ロシアの反体制派として有名だったアレクセイ・ナワルヌイ氏が2/16に死去という

ニュースが飛び込んできました。

 

多岐にわたる罪で懲役20年の有罪が確定し、シベリアの刑務所にいたナワルヌイ氏の死の状況として報じられているのは 散歩中に突然気分が悪くなったので医療従事者が駆けつけて救急車も呼ばれて必要な蘇生措置は全て行ったものの、死亡した とのことです。

 

このニュースはドイツ訪問中だったウクライナのゼレンスキー大統領には 「アウディーフカ陥落」というネガティブなニュースを覆い隠すには絶好のタイミングだったようで、アウディーフカにいるウクライナ兵が危機的な状況で、数千人が包囲されているという質問には答えることを拒否して、「アレクセイ・ナワリヌイ氏がロシアの刑務所で死亡したことが今判明した。明らかに、彼はプーチンによって殺された」と、ここぞとばかりにメディアを煽りました。(情報元はこちら

 

しかも、不思議なのはナワリヌイ氏の夫人です。夫が死亡したばかりだと言うのに

ゼレンスキー宇大統領がドイツに訪問して「ミュンヘン安全保障会議」に出席するタイミングに合わせるかのように、この同じ会議にナワルヌイ夫人も出席してスピーチを行っているのです。

 

下はゼレンスキー宇大統領がミュンヘン安全保障会議に出席する というニュースを報じているNHK WORLDのニュース。

Zelenskyy to attend Munich Security Conference

(ゼレンスキー、ミュンヘン安全保障会議に出席)

 

そして、下がナワルヌイ夫人が夫の死も気にせず?ミュンヘン安全保障会議でスピーチしているところ。

 

(上の写真:夫の死に駆けつけることもせず、ドイツで行われているミュンヘン安全保障会議で演説するナワルヌイ夫人)※上の写真からはビデオは再生できません。

見たい方はこちらからどうぞ。

 

そして、重要なことは ジョー・バイデン米大統領、カマラ・ハリス副大統領、欧州理事会のシャルル・ミシェル議長などがアレクセイ・ナワルヌイ氏の死去を「ロシア政府の責任だ」と揃って非難していますが、彼らは 米国民であるゴンザーロ・リラ氏がウクライナの刑務所で拷問もされて死亡した件について、何も語っていませんね。全くウクライナを非難していません。

 

 

上の過去記事でご紹介した時点ではゴンザーロ氏の死因はネグレクトによる肺炎、肺水腫の悪化が原因だと報じられていましたが、その後、拷問が死因だというニュースもありました。何より、ゴンザーロ氏自身が、目の白目を鋭利なもので突かれる、殴られる等の拷問を受けた と最後に捕まる前、Twitterで言っていました。

 

アメリカ国民が他国の刑務所で明らかに拷問を受けているのに、バイデン政権は それが支援しているウクライナだったらOKなのでしょうか?

 

そして、アメリカ国民でも何でも無い、ロシア国民のナワルヌイ氏がロシアの刑法で

いくつもの罪で有罪となり懲役中に死亡したら、それを非難する権利がアメリカにあるのでしょうか? 

 

ナワルヌイ氏の死でロシアをそんなに非難する理由は彼が「反プーチン」であり、反ロシア政府だからですね。また。米国民であるゴンザーロ氏がウクライナで拷問され死亡しても、米国から無視された というのは ゴンザーロ氏は「反ゼレンスキー」的発言を多くしていたから死んでよい と放置したというのが あからさまではないでしょうか。

 

そして、肝心なことは アレクセイ・ナワルヌイ氏とはいったい何者か? ということです。彼は元々弁護士ですが、政治にもかなり意欲を持っていたようで、反プーチンや反ロシアで有名になる前は 過激な右翼の民族主義者でした。実際に市民の殺害まではしていないのでウクライナのネオナチほどの凶悪性はないにしても、いわばロシアのネオナチです。多民族・多宗教国家のロシアには イスラム教徒も多く住んでいますが、イスラム教徒を「ハエとゴキブリ」に例えた動画を作って「ハエとゴキブリ」と戦うための銃の権利を自ら動画に出演して主張していました。(↓の動画のタイトル:武器合法化を求める人々)

 

 

下はナワルヌイ氏が主催した極右民族団体のデモの様子です。ナチスの鉤十字も掲げていますが。ロシアではこういった行為は違法になります。

 

 

 

しかし、ネオナチが禁止されているロシアで極右民族主義者として活動するよりも、米国や英国の諜報機関の下で反ロシア政府のエージェントとしてお金をもらって活動するほうが ずっとお金儲けができるし、政治家として活動できる と思って途中でプーチン氏やその周辺にいる政治家の汚職や腐敗、贅沢な暮らしをYoutubeやブログでアピールする「反汚職」の活動家へと方向転換したようです。

その後は西側メディアによって、プーチン氏の対抗馬になり得る大統領候補として持ち上げられるも、ロシア国民からの支持率わずか2%で、政治的には プーチン氏のライバルには絶対になりえない小者でしかありませんでした。

 

ナワルヌイ氏についてはイギリスの諜報機関MI6のエージェントだった可能性が高いと思います。というのは ナワルヌイ氏の側近がイギリスの大使館員にお金を要求しているところをロシア連邦保安庁(FSB)がビデオに取って、それをロシアメディアRTが報道しているからです。今回はその記事をご紹介します。

Top Navalny aide asked alleged British spy for millions in funding, intelligence video released by Russia's FSB claims to reveal

 

(和訳開始)

 

ロシアのFSBが明らかにしたと主張するビデオによって公開された、ナワリヌイ氏の側近が英国スパイに数百万ドルの資金提供を要請

 

2010年代初頭に記録された監視映像には、アレクセイ・ナワリヌイ氏の側近が英国スパイから現金と情報を求め、汚職撲滅活動がロンドンの企業に利益をもたらす可能性があると示唆している様子が映っている。

月曜日にRTテレビが最初に報じたこのテープは、2012年に連邦保安局(FSB)によって撮影されたものと言われており、ウラジミール・アシュルコフ氏と在モスクワ英国大使館職員との会談の様子が映っているとされている。アシュルコフ氏はアレクセイ・ナワリヌイ氏の反汚職組織であるFBKの事務局長である。

 

上の写真:向かって左側がナワルヌイ氏。右側はナワルヌイ氏の「反汚職」組織の事務局長、ウラジミール・アシュルコフ氏が在モスクワ英国大使館職員と合っているところをビデオに撮られたもの)

 

モスクワのカフェで彼が会った人物は、当時在ロシア英国大使館政務担当二等書記官だったジェームズ・ウィリアム・トーマス・フォードと特定された。FSBは彼が外交官の隠れ蓑で活動していたMI6エージェントではないかと疑った。この議論はナワリヌイ氏とFBKチームにとって問題のある見方を示しており、彼らは外国工作員とみなされるに値するというロシア政府の主張を支持しているようだ。

 

(上の写真:ナワルヌイ氏の「反汚職」組織の事務局長、ウラジミール・アシュルコフ氏)
 

治安当局によって秘密裏に録音されたアシュルコフ氏の会話の一部は、集金活動に熱心なものだった。

「もっとお金があれば、もちろんチームを拡大するだろう」と彼は言い、「年間1000万、2000万ドル」のような「少しのお金」を獲得するという目標は大きな違いを生むだろうと付け加えた。「そして、これは数十億ドルを賭けている人々にとっては大した金額ではありません。そしてそれが、私が募金活動やビジネス界の人々との対話の中で伝えようとしているメッセージなのです」と彼は語った。

 

(写真、向かって左上と右上は在ロシア英国大使館政務担当二等書記官でMI6のスパイとされるジェームズ・ウィリアム・トーマス・フォード氏が店に入るシーン、左下はナワルヌイ氏の「反汚職」組織の事務局長ウラジミール・アシュルコフ氏が同じ店に入っていくところ。右下は資金援助を要請するアシュルコフ氏)

FBK(ナワルヌイ氏が設立した"反汚職"組織) が掲げる目標は、ロシアにおける汚職疑惑を摘発することだ。それは本質的に一種のジャーナリズム組織であるが、その活動は最終的にはナワリヌイ氏の政治的権力獲得の目的と結びついている。アシュルコフ氏は、この組織の活動を「大規模な抗議活動、市民活動、プロパガンダ、エリート層との接触の確立、そして彼らに私たちが理性的な人間であり、すべてを破壊して彼らの資産を奪うつもりはないことを説明すること」と概説した。

会談当時、ウラジーミル・プーチン大統領はクレムリンに戻ったばかりで、外国によるロシアの内政干渉に対してより強硬な姿勢を示していた。前任のドミトリー・メドベージェフ氏はよりリベラルで西側寄りだったため、プーチン氏の復帰は米国と英国で否定的に迎えられた。 

 

アシュルコフ氏FBK(ナワルヌイ氏の組織)の資金需要を説明することに加え、英国政府によって提供された情報、特に詐欺について暴露に利用する可能性があると述べた。その組織は特定のロシア人について「英国筋からは入手できない多くの情報にアクセスしている」 。同氏は英国に資産を持つ実業家のロマン・アブラモビッチ氏とアリシェル・ウスマノフ氏を例に挙げた。

他の英国政府機関も同様に支援できたはずだが、一方でロンドンは概して 「すでにロシアに対してより厳しい姿勢をとっている」と活動家は示唆した。

FBKの活動は英国のビジネスにも利益をもたらしただろう、と活動家は語った。同氏は、「われわれはロンドンのヘンリー・ジャクソン協会(反ロシア的意図を公言する新保守主義ロビー団体)と連携して、 VTB銀行(ロシアの大手金融機関)に関する報告書を発表する予定だ」と述べた。ロシア最大手の銀行の1つが関与した汚職疑惑は、  「同銀行は欧州の重要なプレーヤーであるため、欧州の金融市場とその健全性に対する脅威であると主張することになる」だろう。

 

そして、ロイズやRBSなどの英国企業、あるいはバークレイズのような他の大手銀行が競争することをさらに困難にしている。

 

この英国外交官は、2012年11月に発効が予定されているロシアの外国工作員に関する法律を引き合いに出して、会話中FBKへの支援にはコミットしなかったが、助成金を得るためにトランスペアレンシー・インターナショナルに頼ることを示唆した。アシュルコフ氏は、トランスペアレンシー・インターナショナルとの協力が「効果的かどうか」は疑問だと述べた

 

アシュルコフ氏は2014年にロシアを出国し、現在英国に居住している。母国ではナワリヌイ氏の2013年のモスクワ市長選挙運動に資金を提供する詐欺容疑で指名手配されている。

 

(上の写真:   ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(右)の側近、ウラジミール・アシュルコフ氏(左)が、ナワリヌイ氏の2013年のモスクワ市長選に立候補中の記者会見に出席。 )

 

彼は、2018年のロシア汚職疑惑に関する英国議会の調査に招待された証人の1人だった。彼の名前は、インテグリティ・イニシアチブの漏洩文書にも記載されていた。これは明らかに英国国営の秘密情報戦作戦であり、公人らを結び付けてロンドン(英国政府)の好みの物語や政治的目標を支援するよう調整するものである。

 

このテープが撮影されたとされる年は、偶然にも、英国政府関係者がロシアでの悪名高い偽スパイ事件が本物であることを認めた年と同じである。このスキャンダルは2006年に発覚し、英国の外交官が岩に見せかけたWiFiデバイスを使用してロシアの情報源から情報を収集したことに関与していた。

 

トニー・ブレア首相の首席補佐官ジョナサン・パウエルは当時BBCに対し、「スパイ活動は恥ずかしいものだった」と語り、ロシア政府が政治的理由で疑惑を公表したと付け加えた。その目的は外国代理店法の可決を正当化することであったと放送局は示唆した。

 

RTはフォード氏、アシュルコフ氏、英国外務省、モスクワの英国大使館にこの件についてのコメントを求めたが、まだ返答は得られていない。

 

(和訳終了)

 

上の記事で分かる通り、アレクセイ・ナワルヌイ氏が作った「反汚職」の組織の事務局長が在ロシア英国大使館の職員でMI6のスパイでもある人物と合って、資金援助を要請していたところをロシアの捜査機関によってビデオに収められているのです。

 

そして、私がアレクセイ・ナワルヌイ氏をMI6のエージェントだと思っているもう1つの理由が 2020年8月、彼が ソ連時代に開発された化学兵器の「ノビチョク」で襲撃され瀕死の状態になった と言ってドイツで治療を行う として いったんドイツに出国し、もしもその猛毒の化学兵器で襲撃された というのが本当ならば、そのままドイツで独政府の保護を求めて亡命することもできたはずのに、体調回復後に また逮捕されることが分かりきっていて、危険なロシアに わざわざ帰ってきたことです。

 

このことが まさに ナワルヌイ氏は西側諜報機関にとってはロシアに居続けてこそ、初めて使い物になる人物なのだと いうことであり、使われたと主張している「ノビチョク」は2018年にイギリスのソールズベリーで ソ連の元スパイで事件当時はイギリスMI6のスパイを務めてたセルゲイ・スクリパル氏と娘のユリアさんの「ノビチョク」による重篤な中毒事件とされる不可解な事件を想起させるものだからです。

 

この事件についても過去記事でご紹介していますので、ぜひご覧下さい。