予測しているが、私はこの予測をかなり懐疑的に見ている。たとえウクライナの経済が2023年に5.5%成長したとしても、戦争開始前の2021年よりは小さいままである。より現実的に言えば、ウクライナの負債は毎年GDPの15~20%ずつ増加している。

つまり、ウクライナの負債は、今年度中にGDPの100%に達することになる(すでに達していないとしても)。そして本当に心配なのは、負債を返済する計画がないことだ。なぜなら、ウクライナは毎年、負債の増加を抑えるために負債返済を行っていないからだ。実際、ウクライナは戦争が始まった2022年に既存の対外債務の支払いを停止した。2014年のウクライナ危機の始まりを覚えている人のために言っておくと、ウクライナは、EU連合協定から外れるためにヤヌコビッチとの取引の一環としてロシアから与えられた30億ドルの負債の支払いを直ちに拒否した。

傲慢さと独善に駆り立てられたウクライナは、借金を背負い、その返済を拒否することにはまってしまった。戦争が始まって以来、ゼレンスキーは凍結されたロシア資産3290億ドルをウクライナに渡すよう圧力をかけてきた。G7への500億ドルの融資は、その方向への憂慮すべき転換を示している。それは、ウクライナの借金であるにもかかわらず、ウクライナ自身がその借金を返済する必要がないことを前提としている。

 

しかし、戦争が終わったとき、もしこの不必要な戦争が終わったら、G7諸国に誰が融資を返済するのだろうか?アメリカは、戦争が終わった後もロシアの凍結された準備資産を凍結し続けることが可能だと考えているようだ。

もしそうだとしたら、大規模な制裁と資産の盗難が続くと感じているロシアに、戦闘をやめる動機はどこにあるのだろうか。冒頭で述べたように、ロシアの経済はウクライナの11倍の規模だ。ロシアはまた、輸出が輸入を上回り続けているため、毎年かなりの資本が増えている。簡単に言えば、ロシアは毎年約500億ドルの輸出黒字を獲得しており、これはウクライナが戦争資金として毎年借りている金額とほぼ同額だ。
プーチンは和平協定、あるいは少なくとも和平交渉再開の条件を提示しているが、たとえ戦闘がほとんど動かない膠着状態に終わったとしても、ロシアには戦闘を続けるのに十分な資源がある。

したがって、少なくとも経済的な観点から言えば、ロシアにとって戦争に勝つことは今のところ重要ではない。たとえ彼とロシア国民が戦争の終結を望んでいたとしても。なぜなら、戦争が長引けば長引くほど、ウクライナの負債と債務不履行は増えるからだ。プーチンは、ウクライナが借り入れる外国資金のほとんどすべてが、ウクライナの戦争に資金を提供している西側諸国から来ていることを知っている。

 

そして、西側諸国の支援が、純粋な施しから実際の融資へと移行する中で、すでに変化しているのを私たちは見てきた。したがって、時間が経つにつれて、西側諸国はウクライナに無償の援助ではなく、借金を提供することが増えるだろう。

そして、ロシアは凍結された資金の返還を求めているのだから、ロシアがこの借金を返済するだろうと考えるのは完全に幻想だ。砲撃が止んだ後も西側諸国がロシアを経済的に罰し続けるような一方的な平和はあり得ない。実際、ロシアの資産を盗むことは、さらなるエスカレーションにつながる可能性があり、ウクライナの苦しみを長引かせ、維持不可能な債務をさらに増やすだけだ。プーチン大統領が、軍隊を撤退させ、永続的な平和を交渉する経済的動機があると感じたときに、この戦争は終わるだろう。

それまで、西側諸国は債務という時限爆弾を抱えているが、ゼレンスキー氏はそれを支払う必要はないと考えている。言い換えれば、彼はこの戦争の費用をクレジットカードで支払っている。ただし、それは彼のクレジットカードではなく、我々のクレジットカードだ。

イアン・プラウドは元英国外交官で、2014年7月から2019年までモスクワの英国大使館で経済参事官を務めた。ロシア滞在中、イアンはロシアの政治経済、およびウクライナを含む近隣の旧ソ連諸国の政治経済について英国閣僚に助言した。最近、回想録「モスクワの不適合者:2014年から2019年にかけてロシアにおける英国外交はいかに失敗したか」を出版した。

 

(和訳終了)

 

ロシアに対しての経済制裁が完全な「空振り」に終わっていることでも分かる通り、G7はじめ西側の「反ロシア連合」は とても考えが浅はかなところがあり、凍結した3300億ドルのロシア中央銀行の資産をウクライナに与えたり、借金の担保にしたり、どうにでも彼らの好きに出来る と簡単に考えているようです。

 

しかし、もし3300億ドルの泥棒行為を本当にやってしまえば、ロシア国内にある西側の資産(2700億ドル相当と言われている)も仕返しとしてロシアに取られるだけですし、アメリカと政治的に対立した国はどこでも経済制裁を食らう ということを今まで平気でやってきて(イラン、北朝鮮、ベネズエラ、シリア、キューバ等)それが 初めて世界的に大失敗しそうなのも このロシア相手の制裁です。 

 

特にグローバルサウスと言われる国々の反応は そのように通貨や決済システムを兵器化して気に入らない国を制裁する というような国からは距離を取って「脱ドル化」をすすめたい という風にすでになってきていますし、それがBRICSに手を挙げているマレーシアやタイの動きにも表れています。

ロシアの国の資産である3300億ドルを没収してウクライナに与える等すれば、米国、EUへの信頼等、ガタ落ちですし、ますます安全資産である金を買ってドルやユーロ、米国債、そして日本円は売ろうという流れになるでしょう。

 

そして、どんな戦争でも、ウクライナでの戦争も含めて、永遠に続くことはありません。いつかどこかで西側もロシアと和平交渉を行って ロシアへの経済制裁もほぼ全面解除される時期がやってくるのです。

 

ロシアの資産の3300憶ドルを奪う気満々のウクライナが 西側やIMF、世界銀行から借りた借金を頑張って返さなければならない と思っているでしょうか?

全く思っていないと思います。

 

しかし、ロシアへの制裁は将来解除されるのであって、ロシアの勝利に近い形で戦争が終結する場合、ウクライナはロシアから賠償金を得ることは見込めません。

そうなればウクライナにお金を貸した西側が 結果的に大損をする ということになるのです。

 

戦争が終わって和平合意が結ばれた場合、特に欧州は 安いロシアの天然ガスや石油をまた欲しい とも思うでしょう。

ロシアのパイプラインから来る天然ガスと比べて4~5倍も高い米国産LNGをいつまでも大量に買い続けたい というのは よほど自国経済を破壊したい人たちのみでしょう。

 

そうなれば、戦争が終われば 特に欧州はロシアに秋波を送ることも十分考えられるのであって、ロシアとの経済関係を再開する一方で、ロシア中央銀行の資産3300億ドルの資産を凍結したまま ということは絶対にありえないわけですから、借金のカタにロシアの資産を泥棒できる と思っている西側諸国は非常に甘い ということになります。

 

毎年GDPの15~20%もの借金が増え続けても、国のリーダーはじめ政治家はお金を盗みまくっているのに、借金を今のところ返す気もないウクライナ政府の借金の保証人になっているのは日本です。

 

「もっと兵器をくれ~。カネも足りない。」と言って、戦争の費用を調達するために、 自分のものではない、他人から与えられたクレジットカードを使って、自分の借金だとも思わずに浪費しまくって返す気は無いのが今のウクライナです。

 

日本は「アメリカの属国」とは言えど、少しくらいは「独立国」としての気概を見せてほしい。

世界的に見ると、日本は 庶民の生活レベルでは もうすでにそんなに豊かな国ではなくなっているのに、どんなに馬鹿げたことに日本が加担して、ムダ金を使っているのか、少しでも多くの日本国民に気付いてほしいと私は思います。