イスラエル軍の凶悪すぎる行動をニュース等で見ていると、彼らは停戦も望んでいないし、自国民の人質を生きたまま交渉によって取り返すことにさえ、全く興味がないように見えます。

 

先日のシリアでのイラン領事館への攻撃に加え、4/11には ハマスの最高指導者イスマイル・ハニヤ氏の息子3人をガザへの空爆によって殺害する という挑発を行っています。

息子だけではありません。最高指導者の孫4人も一緒に殺害されていています。

 

また、ハニヤ氏の家族、一族は多数がイスラエル軍によって殺害されており、昨年10月には兄弟と甥が、今年2月には今回殺害されたのとは別の息子が殺害される等、ハニヤ氏の家族、一族は今までに なんと16名もが殺害されているようです。

 

しかも、今回ハマスの最高指導者、イスマイル・ハニヤ氏とイスラエルは停戦交渉をカタールで行っていたところでした。

 

 

 

その停戦交渉をも潰そうという今回の攻撃は イスラエルは 停戦など、望んでいないし、あくまで「ハマス壊滅作戦」と称したガザのパレスチナ人の大量虐殺作戦をやっている というふうにしか、私には思えません。

 

もともとハマスという組織はエジプトでできたムスリム同胞団から派生したものですが、ハマスを作ったのはイスラエル というのは有名な話で、米国議会では数少ないまともな議員のひとりだった、ロン・ポール当時上院議員が2009年に暴露されています。(下のビデオ)

 

 

 

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(以下、上のビデオのロン・ポール上院議員の演説部分の和訳)

 

私はこの決議に反対します。なぜなら、誰が悪い奴らで誰が善人かということを選ぶことはできないからです。


しかし、私はこれを米国国民とアメリカ人である側面から、このような決議は私たちに大きな害を与えると見ています。


色々な方法で、中東で、特にガザで今現在何が起こっているか、私たちは両方の側にある種の道徳的責任を負っています。

なぜなら私たちは支援と資金援助をアラブの国々とイスラエルの両方に行っています。ですから、私たちは確実に、道徳的責任を負っています。

特に今日、たくさんのパレスチナ人たちを殺すために使われている兵器はアメリカの兵器です。そしてアメリカの資金援助は特にこれ(パレスチナ人の虐殺)に使われています。
しかし、私が考える政治的な義務は見たところ、失敗しています。なぜなら、私たちが介入すべきではなかった地域への介入から、たくさんの負の結果が起こりすぎているからです。

ご存じのように、ハマスはイスラエルによってその活動が奨励され、始まりました。なぜなら、彼ら(イスラエル)はハマスをヤセル・アラファト(PLO:パレスチナ解放機構の元リーダー)への対抗として望んでいたからです。


「それはいいね」とあなた方は言って、彼の目的を果たした。しかし、私たちはハマスをこのようにしたくはなかった。その後、私たちはアメリカ人として、私たちはよいシステムを持っているから、世界にこれを押し付けよう と私たちはイラクに侵略し、人々に 民主主義とは何かを教え、自由な選挙を望んだ。


だから私たちはパレスチナ人たちに自由な選挙を奨励し、彼らはハマスを選びました。
だから、私たちは最初に間接的、直接的に、イスラエルを通してハマスを設立するのを助けました。


その後、選挙を行ってハマスが支配的な立場になると、私たちは(彼らを)殺さなければならない。
それは ただ理不尽なことです。80年代、私たちは あなた方もご存じの通り、(アルカイダ創設者の)オサマ・ビン・ラディンと同盟を組んでいた。そして私たちはソビエトと争った。
それはあの時はCIAはそれが良いことだと思っていました。ソビエトと戦うために、もし私たちがムスリムの世界を過激化すれば、そこには大きな負の影響があります。ソビエトと戦うために、私たちはマドラサ学校(イスラム教の学校のこと)に資金提供しムスリムたちを過激化させたのです。
たくさんの負の影響があります。なぜ私たちはこの決議に反対すべきなのか、たくさんの理由があります。それはアメリカ合衆国の関心事ではないからです。イスラエルの関心事でもない。

 

(スピーチ部分の和訳終了)

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そして、ロン・ポール元上院議員だけでなく、EUの外務・安全保障政策代表のジョセップ・ボレル氏も「ハマスはイスラエルが作った」と言っています。それは日本語の記事にもありますが、都合が悪いのか、記事が数日後に削除されていて、今回 私が”魚拓”を取っていて以前別の過去記事でご紹介していたものを貼り付けておきます。

 

 

そして、ハマスの最高指導者の息子さんの一人は イスラエルの諜報機関の「シンベト」にいた ということを告白されています。

その記事も下に貼っておきます。2010年の記事です。

 

 

下の私の過去記事はイスラエルのネタニヤフ首相が 自身の政党「リクード」の集会で、ハマスへの送金を呼び掛けていることなどをご紹介しています。

 

 

 

 

このように、イスラエルがパレスチナ国家設立妨害の為の分断工作の為に、ハマスの創設に深く関わり、資金提供も行ってきたわけですが、そのハマスがガザのパレスチナ人にとっては 単なるイスラエルへの「抵抗運動」ではなく政党であったり公共サービスを提供したり、学校やモスクを建てる、ボランティア団体としての側面もあるので、支持を得てきたのです。

 

ジョン・ミアシャイマー教授の話によれば、2007年に選挙を行ったとき、ガザでもヨルダン川西岸でもハマスが勝ってしまったので、その結果に焦ったアメリカとイスラエルが ヨルダン川西岸では「選挙に不正があった」と言って無理やり、現在のファタハを支配勢力にしたとのことです。

 

ですから、パレスチナ人にとってはヨルダン川西岸でシオニストユダヤ人の暴力的入植を何も止められない、西側諸国の傀儡的な弱腰のファタハのアッバス議長よりも 明らかなレジスタンス運動を行っているハマスのほうが圧倒的に人気があるのです。

 

この状況は まさに イスラエルが育ててきた飼い犬に手を噛まれた というような状況であって、その経緯を考えると いくら昨年10/7のハマスからのテロ攻撃があったにしても、イスラエルに対して同情すべき点など、ほとんどない というのが私の考えです。イスラエルは2週間以上前にハマスからの攻撃が近い とエジプトから伝えられていましたし、半年以上前にハマスの攻撃計画も知っていました。

 

知っていながらそのままやらせた というのは これを口実にしてガザ地区の破壊、パレスチナ人への民族浄化を正当化出来るからでしょう。今となってはそう考えるしかありませんね。