先日4/27にご紹介したブログ記事で 米国のコロンビア大学から始まった、イスラエルが行っているジェノサイドに対する抗議活動、パレスチナ人への連帯を示す抗議活動が米国全土の大学にまで広がりを見せていることをご紹介しました。

 

 

その後の経過についてですが、各大学はたくさんの学生を逮捕したり、デモに参加している学生を退学扱いにしたり、警察や州兵が強制的に抗議する学生のテントを撤去したりしています。

 

イスラエルのネタニヤフ首相からの強い抗議、警告もあってか、ユダヤ人が大きな影響力を持っている米国の議会では 大学も含めて米国連邦政府の資金提供を受ける機関には「反ユダヤ主義監視員」を設置する というとんでもない法案が提出されるようです。

 

List of US colleges advocating for divestment from 'Israel': Newsweek

(「イスラエル」からの投資撤退を主張する米国の大学のリスト:ニューズウィーク)

 

(以下、上記記事の一部抜粋和訳開始)

 

学生運動が勢いを増す中、ニューズウィークは「イスラエル」との関係断絶を主張するいくつかの大学のリストを発表した。

親パレスチナ抗議活動は全米の大学キャンパスを襲い、「イスラエル」やイスラエル関連機関からの断絶を求める声が上がっている。

学生の抗議活動や運動がますます勢いを増すにつれ、警察がその取り組みを阻止しようとして数百人が逮捕され、政府は参加者を最終的に処罰する法案の導入に動員した。 

イスラエルのロビイストとイスラエル政府は、「イスラエル」に向けられた批判や占領からの撤退要求を黙らせるために、こうした動きに対してさらなる行動を取るよう米政府当局者に執拗に圧力をかけている。

全米のキャンパスで親パレスチナデモが拡大する中、民主党のリッチー・トーレス米国下院議員は金曜日、米国の連邦政府の資金提供を受ける機関にいわゆる反ユダヤ主義監視員を設置する法案を提出すると発表した。

 

(記事の一部抜粋和訳終了)

 

 

これは あくまでもイスラエルによるパレスチナ人虐殺に対する抗議に参加しているデモ参加者を「ユダヤ人へのヘイトクライム」の犯罪者だと位置づけて 言論弾圧を行おうとする酷いものだと思います。

 

中には 平和的に抗議をしているデモ参加者を”テロリスト”だと呼んでいる シオニストやロビー団体もいます。

そして、イスラエルの国旗を持った人たちの「カウンターデモ」が組織されていて、彼らのカウンターデモの行動やデモを強制的に排除しようとする警察官のほうが パレスチナ連帯の学生たちの行動よりもよほど暴力的です。

 

下は警察官による暴力的な取り締まりの様子です。まるで強盗を逮捕するときのように、首を絞められて地面に押さえつけて、下手をすれば窒息死しかねないような拘束の仕方をやっています。

 

 ↓

米国の警察は全米の大学生たちを殴り倒している。

誰がテロリストなのかは明らかじゃないか?

 

そして、イスラエルの国旗を持った「カウンターデモ」の人たちが なんと "Kill the Jews!"(ユダヤ人を殺せ!)と自作自演のやらせをやっています。

(下のビデオのタイトル:キャンパスでの抗議活動で偽旗の詐欺師が「ユダヤ人を殺せ」と叫んだ)

 

 

 ↓

ノースイースタン大学は、「ユダヤ人を殺せ」と叫ぶ声が聞こえたため、ジェノサイド反対の抗議活動を鎮圧した。

(ビデオの)10秒のところで、その言葉を発したのはイスラエル国旗を掲げた親イスラエル派の反対派デモ参加者であることが明らかである。

シオニストによるヘイトクライムの新たな捏造

 

下は親イスラエルのカウンターデモ参加者が親パレスチナのデモを行ってる学生に暴力をふるっていることについての記事です。

 

UCLA: Pro-Palestine student encampment attacked by pro-Israel counter-protesters

 

(和訳開始)

 


100人以上のイスラエル支持者がUCLAの親パレスチナ学生を襲撃

抗議会場を撤去するために棒、ポール、クマよけスプレーを使用

 

 

火曜日遅く、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で暴力が勃発し、親イスラエル支持者のグループが親パレスチナ人の学生を棒や棒で 攻撃し 、仮設の学生キャンプを破壊しようとした。

地元テレビ局KTLAの報道によると、暴力は現地時間の22時50分頃に親イスラエル支持者らが野営地に到着し、親パレスチナデモ参加者に向けて花火を打ち上げ、クマよけスプレーのようなものを散布したことで勃発した。

地元メディアは、親パレスチナの学生たちが飛沫から傘をかぶる様子を映した。 KTLAによると、少なくとも1人が治療のため救急車で搬送された。 
 

 ↓

親イスラエル派の暴徒が夜遅くにUCLAの親パレスチナ派のキャンプ地を包囲し、抗議者を攻撃し、キャンプ地に花火を投げ込み始めたため、暴力が勃発した。

 

下はフロリダ大学での親パレスチナの抗議参加者に催涙ガスが使われているところです。

 

 ↓

警察は、イスラエルのガザ戦争を非難するためにサウスフロリダ大学にキャンプを設置した抗議者らに催涙ガスを発射した。キャンプが撤去される際に数人の学生が逮捕されたと報じられている。

 

このような行き過ぎた取り締まり、言論弾圧について、米国議会の議員たちのほとんどは ユダヤ系ロビイスト団体の支援を受けているので、賛成しています。

彼らがおかしいのは 学生たちが抗議しているのはイスラエルが行っているパレスチナ人に対する虐殺への抗議なのであって、それには良識のあるユダヤ人学生も参加している ということを完全に無視していることです。

 

パレスチナと連帯を示せば なぜか「テロリスト」扱いされたり、「虐殺をやめろ」と言ったら「反ユダヤ主義だ」とか「レイシストだ」と言われることのクレイジーさを 本当は政治家は分かっていてもそれを口にできないのでしょう。

 

下は下院でイスラエルを批判したら「反ユダヤ主義」となってしまうような法案が可決されてしまった という5/1付のニュースです。本当に酷い言論弾圧、思想弾圧が行われようとしています。

House Passes Bill That Conflates Criticism of Israel With Antisemitism

 

(和訳開始)

 

下院、イスラエル批判と反ユダヤ主義を混同する法案を可決
この法案は、教育省が大学の抗議活動を弾圧するために利用できる反ユダヤ主義の定義を採用している


下院は水曜日、現代イスラエル国家への批判と反ユダヤ主義を混同し、連邦反差別法を施行する際に教育省がその定義を使用することを義務付ける法案を圧倒的多数で可決した。

この法案は、ユダヤ人学生が抗議活動に参加しているにもかかわらず、「反ユダヤ主義者」と誤ってレッテルを貼られている全国の大学キャンパスでの親パレスチナ抗議活動参加者を取り締まるために利用される可能性がある。

この法案は国際ホロコースト記憶同盟(IHRA)の 反ユダヤ主義の定義を採用しており、反ユダヤ主義の一例として「現代のイスラエル政策とナチスの政策を比較すること」を挙げている。

IHRAはまた、反ユダヤ主義を「他の民主主義国家に期待も要求もしない行動をイスラエルに要求する」ことによってイスラエルに「二重基準」を適用し、「イスラエル国家は人種差別的な取り組みだ と主張することによってユダヤ人の自己決定権を否定する」ことであると定義している。

この法案は320対91の投票で可決され、現在上院で採決に向かっているが、共和党議員21名、民主党議員70名から「反対」票を獲得した。反対派は、憲法修正第 1 条を脅かすため、この法案に反対票を投じたと述べた。

「反ユダヤ主義は間違っているが、この法案は憲法や常識、さらには言葉の意味の共通理解さえも無視して書かれている」とマット・ゲイツ下院議員(共和党、フロリダ州)は採決に先立ってXについて書いた。

ゲーツ氏は、反ユダヤ主義の一例として「ユダヤ人がイエスを殺害したという主張」を挙げているIHRAの定義の別の部分を指摘した。 「新約聖書そのものが、この法案の条項に基づく反ユダヤ主義の定義に該当することになるでしょう!」彼は言った。

トーマス・マッシー下院議員(共和党、ケンタッキー州)はこの法案に反対し、この法案は「キャンパス内での活動に対する訴追を増やす」目的で提案されたと述べた。

ジェリー・ナドラー下院議員(民主党、ニューヨーク州)もこの法案を批判した。同氏は「イスラエルを批判する言論だけでは不法な差別には当たらない」と述べた。 「イスラエルに関する純粋に政治的な言論をタイトル VI の範囲に含めることにより、この法案は範囲が広すぎる。」

ナドラー氏は昨年、反シオニズムと反ユダヤ主義を混同する法案に反対した際にも、シオニズムに反対するユダヤ人が存在することを指摘し、同様のコメントを述べた。 「この決議は、今日でも特定の正統派ハシディズム派ユダヤ人コミュニティーニューヨークのサトマール派やその他のコミュニティーや、国家化以前のユダヤ人労働運動の支持者らが、現代のシオニストの概念とは相容れない見解を持っているという事実を無視している。」彼は言った。

 

(和訳終了)

 

大学でのイスラエルに対する抗議にも ユダヤ人学生も参加していますが、彼らが参加する理由は やはり イスラエル政府が現在やっている現代の歴史上まれに見る酷い虐殺、民族浄化行為を看過できない という他に、シオニストのユダヤ人がそのようなことを行うことで、シオニストではないユダヤ人も 社会から疎外されることになるのではないか という恐れもあると思います。特に若い世代には 年配世代と比べてパレスチナに対して同情的なの意見のほうが多いので、大学生ならば、なおさら そのようなことも気にすると思います。

 

そして、上の記事に出てきたシオニストのロビー団体、”国際ホロコースト記憶同盟(IHRA)”についてですが、彼らが定義している、「反ユダヤ主義」とはどのようなものか、IHRAのHPに掲載されていますので、下でご紹介します。

まさに表現の自由さえも損ねるような、異常に幅広い定義になっています。

 

”反ユダヤ主義”の実際の定義

 

●過激なイデオロギーや過激な宗教観の名の下に、ユダヤ人の殺害や危害を呼びかけ、援助し、あるいは正当化すること。

●ユダヤ人そのもの、または集団としてのユダヤ人の権力について、欺瞞的、非人間的、悪者扱い、または紋切り型の主張をすること。たとえば、世界的なユダヤ人の陰謀やユダヤ人がメディア、経済、政府、機関、その他の社会を支配しているという神話など、ただしこれに限定されないものに限定されません。

●単一のユダヤ人またはグループによって犯された実際のまたは想像上の悪行、または非ユダヤ人によって犯された行為に対しても責任があるとして、ユダヤ人を国民として非難する。

●第二次世界大戦中の国家社会主義ドイツとその支持者および共犯者によるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の事実、範囲、メカニズム(ガス室など)または意図性を否定する。

●民族としてのユダヤ人、または国家としてのイスラエルを、ホロコーストをでっち上げた、または誇張したとして非難する。

ユダヤ人国民が自国の利益よりもイスラエル、あるいは世界中のユダヤ人が優先しているとされていることに忠実であると非難。

イスラエル国家の存在は人種差別的行為であると主張するなど、ユダヤ人の自決権を否定する。

●他の民主主義国家には期待されていない、または要求されていない行動を要求することによって二重基準を適用する。

●イスラエルまたはイスラエル人を特徴付けるために、古典的な反ユダヤ主義に関連するシンボルやイメージ(例:ユダヤ人がイエスを殺害したという主張や流血の名誉毀損など)を使用する。

現代のイスラエル政策とナチスの政策を比較する。

●ユダヤ人にイスラエル国家の行為に対する集団責任を問う。

反ユダヤ主義的行為は、法律でそのように定義されている場合には犯罪となります(たとえば、ホロコーストの否定や一部の国での反ユダヤ主義的資料の配布など)。

犯罪行為は、攻撃対象が人であれ、建物、学校、礼拝所、墓地などの財産であれ、ユダヤ人である、またはユダヤ人である、またはユダヤ人と関係があるとみなされるという理由で選ばれた場合、反ユダヤ主義的である。

反ユダヤ差別は、ユダヤ人に対して他の人が利用できる機会やサービスを否定することであり、多くの国で違法です。

__________

 

私が特に問題だと思う部分を赤字にしてみたのですが、「ユダヤ人がメディア、経済、政府、機関等を支配している」というのは事実であって、それを言っただけでも

”反ユダヤ主義”に該当してしまうことがそもそもおかしいです。

ちなみに、下の写真は米国の大手メディアにいるユダヤ人たちです。

 

 

アメリカの人口のわずか2%程度しかいないユダヤ人が これだけ大手メディアにいるというのは「支配している」と言えるのではないでしょうか。ラッパーのカニエ・ウェスト氏もそのような「事実」を言ったので スポンサーから契約を打ち切られたりするということになりました。(下の記事で詳しくご紹介しています)

 

 

 

 

 

 

そして、「ホロコースト」については それがあった ということ自体を否定する方はほとんどいないでしょう。

議論になっているのはユダヤ系団体が主張している「公称600万人」という犠牲者の数が 事実よりも多すぎるのではないか ということと、ガス室というのは本当に毒ガスが使われていたのか ということに異論を言っている方もおられる ということです。

 

これは日本の文芸春秋社の『マルコポール』がそのようなことを記事にして、ユダヤ系ロビー団体に激しく抗議されて雑誌廃刊の原因になった ということがありますし、ガス室の問題に疑問を投げかける本も出版されています。

 

犠牲者の数の問題、ガス室の真偽の問題は それを研究する学者もいてよいもわけで、一方の意見のみが正義で他方は絶対に間違っているから、否定論者は「反ユダヤ主義」の烙印を押されて犯罪になる と主張すること自体がおかしいのではないでしょうか。

 

次に、「イスラエル国家の存在が人種差別的」、これはまさしくその通りでしょう。

彼らがパレスチナ人に対してやっているガザでのアパルトヘイト政策、ヨルダン川西岸での生存権を奪う政策、これは イギリスやフランスをはじめとした西欧諸国とアメリカ等がかつて彼らの植民地の奴隷に対して行っていた虐殺と同じ人種差別的な政策、そのものです。

 

そして、「イスラエルの政策をナチスと比較」って、比較されるようなことをやっているのは パレスチナに入植してきてアラブ人たちの同意もなく、無理やり国家を作ったシオニスト・ユダヤ人ではないでしょうか。

 

実際にナチスと比較することもできるくらいに、酷いことをやっているし、現ネタニヤフ政権の閣僚が堂々とパレスチナ人の絶滅計画を口にしています。だからナチスと比較されても全く不自然ではないものです。

 

下のニュースはイスラエルの国家安全保障大臣のベン・グヴィル氏が 降伏したパレスチナ人を捕虜にすると刑務所が「過密状態」になるので拘束者を処刑すべきだ という発言をした というニュースです。

 

 ↓(日本語に変換したもの)

 

 

このようなことを 悪びれもせずに堂々と主張する というのは ナチスと比較されても全く不自然ではないですよね。

 

何より、「イスラエルに自決権のある」国家として尊重しろ というのならば、パレスチナの自決権はどうなるのでしょう?

パレスチナ人も自決権があり、国を作る権利があり(日本は含まれていないが、140か国以上がパレスチナを国家として認定している)、自衛権として軍隊を持つ権利もあります。それは国連で定められたものです。

 

「3000年前にそこに住んでいた」という、本当かどうかも分からない”神話”的なことに基づいてパレスチナの地にやってきて、そこに千年以上前から住んでいるパレスチナ人を追い出し、抵抗すれば子供であろうが女性であろうが、容赦なく殺して、「テロリスト」扱いする。そして、イスラエルの権利ばかりを主張して、パレスチナには権利が全くなく、パレスチナ人には人権や生存権、移動の自由すらも認めていない というのが 侵略国家であるイスラエルの実態なのです。

 

下のビデオは私がアルジャジーラのドキュメンタリーに字幕を付けたものですが、まだご覧になられていない方はぜひご覧ください。

 

パレスチナ人と少数の”セム系ユダヤ人”が問題なく共存していたパレスチナの地に 英国の二枚舌外交の「バルフォア宣言」以降、東欧やソ連地域から いきなり”アシュケナージ系ユダヤ人”が大量にやってきて、パレスチナ人が作った駅や鉄道、港湾、学校等のインフラをそのまま奪い取って今でも使用しているのがイスラエルです。

パレスチナは侵略者によって”盗まれた”土地なのです。