国民の支持率わずか16%台の岸田首相が「国賓待遇」でアメリカを訪問したニュースが先日大きく取り上げられていましたが、私は あまり岸田氏の姿を映像で見たくもないので、首相の訪米関係のニュースはチラ見する程度で、しっかりニュースを読んだわけではありません。

 

しかし、それでも目についたのは「本当に国賓待遇なのか?」というほど、雑な出迎えしかされなかった日本の首相の姿と、米大統領専用車”ビースト”に乗せてもらって子供のように嬉しそうにはしゃぐ顔を見せた姿、そして議会で演説したものの、その内容が 「ますます米国の奴隷になります!」宣言みたいなもので、日本は あくまでアメリカの奴隷、植民地でしかないのだな・・・とあらためて世界にアピールした情けない訪米だったと思います。

 

まずは 米国の空港に着いた時のお出迎えのシーンですが、実に寂しいですね。

出迎えたのが 駐日大使のラーム・エマニュエル氏だけで 大統領の姿も、副大統領の姿も、他国で言えば外務大臣の地位に相当する国務長官の姿もなし。

 

 

下は中国の習近平主席が米国訪問した際の出迎えのシーン。

 

ジャネット・イエレン財務長官、アントニー

・ブリンケン国務長官などの姿があります。

 

 

このように、実に雑で寂しい扱いの出迎えしか受けなかった岸田首相が 米大統領専用車の”ビースト”に乗せてもらったのは 夕食会の会場に向かう際です。

 

(上の写真:バイデン大統領と一緒に”ビースト”に乗って満面の笑顔の首相)

 

最低だったのは4/12の米国議会での演説でしたね。

 

演説の全文を見たい方は こちらの首相官邸のHPからご覧ください。

米国連邦議会上下両院合同会議における岸田内閣総理大臣演説

 

私のブログでは 全文を取り上げる価値もないので、ツッコミどころ満載の重要なポイントだけご紹介します。全部読むのが退屈な方は赤字にした部分だけでもお読みいただければ、と思います。

 

(以下、岸田首相スピーチの一部転載開始)

 

米国は、経済力、外交力、軍事力、技術力を通じて、戦後の国際秩序を形づくりました。自由と民主主義を擁護し、日本を含む各国の安定と繁栄を促しました。そして必要なときには、より良い世界へのコミットメントを果たすために、尊い犠牲も払ってきました。
 およそ人類は、権威主義的な国家に抑圧されるような、つまり、追跡され、監視され、自己の内心の表現を否定されるような生き方はしたくない。米国の政策はそのような前提に基づいていました。
 米国は、自由こそが人類にとっての酸素のようなものだと信じていました。
 この世界は、米国が引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としています。
 しかし、私は今日、一部の米国国民の心の内で、世界における自国のあるべき役割について、自己疑念を持たれていることを感じています。
 この自己疑念は、世界が歴史の転換点を迎えるのと時を同じくして生じているようです。ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます。
 米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面しています。そしてそれは、私たちとは全く異なる価値観や原則を持つ主体からの挑戦です。
 自由と民主主義は現在、世界中で脅威にさらされています

 気候変動は、自然災害、貧困、そして地球規模での避難民を引き起こしています。新型コロナウイルスのパンデミックでは、全人類が苦しみました。
 AI(人工知能)技術の急速な進歩により、AIの本質をめぐり、その将来性と危険性との狭間で、攻防が繰り広げられています。
 経済力のバランスは変化しています。グローバル・サウスは、課題と機会の双方に対処する上で一層重要な役割を果たし、より大きな発言力を求めています。
 日本の近隣諸国に目を向けると、現在の中国の対外的な姿勢や軍事動向は、日本の平和と安全だけでなく、国際社会全体の平和と安定にとっても、これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしています。
 中国からのこのような挑戦が続く中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序や、平和を守るというコミットメントは、引き続き決定的な課題であり続けます。
 広島出身の私は、自身の政治キャリアを「核兵器のない世界」の実現という目標にささげてきました。NPT(核兵器不拡散条約)体制の再活性化と、国際的機運の向上に長年取り組んでまいりました。しかし、東アジアでは、核兵器拡散の差し迫った危険が存在します。北朝鮮による核・ミサイル計画は、直接的な脅威です。北朝鮮による拉致問題は、引き続き重大な問題です。
 北朝鮮による挑発は、地域を越えたインパクトをもたらしています。北朝鮮は、ウクライナに対する侵略戦争を支援するための弾道ミサイルをロシアに輸出し、その結果、ウクライナの人々の苦しみを大きく増大させています。
 ロシアのウクライナに対するいわれのない、不当で残酷な侵略戦争は3年目を迎えました。私がよく申し上げているとおり、今日のウクライナは明日の東アジアかもしれません。さらに、ロシアは核による威嚇を継続しており、核兵器の惨禍が実際に再び繰り返されるのではないかと世界が懸念しています。このような現実の中で、日米同盟の抑止力の信頼性と強靱(きょうじん)性を維持するために、日米間の緊密な連携がこれまで以上に求められています。
 新しい形の抑圧が、世界で見られるようになっています。デジタル技術を通じた自由の抑圧も行われています。ソーシャルメディアは検閲され、監視され、そしてコントロールされています。
 経済的威圧や、いわゆる「債務の罠」外交と呼ばれる、国家の経済的依存を悪用し、武器化する事例が増加しています。
 このように急速に変化する困難に直面し、私たちは、私たちが共有する価値をいかに守り続けるのでしょうか。
 ほぼ独力で国際秩序を維持してきた米国。そこで孤独感や疲弊を感じている米国の国民の皆様に、私は語りかけたいのです。そのような希望を一人双肩に背負うことがいかなる重荷であるのか、私は理解しています。
 世界は米国のリーダーシップを当てにしていますが、米国は、助けもなく、たった一人で、国際秩序を守ることを強いられる理由はありません。
 もちろん、米国のリーダーシップは必要不可欠です。
 もしも米国の支援がなかったら、モスクワからの猛襲を受けたウクライナの希望は、どれほど前についえ去ってしまっていたことでしょう。
 もしも米国の存在がなかったら、インド太平洋地域はどれほど前に、より厳しい現実にさいなまれていたことでしょう。
 皆様、米国の最も親しい友人、トモダチとして、日本国民は、自由の存続を確かなものにするために米国と共にあります。それは、日米両国の国民にとどまらず、全ての人々のためにであります。

 私は、これを米国への強い愛着から述べているのではありません。私は理想主義者であると同時に、現実主義者です。自由、民主主義、法の支配を守る。これは、日本の国益です。
 日本国民は、これらの価値に完全にコミットしています。人権が抑圧された社会、政治的な自己決定権が否定された社会、デジタル技術で毎日が監視下にある社会を、私は我々の子供たちに残したくありません。
 皆様も同じく感じておられますよね。これらの価値を守ることは、日米両国、そして世界中の未来世代のための大義であり、利益でもあるのです。
 今この瞬間も、任務を遂行する自衛隊と米軍の隊員たちは、侵略を抑止し、平和を確かなものとするため、足並みをそろえて努力してくれています。
 私は隊員たちを賞賛し、感謝し、そして、隊員たちが両国から感謝されていることが、私たちの総意であると知っています。
 「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思います。共にデッキに立ち、任務に従事し、そして、成すべきことをする、その準備はできています。
 世界中の民主主義国は、総力を挙げて取り組まなければなりません。
 皆様、日本は既に、米国と肩を組んで共に立ち上がっています。米国は独りではありません。日本は米国と共にあります。

 日本は長い年月をかけて変わってきました。第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控え目な同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました。
 日本は国家安全保障戦略を改定しました。インド太平洋地域の将来の安定に関する不確実性が、私たちの政策、さらには考え方自体を変える契機となったのです。私自身、日米同盟を一層強固なものにするために、先頭に立って取り組んできました。
 2022年、日本は、2027年度までに防衛予算をGDP(国内総生産)の2パーセントに達するよう相当な増額を行い、反撃能力を保有し、サイバーセキュリティーを向上させることを発表しました。今日、日米同盟の抑止力は、かつてなく強力であり、それは米国の日本への拡大抑止によって強化されています。
 日本は、ロシアによるウクライナ侵略を受け、強力な対露制裁を実施しています。ウクライナに対し、対無人航空機検知システムを含む120億ドル以上の援助を表明してきました。このシステムの供与は、NATO(北大西洋条約機構)による支援策の一環であり、そう、日本は、地球の裏側にあるNATOとも協力しているのです。
 さらに、2月、荒廃したウクライナがこの苦難の時を乗り越えることを支えるべく、私はウクライナの経済成長と復興のための会議を主催しました。日本はこれからもウクライナと共にあります。

 

(一部転載終了)

 

 

今までも 日本は米国の”属国”であったわけですが、岸田首相はさらに、属国から奴隷へと日本の国際的な立ち位置を劣化させました。

 

アメリカが「自由と民主主義を推進するために、時には尊い犠牲も払ってきた?」

本気でこれを言っているならば、岸田氏は長く外務大臣や首相の職に就いていながら、国際情勢に疎いなんてレベルではないでしょう。

アメリカの「自由と民主主義の推進」という表向きの軍事侵攻正当化は 明らかなダブルスタンダートであって、それはイランで民主主義的に選ばれたモハンマド・モサデク首相を 石油企業を国営化したことが気に入らなかったからという理由で打倒して、イラン軍で当時馬の世話をしていた人の孫を突然連れてきて、その人をペルシャ帝国の皇帝の末裔だと言い始めて、傀儡のパーレビ国王(モハンマド・レザー・シャー・パフラヴィー)の政権を作って、民主主義派を徹底的に弾圧したわけです。(詳しくは下の過去記事をご覧ください。)

 

 

そして、2014年のウクライナのマイダン・クーデターは何でしょう?

民主的な選挙で選ばれた親露派であり中立的であったヤヌコビッチ大統領をビクトリア・ヌーランドとウクライナのネオナチ等が主導した暴力と脅迫で追い出し、ビルの屋上からスナイパーが警察官、デモ隊、デモに反対する為に集まってきた人たちを含む100人以上を首都キエフのマイダン広場で殺しまくって、未だに誰も罰せられてもいないわけですが、そのような国が”法の支配に基づく民主主義国家”の姿でしょうか?

 

アメリカが「自由と民主主義」の推進者であると気取っているのは 自分たちの国や企業に対して敵対的な立場を取った国のリーダーを殺したり、軍事介入を正当化する理由にする時のみ(アフガニスタン、イラク、リビア、シリア等)であって、米国に追従してくれて米国企業を儲からせて米軍基地等も置かせてくれる国に対して(サウジアラビア、ヨルダン、UAE、クウェート、カタール等)は王族による独裁制だろうが、何だろうがOKなわけです。

 

そして、ウクライナ戦争でも 「ウクライナ人が何十万人死のうが、現役の米国軍人は死んでいない。(注:”契約者”や”ボランティア”と称する元米国軍人ならば80名以上ウクライナで命を落としています)米国の軍事費のうち、たった10%をウクライナに使うだけでロシア軍兵士を殺してロシアを少しでも弱体化してくれるから、”良い投資”だ。」とバイデンはじめ、ネオコンのリンゼー・グラハム上院議員等は堂々と言っているのです。

 

ウクライナに投資したお金は米国の軍産複合体企業に帰ってきて、それが米国で雇用を生み、軍事企業の株価も上がる、そして投資家は儲かり、政治家にも巨額の寄付として戻ってくる、だから米国にとって「戦争=投資」なのです。

 

そのように、戦争を「投資」だと考えている国アメリカと、いちおう「平和国家」を標榜している日本が「共にある?」 

岸田首相、あなたは頭おかしくないでしょうか?

ちゃんと過去数十年の軍事侵略の歴史も踏まえて米国を見ていますか? と私は問いたいです。

 

そして、さらに腹立たしいことが 日本に対して、いや、世界でただ一か国、人類に対して原子爆弾を使用したのは アメリカです。ロシアではありません。

それなのに「ロシアによる核の威嚇」って、2度も日本人の頭上に原子爆弾を落としたのは米国ですよ? 岸田首相は 広島での平和祈念式典でのスピーチでも 同様に、実際に核爆弾を使ったアメリカを一切非難せずに、なぜかロシアを非難しました。

(下の記事のタイトル:日本、広島原爆式典で米国の役割を無視)

 

 

 

この岸田首相の「ロシアによる核の威嚇」という部分は ロシアメディアでも 怒りや呆れといった反応で伝えられています。

 

「日本はアメリカと共にあります!」って、この岸田文雄という人は フィリピンでも台湾でもどこでも アメリカから「行け!」と言われれば 憲法違反など関係なく自衛隊を派遣しそうですね。自衛隊の指揮権も日本の首相ではなく米国にあるということが明らかになっていますから・・・。

 

そして、岸田首相が 米国議会で演説して拍手喝采とスタンディングオベーションをもらった場面、ウクライナのゼレンスキー大統領が米国議会で演説して同様に拍手喝采とタンディングオベーションをもらった場面とそっくりではありませんか?

 

 

 

このスタンディングオベーションに気分を良くしているならば、彼は日本の政治史上まれに見る愚か者だと思います。

 

ベトナム戦争での手痛い失敗以降、もう 米国兵士は”Boots On the Ground” はしない とここ数十年は決めて、アルカイダやISのテロリスト等、都合よく使える「代理戦争の駒」だけを探してきた米国にとって、「次のウクライナ」は日本になるかもしれない ということです。

 

フィリピン大統領と日本首相が同時に米国に呼ばれている ということの意味は 日本の自衛隊が 中国と対峙するために、台湾のみでなく、南シナ海にまで駆り出される可能性が十分ある ということですし、すでにフィリピンへの自衛隊の駐留まで検討されている とのニュースもあります。

 

 

米国に奴隷のように従属するしか能のない首相によって、日本は とても危険な道を進まされようとしています。