本日は 日本の食や農業が いかに米国からの外圧によって危険にさらされてきたか という話を下のリンク先のビデオからご紹介したいと思います。

 

 

 

このビデオに出演されてお話されている方は 私の以前の過去記事でも 一度取り上げたことがあるのですが、元農水省の官僚だった方で今は東京大学農学部の教授をされている鈴木宣弘氏です。

 

(上の写真:向かって左が鈴木教授、右が松田政策研究所の松田学氏)

 

私の以前の過去記事では 下の記事で鈴木教授の話を取り上げています。

 

 

 

その時におっしゃられていたことと、今回のビデオの中の話が 内容がかぶるところも多いのですが、あらためて 日本の農業、特に種子、肥料、酪農の飼料が危機に瀕していること、米国からの外圧によって、日本は 認められている食品添加物が世界でも最悪レベルに多くなっていること等、教授の話でご紹介したいと思います。

 

今回は完全な文字起こしではなく、ビデオを見ながら私が重要な点をメモしていったものをご紹介したいと思います。

 

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1.日本の”真の”食料自給率について

日本の食料自給率は37%ではなく、実質10%となっている。
37%というのはカロリーベースでの数字で、畜産での餌の自給率が二割しかないというのはいちおう考慮している。

しかし、肥料の原料はほとんど100%輸入に頼っている。肥料の輸入が止まれば収量は半分になる。野菜の自給率は8割あるというが、種はその1割しか自給できていない。野菜だけではなく、米や他のものの種も海外の大企業に差し出していくような制度改定が進められている。

最悪の場合は野菜と同じようにすべての農産物の種の9割を海外に依存するということになれば、実質自給率は9.2%になる。
種や肥料はもともと江戸時代には100%自給していたし、鎖国政策で物が外から入ってこないが国内で徹底的に循環させて、かつての日本は農業循環経済を作り上げていた。

それがアメリカの占領政策で日本は輸入に頼りなさいということで、アメリカの農産物が大量に余ったのを受け入れる形になって自給率が下がってきた。
 

ウクライナショックに加えて、今は世界での中国の食料の爆買いが脅威になり、日本が買いに行ってもなかなかものが残っていないという事態になっている。
中国は有事に備えて14億人の人口が1年半耐えられるだけの食料を備蓄しなければならないと、国内生産の強化だけではなく、世界中から穀物等を買い集めている。

それに加えて異常気象の通常かで日本も昨年は猛暑にやられたが、世界中で干ばつや洪水が当たり前のように起こっていて、経産省は「自動車等を売って食糧は世界で買えばいいんだ、食糧はいつでも安く輸入できる」と考えてやってきたのが我々のやってきた道である。
アメリカが日本にどんどん自国で余ったものを売って、日本をコントロールする という流れを我々は受け止めてきた。

私(鈴木教授)は農水省に15年いたので、農水省と経産省が犬猿の仲で、財務省は農水省になかなか金を出さないので、経産省にいいようにやられてきた。

そのような中で我々は輸入に頼ってきたが、それがもう頼れなくなってきたのではないか、と考えると食糧が量的にも質的にも危機になっている。

2.安いものには必ずワケがある

輸入物が安いとみんなが飛びついているが、食肉は アメリカではエストロゲンという女性ホルモンを注入して太らせれば4割くらい安く生産できる。そのような形で安くなったものを我々は輸入しているが、それは乳がんの増殖因子という見方もあって、日本の国内ではそういう牛や豚の肉は禁止。


日本はアメリカに忖度して日本の国内では禁止なのに、輸入肉の検査をザルにしている。我々は牛肉の自給率は3割しかないわけだから、国内で禁止をしていても、輸入で発がん性が疑われるホルモンの入った安全性に懸念があるものを受け入れている。
量的に(市場を)握られているので受け入れざるを得なくなっている。

だから質的に問題があっても受け入れざるを得ない。
量を握られれば、質的な安全保障を失うという構造になっている。

一方、EUはアメリカが何と言おうが、危ないものはダメだということで、エストロゲンの牛肉は拒否している。
アメリカだけでなく、他の国もEUに売れないとなると、日本向けに、日本人に食べてもらう という話になっていて、オーストラリアなんかはEUに売るときには禁止だからホルモンは使わないが、日本向けには大丈夫だからと、しっかり使っている。
農水省にも確認したが、「オージービーフなら大丈夫」だと思っている人が多いが、農水省に確認したら、オージービーフもきちんと「ホルモンは使っていない」とか断っていない限りは使われている とはっきり言っていた。

禁止しているEUには使わないが、日本には使えるから。
 

ある意味、世界の合言葉で「危ないものは日本へ」となってきているのではないかというような状況がある。日本はアメリカに忖度して(規制を)ゆるくしてあげているわけだから、そうなる。

3.BSEの検査について
BSEの検査については 全頭検査、若い24か月までの牛しか入れないということで最初はかなりきびしくやった、しかし、アメリカから怒られて「早くそんなことやめろ」と言われて、どんどんやめていった。
日米貿易協定が近年決まったが、アメリカの牛肉を全面的に受け入れるとしたので、それに合わせて検査を撤廃した。

アメリカではBSEは出ていないというお墨付きになっているが、その理由は検査率が1~2%だから。しかし、アメリカでBSEにかかっている牛は明らかにいる、

「ヘタレ牛」としてビデオや映像で分かるが、そういうものが屠畜場に運ばれているような映像があっても、検査していなければ「正常国」ということになっている。
日本はそのような中で、アメリカは「正常国」だから全面撤廃しろ と言われてどんな牛でもアメリカから受け入れることにした。

BSEに罹患している牛の肉が自由に入ってきている状態になっている。本来は食肉加工場で危険部位をきちんと取り除くことが出来ていればよいが、日本はそれができるが、アメリカはそこがまだできていないらしい。
そうすると危ない異常なプリオンが蓄積した脊髄がくっついたままの肉が日本に入ってきて実際に問題になっていたりもした。
だからBSEについても最初は厳しくしたが、アメリカ度の関係でもう全面的に受け入れることになって、牛肉について言うと、エストロゲンの問題と狂牛病に罹患している可能性の問題と二重の意味で質の安全に懸念が出ている。

4.食品添加物の問題
これもアメリカとの関係で、日本で1500の食品添加物をこれまで認めてきた。

アメリカであと2000位認めているものがあるが、それは日本で認めていないじゃないか となって順次認可しなさいという要請が もう文書に書かれている。

そうすると、日本は1年に2000を一気に認めるのは大変なので、今年はこの50個を認めるとか、順番を決めて、順次認めてきた。

だから日本はアメリカからの要求を完全に拒否する選択肢がないので、できるだけ少しづつ順番になっていく というのが日本の唯一の外交戦略。
1500あったところに2000を加えればそれだけで3500とかになって気が付いたら日本が一番、世界で食品添加物を認めている国になってしまった
 ということが起こっている。アメリカから言われるがままに追加させられてきたからである。

5.なぜ日本はアメリカに対してそんなに弱いのか
敗戦後の占領政策でアメリカからの余剰生産物を受け入れるということで関税撤廃をさせられた。
日本側もアメリカを喜ばせることで、農産物をいけにえにして、代わりに日本は自動車等の製造業の製品を売れるようにすればいいではないか と上手くアメリカの言うことを聞いて、その代わりに見返りとして自動車等の輸出を増やすのが日本の生き残る道だということで日本が上手く対応した側面がある。

農水省は貿易自由化を阻止することにそれなりに抵抗はし、TPPにも絶対にダメだと必死に抵抗したが、官邸も経産省も財務省もみんなこれは進めざるを得ないということで動いていたから、農水省の立場が 官邸での秘書官が財務、経産、農水とあって、それなりに発言できていた時代もあったが、「農水省が余計なことを反対するから、君らの言うことは聞かない」みたいな感じにだんだんとなってきて、みんなで勝手に決めたことを農水省はやらされるだけ ということになり、食料や農業を差し出すことになった。

故・中川昭一農水大臣が日本で脱脂粉乳の在庫が余っているからと言うことで周囲の反対を押しきって海外援助に使ったが、それがアメリカの市場を奪ったということで逆鱗に触れた。それだけではないが、彼はアメリカにも言うことは言うということで頑張ったが、あのようなことになった。
だから政治行政の皆さんのかなりの方が震え上がっていて、「アメリカに逆らうと、自分が持たない」と。だから国民が食べるものがなくなろうと、農業が潰れようが、自分の地位の保身が先だということになっていれば大変なことだ。
政治家も行政の皆さんも自分の立場を守ろうというのは分かる。
一人で戦ったら潰される という構造がずっと続いている。
アメリカに必ず何かで潰されてしまうという構造があって、アメリカに対して言うことが言えなくなってしまった。

 

戦後、日本の食生活を変えさせられてしまった というのもある。
アメリカは ただ余剰生産物を日本人に無理やり食べさせるだけではなく、日本人がそれに依存せざるを得ないように、食生活を洗脳した。
「コメを食うと馬鹿になる」という本を大学の医学部の教授に書いてもらって、アメリカの小麦を食べないと日本人はアメリカ人とまともに話のできる頭脳にならないんだとそこまで洗脳をやっていた。

それと、子供から変えてしまえということで、給食でアメリカのまずい小麦のパンと脱脂粉乳を食べさせた。脱脂粉乳は半分腐っていたという話があるが、本当は全部腐っていた。運んでくるときに1回腐ったものを温めていただけだ というものだった。

日本が食生活改善運動とかいろいろやったが、全部アメリカのお金。
学校給食会を作ったのもGHQで、食生活を変えることで日本人がアメリカの農産物に依存せざるを得ないような状況を作ってきた。

アメリカはもう1つ巧妙だったのが 日本の畜産は振興するということで、支援した。大量の余剰の餌の穀物をトウモロコシと大豆カスを日本で処理するには牛や豚に食べてもらうために日本に輸出して、日本はそれに依存してしまうから、今の酪農畜産はたしかに発展できたが、アメリカの餌、穀物がないと立ち行かなくなるような構造をアメリカに上手く作られた。

2008年にアメリカがトウモロコシを勝手にバイオエタノールにするとか言い始めて価格を吊り上げ、量を持ってこれないような状態にされたら、そこでお手上げになり、日本の酪農畜産農家がバタバタ倒れ始めるという、これだけもうアメリカに依存せざるを得ないようにされてきた。

もう1つが軍事面での関係で、アメリカに守ってもらっているという幻想を作られているので、アメリカの言うことを聞かないと大変なことになる ということで思考停止になってアメリカに従わざるを得ないという構造になっている。そしてその構造を強くしてしまったのが近年における政治行政体制。

アメリカのもう1つの戦略は 日本人の頭の構造を新自由主義というか、市場原理主主義、グローバル化することでとにかく規制撤廃と貿易自由化すれば皆幸せになるということで、アメリカに留学生をみんな呼び込んでおいて徹底的に教え込んで日本に返した。そういう人たちが官僚になったりしている。

皆を守るルールを破壊すれば、アメリカの「今だけ、金だけ、自分だけ」のグローバル企業とか日本のそことつながっているような人たちが自分たちに利益を集中できるような経済社会を作っていることになるから、農業も苦しくなれば、一般の人々も賃金が下がる、所得も下がる、結局格差社会ができた。

それが「改革」と言う名のもとに30~40年やってきて大失敗だったんじゃないかと言っているが、彼らにとっては大成功だった。
このような構造の中で、日米のお友達企業が儲けられるようにしてきたのもアメリカの洗脳政策が日本人の頭脳をそのようにしてしまった。

6.食管法について
昔はあったがなくしてしまったが、他の国はやっているし、それに近いものをやっている。
財務省から「金ばっかり食いやがって」という話になって、ああいうことはできないということになったが、食管法は優れた政策だと思うのは 農家の方が生産を続けられるように、1俵60kgを2万円で買って、消費者の皆さんはちゃんと買えるようにと、1万円で売る と、そのように両方を助けてその差を埋めるというのが政策の役割だと。

財政負担がかかるからそういう政策はダメだといって全て廃止してきたが。他の国は形は少し違っても、生産者の労働報酬も含めたコストに見合う価格と売っている価格に差が出たら、それをアメリカも 100%不足分は払います とか、ヨーロッパは多くの国はスイスやフランスなどは農家の所得のほぼ100%が税金で払われている。
財務省からすれば、そんなことあって良いわけがないだろうと日本では言われるようなことが世界では起こっている。
それだけ、食料を国内で確保することがいざという時に国民の命を守るかという認識である。

結局、普段の農業を守るためのコストが たとえ年間その食管制度みたいな形で1兆円余計にかかるとしても、いろいろな不測の事態、紛争や輸入が止まった時に食べるものがなくなってみんなが飢え死にするようなことになったら、それは取り返しのつかないコストだからである。


そういうリスクが今高まっていることを考えると、国民の命を守る一番の安全保障、まさに国防、国防はまさに不測の事態に国民の命を守ることなので、そのコストを普段からきちんと負担しておく というのがまさに防衛。

7.食料安全保障について

防衛増税をやって43兆円を使おうとしているが、そのようなお金があるのだったら、アメリカの在庫処分のミサイル買うのに何十兆円使うわけだが、まともに使えないような武器を43兆円も買うだけのお金があるのだったら、食管法みたいなものを復活して、それで毎年1兆円食料にかけることが本来の国防ではないか。

いざというときに国民の命を守るのが国防ならば、食料を国内で生産できるように、そこをみんなで財政的にも負担するということが国防の一丁目一番地ではないか。

そういうお金の使い方をすればいいが、防衛のほうにはアメリカからの要請もあるから、財務省も農水予算ばかりを切って、1970年にすでに1兆円近くあったものが50年以上たってもまだ2兆円で、これ以上は出せるか って言われている。
 

防衛予算はどんどん膨らんで毎年10兆円規模。軍事、食料、エネルギーが国家存立の3本柱と世界的にも言うけれども、その中でも一番命を守るために必要なのが食料。
食料をないがしろにして武器だけ43兆円も買って、攻めていくぞ、なんて言ったって、戦う前に中国にシーレーンを封鎖されたら、飢え死にして終わりじゃないですか。非常にいびつな政策になっている。

8.グローバリストが推進している政策について
一方ではまともな食糧生産がどんどん減っても コオロギを食べればいいじゃないかみたいな話もあって。ヨーロッパの農民一揆と関係している。
要するに、環境に悪いのが農業や漁業だという話になって、こういったものをやめてコオロギと人工肉とバイオ肉にしましょう という動きをダボス会議に集まっているような巨大なグローバル企業の皆さんが次のビジネスとして考えている。

日本でも農業はどんどん潰れているのに、コオロギを食べればいいじゃないかという議論になっている。地球温暖化の一番の悪者が 田んぼのメタンガスと牛のゲップだという話になっている。田んぼも何千年も前からあるし、牛もずっと前からゲップしているのだから、工業化したから温暖化したというのは明らかだが、悪いのは農業、酪農、畜産だと言い始めた。だからそういう人工的なものを食べればいいじゃないか という流れに持って行こうとしている。

河野太郎がテレビでコオロギを食べるパフォーマンスをやっていたが、普通コオロギは食べないじゃないですか。イナゴとか蜂の子は食べても、コオロギは食べなかったというのはそれなりの理由がある。危ないということだ。

それをわざわざ徳島県の高校の給食で出してみたり、今はもうみんな食べているんですよ。表示もしなくても、「コオロギパウダー」って書かなくてもいいよ ってことで、もう「アミノ酸」とかそんなふうに書いて、そのパウダーをどんどん日本人が食べている食品に混ぜてきている。知らないうちに一般の人も食べてしまっている。

ヨーロッパでは こういう、農業は悪者だ という流れを作ろうと今していて、補助金を大幅にカットするということを言い始めたので、農家が起こってトラクターや人海戦術で道路を封鎖して、中心部から食料を消してしまうようなことまでやっている。ドイツではトラックに牛や豚の糞尿を積み込んで国会議事堂にまき散らしているが、国民は「そうだ、みんなで頑張ろう。食料を守ろう」と言って一体化して頑張っている。そのくらい世界は怒っているが日本の皆さんは我慢強い。
日本人もここはもう少しよく考えて、自分たちがどのような状況に置かれているか、考えるべき。

9.私たち国民一人一人ができることは?
国がなかなか動かないので、自分たちの力で地域から流れを変えていくことをやらなければいけない。消費者としてやらないといけないのは「安いものには訳がある」ということで、輸入物が全部悪いとは言わないが、リスクのあるものが多いのだから、そういうものをできるだけ避ける。
自給率がこんなに低いというのは みんながそれに飛びついているということでもある。今更関税を高くして輸入を減らすことはできないが、国民がそれを志向している、買ってしまっているということが大きな要因なので、自分たちの命、子供たちの命を守るには リスクのある輸入物に依存するのではなく、できるだけ地域地域に安全安心なものをおいしく作ってくれている人たちがいるわけだから、そういう人たちのものを出来るだけ買う「地産地消」がベースになる。そういう意味での消費行動と地域で地産地消で農業生産してもらったものを自分たちのところでしっかり消費するような仕組みづくりを広げていけるかどうかというのが一番のカギになる。
 

給食の公共調達、市長や町長が動いて、輸入の小麦は安いけれども収穫後農薬と収穫前の農薬の問題とか両方あるので、リスクがある。地元の小麦やできるだけコメを小麦の代わりに使ったりしたりして、できるだけ地元の安全安心な食材を子供たちに出せるように市や町が買い取る という公共調達で、今オーガニック給食とかの動きも広がってきているが、これが大きなカギになる。

よく例に出るのは千葉県いすみ市の市長さんが有機米作ってくれたら1俵24000円で買い取りますから頑張ってくださいと言ったら、有機米農家は1軒もなかったけれども、試行錯誤で頑張って、4年位で市内の給食全部有機米になった。

それから野菜もかなり有機になってきた、もちろん完全有機では無理でも、減化学肥料、減農薬特別栽培米でもそこから始めてもいいわけだが、それに触発された動きが本当に広がっていて、京都の亀岡市の市長さんは「いすみ市が24000円なら私はその倍、48000円で買い取ります」ということで、ちょうど私がセミナーでお話させてもらった後に亀岡市の市長さんが宣言したので、農家の皆さんから拍手が起こった。
 

だからそのくらい、財務省がお金を出してくれなくても、市町村が財政が厳しくても子供の健康を守る予算は俺たちが何とかする ということでやってくれれば、農家にとっても しっかりとした出口需要ができて、価格も安定する、

子供も元気になると、やりがいもある とみんながハッピーになる。
しかも地域で物が循環するわけだから、たとえば、いすみ市でもあそこはいい給食を出してくれて子供たちが元気になっている というのを聞きつけて、移住者が増えている。そうすると人口も増えてくる。

財政が厳しいからといって、増税するとか、支出を減らすとか、そんなことばかりやっていると経済も社会もどんどん縮小するだけ。
「ローカル自給権」と言って、地域の種を持って、それでできたものをみんなで消費して回していくという仕組みを作る。
明石市の泉市長も暴言とかで辞められたが、あれだけの赤字財政の中で増税じゃなくて子供を守る給食の無償化とか、そういう予算を2倍に増やしたわけで、「何やってんだ」と言われたけれども、結果的に子供が元気になって、商店街が活性化して出生率も増えて人口も増えて税収は増えてきた。
子供や命を守る食に関わる政策をちゃんとやれば、結局財政も健全化する。


10.日本人と和食
間違いなく。コメを中心とした食生活が日本人にとって健康を守るのに適している。地域の土があり、そこで育ったものを食べるのがその人間にとって一番適している。日本は田んぼがたくさんあってそこでできたコメを中心に食生活をしてきたというのが地産地消であり、できるだけ地域で、少なくとも国内で、そしてできるだけ自分が住んでいる地域でとれるものを中心にして食べていけばみんなの健康が守れる。
 

土壌にいる細菌とかが胃にも入ってきたりして、土壌の細菌が人々の腸内細菌とも関連しているので、地産地消的な日本の風土に合ったものをしっかりと支えるのが一番のベースになる。日本人の腸内細菌と他の国の人の腸内細菌は違うと言われている。たとえば日本人はワカメは食べられるが、西洋人は食べられない等、遺伝的にそういうふうになっているのはそこの風土で長年生きてきたのがそういうふうになった。


それがいきなりアメリカの食生活改善運動が始まった。「コメを食うと馬鹿になる」と言われて、どんどんパンと肉を食べさせられたが、日本人にはそんなに合っていない。日本人は牛乳を飲むだけでおなかがゴロゴロする人が割と多いが、牛乳については色々な評価があるが、私は栄養素が詰まった飲み物、1つ重要な食料としてしておく必要があると思うが、できるだけ日本の風土にあう形で献立や食生活を考えることが大事。

農水省も平成18年に食糧自給率レポートというので、食生活をもう少しお米中心の和食にすれば、食料自給率は63%まで上げられるという数字も出している。

「これはいいじゃないか、これに基づいてみんなで行動計画、予算もつけてもらって頑張ろう」と思って私も調べたら、なんと、ネットでアクセスできなくなっている。
これも不思議な話というか、当たり前の話というか、要するに日本の食料自給率が和食中心になって63%まで上げるというのはあってはいけない、国民が知ってはいけない ということではないか。


色々な形で厳しいレールが敷かれているが、そこは地域、地域で変えていくしかないかなと思う。
みんなが自分の地域で大事な在来の種、固定種をしっかりと守って循環できるようにして、生産してくれたものをみんなで給食で支え、JAも力を入れているが、マルシェとか直売所のような仕組みをもうちょっと拡大していけば、お互いに生産者も消費者もプラスになるので、そういうことも含めて地域の種から作る循環型食料自給権、ローカル自給権、それを地域通貨とかそういうものでローカル自給権、地域通貨がセットになれば地域からどんどん日本が変わっていくという流れ、それに自治体の政治行政がしっかりと関わってサポートしてくれれば、それがうねりとなって、国の政治行政も 自分たちも取り入れざるを得ないということになって国の政治も面的にそういう人たちが増えていけば、過去の例のように、一人でアメリカに対抗しようとして潰されてきた方が何人もおられるが、国会議員の皆さんがそういう動きを取れるようになれば変わってくると思う。


地域からの自分たちの取り組みを地域の政治行政がそれを受け止めて全国的な広がりで国の政治も変えていくという、うねりを起こせればと思う。
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以上が 鈴木教授の話のポイントを書きとったものです。

 

色々と大事なことを話されていますが、日本の食料自給率は37%ではなく、種まで考慮すれば、実質10%を切るくらいにまでなっている というのは 農業従事者の平均年齢が68歳とか、70歳近くになっていることも含めて、もっと深刻に考えなければならないと思います。

 

日本はまさに、GHQの占領政策で、経済成長、特に自動車メーカー等の世界進出、売上拡大と引きかけに農業政策を常に犠牲にしてきたのであって、その結果として

食管法の廃止、自由貿易の為の関税の撤廃、減反の推進、農業への補助金縮小、アメリカの農産物を受け入れる為に食品添加物の規制を世界最悪レベルにまで緩くすることをずっとやってきました。

 

しかし諸外国を見れば、農家を保護するために補助金で農家が農業を続けられるようにする、いくら外圧がかかろうが、国民の為に食の安全を守る というのは ごく当たり前のことですので、農家への補助金を減らそうとしたり、CO2削減の為に農地を減らそうとしたり、ウクライナからの安全性に疑念がある安い穀物に関税を撤廃したら、EUの多くの国で 大規模な農家のデモが起こったわけです。

 

それと、昆虫食やバイオ肉などの推進は まさにダボス会議に出ているような世界のごく一握りのエリートたちが推進している政策であって、私たち、「下々の者」には

CO2を減らすために畜産の肉も食べないようにしましょう、昆虫やバイオ肉を食べましょう と言っておきながら、一方で彼らエリートは プライベートジェットでダボス会議に乗り付け、普通に畜産の肉も食べて、ビル・ゲイツ氏のように いざ、戦争や食料危機が起こった時の為にと、世界中に農地を買い漁っているわけです。

 

 

 

鈴木教授がおっしゃるように、食料は安全保障の「一丁目一番地」であるのに、米国の在庫処分の役に立たないと分かっているトマホークミサイルを400発購入 とか、防衛政策が本当の「防衛」とは程遠いもので、愚かすぎて話になりません。

 

基本的に「コメ以外のものは輸入すればよい。コメも余っているから減反しろ」 というのが日本の農業政策なのでしょうけど、野菜や果物の種のほとんどが輸入であることや畜産の飼料の大豆やトウモロコシ、麺類やパンに使用する小麦のほとんどが輸入であることを考えれば、いざ「有事」となったときには、日本周辺のいわゆる「敵対国」、要するに中国、ロシア、北朝鮮よりも先に 飢え死にしてしまうほど、エネルギーだけではなく食料も海外に依存しているのが日本ではないでしょうか。