何十年もアメリカの戦争好きな外交政策を主導してきて、ついに米国務省から去ることを発表した「ネオコンの女王」ビクトリア・ヌーランド女史についてですが、彼女が国務省に入ったばかりの若い頃の写真がネットに出ていて、実に可愛らしく美しい女性だったのが 今はあまりにも変わりすぎているのが話題になっているので、本日写真をご紹介します。

 

 

女性の容姿や加齢による劣化を取り上げて批評するのはあまり良くないことかもしれませんが、彼女の場合は いくら老化や肥満化が容姿を劣化させた とは言え、本当に同じ方なのか?というくらいの変わり方です。もちろん、目鼻立ち等の顔の作りは昔も今もバランスが取れていて、本来は美しい方なのだろうと思いますが、アメリカ本国に対して何の脅威にもなっていない国に対して戦争をしかけて、何十年も世界のあちこちで合計何百万人を殺したりしてきた悪行が顔に出てしまって、まるで妖怪か魔女のように変わってしまったということかもしれません。

 

今回はそんなビクトリア・ヌーランド氏の経歴をあらためて振り返り、彼女の過去の妄言・暴言集も作ってみたいと思います。

 

3/6のブログ記事にも書きましたが、ビクトリア・ヌーランド氏の祖父は現在のウクライナ出身のユダヤ人で、祖父の名前がマイヤー・ヌードルマンという名前で洋服の仕立て屋さんでした。ユダヤ人の典型的な名字の1つで ”~マン”という方はかなり多いのですが、マンの前の部分で職業が分かるという方も多く、洋服の仕立て屋さんの場合は ニードル(針)+マン(男)、金融業の場合はゴールド(金)+マン(男) というような具合です。

 

マイヤー・ヌードルマン氏とその一家はウクライナ地域でのユダヤ人迫害(ポグロム)から逃れて米国に移民しているのですが、ヌードルマン氏の息子(ヌーランド女史の父)のシャーウィン・ヌードルマン氏はアメリカでもユダヤ人への差別を受けたので、アメリカでヌードルマン→ヌーランドというふうにユダヤ人だとはすぐに分からない名字へと改名しました。

 

シャーウィン・ヌーランド氏はイェール大学で医学を学び医学博士になり、著書がベストセラーにもなるなど、成功した医学者でしたが、幼少時代に受けた差別等がトラウマになっていたのか、薬物療法でも効果が出ないほどの重度のうつ病や強迫症に悩まされるようになりました。一時はロボトミー手術まで勧められていたほどでしたが、結局電気ショック療法で回復された とのことです。

 

シャウィーン・ヌーランド氏の娘のビクトリア・ヌーランド氏は 自身のルーツであるロシア帝国やソ連地域に並々ならぬ関心があったようで、ブラウン大学でロシア文学を学び、ロシア語が流暢にしゃべれるようになっています。

 

彼女が外交官として表舞台に出てきたのはクリントン政権のときからです。

国務副長官の首席補佐官を務めて、旧ソ連問題を担当していました。

 

それ以降、ブッシュ政権でチェイニー副大統領の首席外交政策顧問としてイラク戦争を推進、その後のオバマ政権では国務省報道官と国務次官補として2014年のウクライナのマイダン・クーデターを主導、トランプ政権の際には主要な地位からは外されますが、バイデン政権では国務次官としてウクライナを使ったロシアへの代理戦争を推進・・・という具合に、トランプ政権以外では 常にアメリカの好戦的な外交政策には彼女がいて、昇進もしている という状態でした。

 

また、彼女の夫は「アメリカ新世紀プロジェクト」(米国の外交政策のネオコン系シンクタンク)の共同設立者であってリトアニア系ユダヤ人として知られる、ロバート・ケーガン氏です。

 

(上の写真:ビクトリア・ヌーランド氏の夫のロバート・ケーガン氏)

 

そして、ここからはビクトリア・ヌーランド氏の有名な過去の妄言あるいは暴言をまとめてみたいと思います。

 

まず、私のブログの過去記事でも何度か取り上げましたが、2014年のウクライナのマイダン・クーデターで彼女が反政府デモの参加者に食べ物を配っていたことは有名です。

 

 

(上の写真:マイダン広場で反政府デモの参加者に食べ物を配るヌーランド女史)

 

(上の写真:向かって左から、ネオナチの極右民族政党Svobodaの党首オレグ・チャハニボク氏、ビクトリア・ヌーランド氏、現キエフ市長ヴィタリ・クリチコ氏、クーデターの後に暫定首相となったアルセニー・ヤツェヌク氏)

 

そして、正当に選挙で選ばれていた親露派のヤヌコビッチ大統領を暴力クーデターで追い出した後、暫定首相を誰にするか という謀議を当時の駐ウクライナ米大使のジェフリー・パイアット氏と電話で行っていました。(それがロシアの諜報機関によって盗聴されマスメディアで公開、ヌーランド氏は謝罪した)

その際には下のような会話がなされました。

 

ビクトリア・ヌーランド:「ビタリー・クリチコ(元ボクシング王者で現キエフ市長)よりも ヤツェニュクのほうがいい。ヤッツェ(ヤツェニュク氏の愛称)が適任だ。」

 

ジェフリー・パイアットウクライナ米国大使:「しかし、たくさんの欧州の国がこのクーデターを不快に思っている。」

 

ビクトリア・ヌーランド:「F◯CK THE EU!」

 

そして、ウクライナには米国が資金提供して作った生物兵器研究所が多数あることが

ロシアの侵攻によって明らかになりましたが、これは米国議会でも取り上げられ、マルコ・ルビオ上院議員からヌーランド氏に対して、以下のような質疑がありました。

 

(上の2枚の写真:ウクライナのバイオラボについて質問するマルコ・ルビオ上院議員と質問に答えるビクトリア・ヌーランド国務次官)

 

マルコ・ルビオ:あなたに質問させて下さい。ウクライナは化学または生物兵器研究所を持っていますか?

 

ビクトリア・ヌーランド:ウクライナには生物学的研究施設があります。私たちが今、最も懸念しているのはロシア軍が支配下に置くことを懸念しています。研究試料がロシア軍の手に渡ることを防ぐ方法を検討しています。

マルコ・ルビオ:ロシアのプロパガンダ集団がすでにいろいろな情報を流しているということにあなたはすでに気づいていると私は思います。ウクライナ人がNATOの協力のもとでウクライナで生物兵器を放出する。ウクライナ国内で生物・化学兵器が使われた場合、背後にロシア人がいることは100%疑いはないのでしょうか?
 

ビクトリア・ヌーランド:ロシア人であることは間違いないでしょう、上院議員。自分たちがやろうとしていることを相手のせいにするのがロシアの古典的な手法です。

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上のウクライナの生物兵器研究所については下の過去記事でご紹介しています。

 

 

 

そして、2022年9月に起こったノルドストリーム・パイプラインの爆破について、

ロシアがウクライナに進攻する前の1月28日の時点で、「もしロシアがウクライナに侵攻すれば、ノルドストリームは前進しない」と意味深な警告を発していたのもヌーランド氏でした。

 

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国務次官のビクトリア・ヌーランド:「もしロシアがウクライナに侵攻すれば、いずれにせよ、ノルドストリーム2は前進しない。」

 

そして、2022年9月26日、実際にノルドストリーム1と2のパイプラインの爆発が起きた後、2023年1月27日に 上院公聴会でテッド・クルーズ上院議員の質問に答えて、ビクトリア・ヌーランド氏は下の発言を行いました。

 

 ↓

上院公聴会で、米国のトップ外交官ビクトリア・ヌーランド氏はノルドストリーム2パイプライン爆破事件を称賛した。

「クルーズ上院議員、私もあなたと同じで、政権も、あなたが言っているように、ノルド・ストリーム2が今や、”海の底の金属の塊”であることを知り、非常に喜んでいると思います。」

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このように、数多くいるネオコンたちの中でも「反ロシア」の急先鋒でロシアに対する敵意を剥き出しにしてきたのがビクトリア・ヌーランド氏です。ロシアからは入国禁止になっている人物でもあります。

 

彼女が国務省を辞めた後、どうするのかは知りませんが、夫のケーガン氏やその兄弟が運営しているネオコンのシンクタンク、あの有名な「戦争研究所」ISW(Institute of the Study of War)で働くのかもしれませんが、トランプ政権のときも国務省の役人を辞任して、その後バイデン政権で復帰して昇進もしていますので、次期大統領がトランプ氏ではなくバイデン氏になった場合、数年後、ほとぼりが覚めた頃に 彼女が再び将来、国務省に戻ってくる という可能性も十分考えられるかと思います。