プーチン大統領へのタッカー・カールソン氏のインタビューが世界中の言語に翻訳され色々なネットメディアを通じて10億回以上も再生され、西側の反ロシア連合がタッカー氏を冒涜するなどして"発狂"していた中、ロシアの反体制派であったアレクセイ・ナワルヌイ氏の突然死は 再びロシアを「悪魔化」するのには格好のニュースだったようです。

 

連日このニュースや夫人のユリアさんの「夫の意志を継いで活動する」というビデオが大手メディアのネットに掲載される、ユリアさんがバイデン米大統領と面談したり、バイデン大統領は なんとプーチン大統領を"Crazy SOB"("SOB"とは ”son of a bitch”の略でTVでは放送できない最悪の侮辱表現になります。)と呼びました。

ウクライナ軍がアウディーフカ陥落以降も 前線でズルズルと撤退を続ける中、ウクライナ軍が負けているというネガティブなニュースをナワルヌイ氏関連のニュースで覆い隠すように異常に大きく取り上げられています。

 

2/26に大きなニュースとなって日本のメディアでも取り上げられましたが、ウクライナの諜報機関のトップであるキリロ・ブタノフ氏がナワルヌイ氏の死因について、意外なことに、「私達が知る限り、血栓症」であると語っているので、その記事へのリンクも掲載しておきます。

ナワリヌイ氏の死因「私たちが知る限り、血栓症」 ウクライナ当局が見解 遺体はモスクワに移送、今週中に葬儀か

 

問題は 死因が「血栓症」によるものだとしても、その血栓が何によって生じたか ということです。ナワルヌイ氏自身の持病によって生じたものなのか、それとも外から与えられた「何か」によるものなのか という両方の可能性があるかと思います。

 

持病の場合はもちろん、高血圧、脂質異常症、糖尿病、不整脈等の基礎疾患があれば血栓症になるリスクは上がります。(ナワルヌイ氏は2019年に自ら糖尿病であることを認めています。)

 

また、化学物質や薬剤で血栓症を起こす方法としては 血を止める「血液凝固因子」や「止血剤」として知られている薬剤もプロトロンビン、フィブリノゲン(いずれも血液凝固因子)トラネキサム酸塩(止血剤)等多数存在するので、これもナワルヌイ氏と接触する刑務所の職員等に「協力者」がいれば、薬剤による重篤な血栓症を引き起こすことは けっして難しいことではないと思います。

 

今回、いずれも医学の専門家ではないのですけど、2名の知識人の方の見解をご紹介したいと思います。

 

1名はアメリカの経済学者であり作家のポール・クレイグ・ロバーツ氏の記事です。

彼はナワルヌイ氏の突然死の原因を「mRNAワクチン接種での副反応の血栓症による突然死」だと見ているようです。私のブログの過去記事でもこの可能性に言及していますが、たしかに、ナワルヌイ氏がmRNAワクチンを接種しているのであれば、その可能性もゼロではないと思います。

 

Navalny was murdered by the mRNA “Covid vaccine”

 

(和訳開始)

 

ナワルヌイはmRNAのCovidワクチンによって殺された

 

ポール・クレイグ・ロバーツ

売●婦のようなメディアは、その形に忠実に、イスラエルが毎日アメリカ製兵器で殺害している数千人のパレスチナ人から注意をそらすために、ロシアの刑務所での演習中のアレクセイ・ナワリヌイ氏の死を捉えた。  ナワリヌイ氏の投獄は「政治的動機があった」としている同じメディアは、ジュリアン・アサンジ氏の(裁判なしの)投獄は政治的動機ではないと述べている。

ナワリヌイ氏の支持は西側メディアと西側政治家に限定されている。  彼はプーチン大統領に対する彼らの引き立て役だ。 

ナワリヌイ氏が運動中に突然死したことや、世界中の多くの人が同様であることから、ナワリヌイ氏も新型コロナウイルスmRNA「ワクチン」の犠牲者だったと自信を持って結論付けることができる。 

大量の突然死は、集団ワクチン接種プログラムの直後に発生した新しい現象です。
 これがナワリヌイ氏の死を説明する。

 

(和訳終了)

 

 

ニュースで伝えられている情報だと、ナワルヌイ氏が突然具合が悪くなったのは「ウォーキング中(散歩中)」ということでしたので、Covidワクチンを接種した人たちが「運動中に突然死した」例というのは日本も含めて、世界中で数限りなくありますので、その一例がナワルヌイ氏であった可能性はゼロではないと思います。

 

しかし、ナワルヌイ氏の死のタイミングがあまりにも 西側諸国に取って都合が良すぎるものとなっていますので、Covidワクチンによる副反応による死亡が そのようにちょうどよいタイミングで起きる確率となると かなり低くなるかと私は思いました。

 

もう一人、ハーバード大学、コロンビア大学で博士号の学位を取った歴史学、特にソビエトやロシア地域の歴史の専門家であるギルバート・ドクトロウ氏の記事をご紹介します。

彼は ナワルヌイ氏の死は「イギリスがやった」殺人だと言っています。

私は個人的には こちらの説のほうが有力だと思います。

 

Death of Aleksei Navalny: the Brits did it!

 

(和訳開始)

 

アレクセイ・ナワルヌイの死:英国人がそれをやった!

 

テレビの生インタビューに招待されると、スケジュールが変更され、集中力が高まるのは驚くべきことです。 

今日の午後、私はトルコの最高の英語国際放送局である TRT から WhatsApp メッセージを受け取りました。TRT とは、私が 1 年前に数回のインタビューを行った後、何ヶ月もの沈黙が続きました。それは珍しいことではありません。放送局は、希望に応じて専門家を交代させたり、専門家を交代させたりします。

今日の招待状は、ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が47歳で人里離れたヤマロ・ネネツ刑務所コロニーで死亡したと報じられた最新ニュースについて話すことだった。フィナンシャル・タイムズの最新オンライン版をひと目見ただけで、ナワリヌイ氏が実際に死亡し、ウラジーミル・プーチン大統領による、彼の統治に反対する著名な活動家に対する最近の殺害とみられる事件を非難する西側の主要政治家のコメントとセットになったことが確認された。

 

それらのコメントをまとめた。

アントニー・ブリンケン米国務長官、シャルル・ミシェル欧州理事会議長、オラフ・ショルツドイツ首相らはすでにマイクの前で演説し、同じ反プーチン大統領の原稿を読み上げていた。

要するに、今日(2/16)の午後、西側諸国で起こったことは、テリーザ・メイ元英国首相の言葉を借りれば、英国諜報機関によって犯された可能性が「非常に高い」死をもとに、まさにこの目的のために、世界の舞台でウラジーミル・プーチンを中傷する新たなキャンペーンだったのだ。

過去10年以上にわたって西側諸国がロシアに対して指揮してきた偽旗作戦のすべてにおいて、私は、ローマの古い捜査原則であるクイ・ボノが、何らかの形であれクレムリンの関与に対して反するものであると主張してきた。(注:クイ・ボノ(cui bono)とはラテン語で「誰の利益になるのか」という犯罪捜査 の過程で用いられる格言のことです。つまり「誰の利益になるのか」を考えれば、過去に起きた「中毒」や「毒殺」事件は 全くクレムリン(ロシア政府)の利益に全くならない事件ばかりだった ということです。)

 

ナワリヌイ氏がロシア国内でほとんど忘れ去られているのに、なぜプーチン氏はナワリヌイ氏を殺害したいのか、それが今日も同じだ。ナワリヌイ氏は昨日のニュースだが、ウクライナ領土で戦われている西側諸国との存亡をかけた闘争のさなかにあるロシア人にとって、彼の「反汚職」キャンペーンは無関係である。

 

しかし、ナワリヌイ氏の殺害は、わずか1週間前のウラジーミル・プーチン氏とのタッカー・カールソン インタビューという大規模なソフトパワー・クーデターに対する意図された解毒剤として、同じ西側集団の利益に役立っていることは明らかであり、おそらくその後のタッカー・ニュースにとってさらに重要なことである。

 

(タッカー氏が)地下鉄キエフスカヤ駅とモスクワダウンタウンのオーチャンスーパーマーケットへの訪問を記録した短いビデオ。これは、ギルバート・ドクトロウがサンクトペテルブルクの市場を訪れた旅行記を出版し、1万人の読者を獲得したようなことではありません。それはタッカー・カールソンで、彼の毎回の放送には米国の常連視聴者が4000万人以上、最近のインタビューの視聴回数はピーク時に10億回に達した。

クイ・ボノの議論を超えて、英国人にとって忌まわしい状況証拠に目を向けてみましょう。アメリカ人がよく言うように、このナワリヌイ氏の死にはイギリス人の「指紋」があちこちに残っている。

結局のところ、クレムリンにとって「不都合」だったと言われるかなりの数の毒殺やその他のさまざまな人々の死が英国で起きたのだ。

 

そこは、プーチン大統領に徹底的に反対し、追放された寡頭政治家ボリス・ベレゾフスキーが「自殺」した場所で、2013年にロンドンの邸宅で事件が起きた。

当時彼は裏切りの許しを求め、書類の山と一緒に母なるロシアに戻る準備をしていたという噂が広まった。

 

さらに以前には、英国では、ベレゾフスキーの従業員アレクサンダー・リトビネンコが2006年に非常に英国的なカップティーでのポロニウム中毒により死亡した場所でもある。

しかし、つい最近、英国でナワリヌイ氏の運命に直接関わる事件が発生しており、そのタイミングは非常に重要だ。私は2018年3月初旬、プーチン大統領が再選を目指していたロシア大統領選挙(3月18日)を前に、ソールズベリーで起きた元ロシアスパイのアレクサンダー・スクリパリ氏のノビチョク中毒事件について考えている。

ふーむ、2018年、ロシア大統領選挙の数週間前にプーチン大統領の敵に対するひどい攻撃があった。うーん、繰り返しになりますが、プーチン大統領の次の選挙の日はたまたま 3 月 15 ~ 17 日である。

スクリパリ中毒事件はイギリスの政治支配層によって大声で叫ばれた。

彼らは、プーチン大統領が英国本土で復讐殺人を行っていることをあなたは想像できますか?と言いました。もちろん、今日では誰もがスクリパリのことを忘れている。

彼らは常に致命的なノビチョク攻撃を何とか生き延び、MI6によってどこかの浅い墓に単純に投げ込まれなければ、新しいアイデンティティを与えられたようだ。

しかし、ロシア人が発明したと言われているノビチョクも、(イギリスの)ソールズベリーから遠くないところにある化学兵器施設で生産されていた。西側メディアが無視することを選んだもう一つの詳細情報である。

ノビチョクはたまたま、2020年8月にアレクセイ・ナワリヌイ氏がロシア地方の選挙の演壇にいて、国を運営している寡頭政治や詐欺師に反対するために国民を集めていた際に、彼に対して使用されたとされる毒物だった。スクリパリ家と同様、ナワリヌイ氏もノビチョクによる中毒を奇跡的に生き延びた。

 

彼はドイツに飛ばされ、そこでアンゲラ・メルケル首相が彼を温かく歓迎し、数ヶ月にわたる療養期間中、彼はドイツ人スタッフによる、プーチンのために建てられたとされる黒海にある宮殿を映す捏造ビデオ暴露の制作を監督した。

刑務所コロニーのロシア人医師らは今日、ナワリヌイ氏の蘇生に30分を費やしたが無駄だったと言われている。彼は英国の対ロシア秘密戦争における巻き添え被害のもう一つの例に過ぎない。

時は、トニー・ブレアの時代、私たちはイギリス人をブッシュの「飼い犬」と呼んでいました。今日では、イギリス人はワシントンに先んじて、おそらくはワシントンの制御の外にあるバスカヴィル家の犬になったと言う方が適切だろう。

TRT とのインタビューへのリンクが利用可能になったら、ここに投稿します。

 

(和訳終了)

 

ギルバート・ドクトロウ氏の記事は とても面白く、説得力もあるものだと思います。

 

プーチン大統領から追い出されたユダヤ系オリガルヒの一人、ボリス・ベレゾフスキー氏の謎の"自殺"、元KGBでイギリスに亡命していたアレキサンドル・リトビネンコ氏のポロニウム中毒によるとされる死亡、2018年のスクリパリ親子の”ノビチョク”によるとされる中毒事件、全てイギリスで発生しています。

 

そして、反ロシア政府の立場を取る活動家やオリガルヒ、リトビネンコ氏やスクリパリ氏のように、元KBGスパイが西側に寝返ったケースのほとんどが 亡命する先は

決まってイギリスです。

 

(2013年3月に亡命先の英国で"自殺"したとされるボリス・ベレゾフスキー氏)

 

(上の写真:元KGB職員で英国に亡命していたアレキサンドル・リトビネンコ氏。ポロニウム中毒で死亡したとされている)

 

 

(上の写真:元KBGスパイでその後MI6スパイになったセルゲイ・スクリパリ氏。2018年に娘のユリアさんとともに英ソールズベリーで重篤な「ノビチョク」中毒になったと報道された。その後2人共回復したが、ユリアさんが一度回復後にカメラの前でコメントを発表しただけでその後は行方知れずになったという奇妙な事件)

 

上の3つの事例だけではなく、NATOの中で米国よりももっと反ロシア的立場をとっているイギリスは 反プーチンの活動家とか、プーチン氏から追い出されたユダヤ系オリガルヒ等の亡命先になっている という点を見逃してはなりません。

 

オリガルヒでは、ベレソフスキー氏以外に、下の写真の人物、ソ連崩壊直後、ロシアの石油企業を二束三文の価格で買収して大儲けしたミハイル・ホドルコフスキー氏もプーチン大統領からの恩赦で釈放された後は 英国に亡命しています。

 

(ロシアの石油企業ユコスを二束三文で買い取って大儲けしたオリガルヒ、ミハイル・ホドルコフスキー氏。有罪となってシベリアの刑務所に収監されるも2013年に恩赦を受けて釈放、その後は英ロンドン在住。)

 

ホドルコフスキー氏については 2014年のウクライナのマイダン・クーデターにも参加していました。

 

そして、ナワルヌイ氏がリーダーだった「反汚職」の組織の事務総長が在露イギリス大使館の大使館員兼MI6のスパイと接触して 1000~2000万ドルの活動費を要求していた という記事を下の過去記事でご紹介しています。

 

 

 

 

そして、MI6は オブジェの「岩」の中にwifiルーターを仕込んでロシア側にいる協力者と連絡を取り、情報をダウンロードしていました。

 

下の写真が その時に使われた「岩」のオブジェです。まるでスパイ映画さながらのアイテムです。ですが、このwifiルーターがロシアの捜査機関に発見されたきっかけが

非常に間抜けなものでした。ある時、通信に不具合が生じて、ロシア側にいる協力者からのメッセージが受信できなくなったので、この岩に近づいて、ルーターが作動しているのかどうか確認する為に、「数回岩を蹴った」ことでルーターがこの岩の中にあるのが発見された とのことです。(当時のトニー・ブレア首相の首席補佐官ジョナサン・パウエルはBBCに対し、「スパイ活動は恥ずかしいものだった」と語り、ロシア政府が政治的理由で疑惑を公表したと付け加えました)

 

(イギリスのMI6がロシア側協力者との通信目的で岩のオブジェの中に仕込んでいたwifiルーター 写真は軍事評論家のスコット・リッター氏のブログ記事より抜粋)

 

このように、イギリスには ずさんなものも含めて、偽旗作戦を何度も行ってロシアを悪魔化してきた歴史があるわけで、今回のナワルヌイ氏死亡事件にも深く関わっている可能性が高いと思います。

 

ナワルヌイ氏がいた刑務所の職員の中に「協力者」がいた可能性もありますし、ロシア国内には 米CIAや英MI6、ウクライナの諜報機関の協力者、そしてお金さえ貰えばそれらに協力するロシア国民は 残念ながら多数いると私は思います。

 

実際 ロシアの人気ブロガーであったウラドレン・タタルスキー氏がワーグナーの創業者であるプリゴジン氏所有のカフェで爆死させられた事件も 小さな銅像の中に仕込んだ爆発物をタタルスキー氏に手渡しした、ファンを装ったロシア人女性による殺害実行でした。(ウクライナ諜報機関に協力して殺害を実行したその容疑者のロシア人女性は「お金欲しさにやった」 と言っています。)

 

(上の写真、2023.4.25に殺害されたロシア人の人気ブロガー、通称ウラドレン・タタルスキー氏(本名:マキシム・ユーリェヴィチ・フォミン氏))

 

ですから、ギルバート・ドクトロウ氏が言うように、アレクセイ・ナワルヌイ氏は

「英国の対ロシア秘密戦争における巻き添え被害のもう一つの例に過ぎない。」というのは非常に説得力のある推測だと私は思います。