ウクライナとロシアの戦争の情報をネットで追いかけている人たちの中では有名な方なのですが、チリ系アメリカ人(チリとアメリカの二重国籍)の人気Youtuber兼ジャーナリストのゴンザーロ・リラ氏が 逮捕されていたウクライナの刑務所で、肺炎により死亡した とのニュースが1/12に入ってきました。

 

(上の写真:ゴンザーロ・リラ氏)

 

チリ系アメリカ人がなぜウクライナで? と思われるかもしれませんが、彼はウクライナ人女性と結婚して子供もいて、ウクライナに住んでいました。(奥さんと子供は早めにロシアに避難して現在でも無事だと思います。) 最初は首都のキエフに、その後東部の都市ハリコフへと移動して、ゼレンスキー政権やアメリカ政府、ネオコンを非難し、色々なゲストを招いて戦況等についてディスカッションしたりするYoutube番組を主宰したりしていました。

 

彼は昨年5/6に3回目の逮捕をされていたのですが、その逮捕容疑となったのがウクライナ当局から公開されている下のビデオです。

 

 

 

ビデオの中のゴンザーロ氏が英語で何を言っているかというと、下のようなことです。

__________

「ウラジーミル・プーチン......彼はどこからどうみても、民族主義者ではあるが、帝国主義者ではありません。

キエフの政権について、私がちょうど今、言っていることは この人たちは ネオファシストであり、ネオナチです。

西側がゼレンスキーをあやつっていますね。また、キエフ政権は常にドンバス地区を砲撃しています。

2015年以降この紛争が始まって以降、16,000人が死亡しました。800~1000人の子供たちが殺されました。」

__________

 

ウクライナでは このようなことを言っただけで「ロシアの行動を公に支持した」という容疑で逮捕されるのです。

 

アメリカや日本も含めた西側諸国が支援するウクライナは 「自由と民主主義の為」に、独裁で権威主義のロシアと戦っている・・・ということを多くの方が言っていますが、ウクライナでは表現の自由は全くありません。ゼレンスキーを非難というよりも客観的な事実を言っただけで、このように逮捕されるのです。

 

最初の2度の逮捕では保釈された後にウクライナから出国禁止命令も出ていた為、ゴンザーロ氏はウクライナ国内に留まりながら、保釈中にも以前と同じスタンスでゼレンスキー氏を批判するYoutubeやtwitterへの投稿を続けていたのです。

 

そしたら、ついに5/6に3回目の逮捕をされ、おそらく裁判では5,6年の実刑になるだろうと予想されていました。勾留中には殴られる、鋭利なもので眼の白目を突かれる等の虐待や、彼がわりと裕福であることがバレると、その後は恐喝の被害に遭ったことも告白していました。裁判が間近に迫り、一時保釈されたゴンザーロ氏はバイクに乗ってゼレンスキー政権に対して批判的な立場を取るハンガリーに難民として脱出することを決意します。

 

最後のTwitterへのビデオ投稿は ハンガリーとの国境からあと5キロというところでの投稿でした。そのビデオは私は見たものの、数ヶ月前で詳しい内容は忘れてしまいましたが、もしも脱出に成功したら、今後もSNS等に投稿するが、もし投稿がなければ、状況を察して大騒ぎして欲しい。もし逮捕されたらきっと獄中で死ぬことになるだろう・・・というような内容だったかと思います。

 

そして、ゴンザーロ氏からのSNSやYoutubeへの発信はその後なく、ウクライナで逮捕されていることが明らかになるのですが、非常に不可解なのが、ゴンザーロ氏はアメリカ国民なのに、自国民を守ろうとしなかったアメリカ政府の対応です。

 

アメリカ国民がウクライナで不当に逮捕されている ということは 大きなニュースにもなって人気キャスターのタッカー・カールソン氏や起業家のイーロン・マスク氏もゴンザーロ氏の釈放や出国へ向けてアメリカ政府がウクライナへ働きかけるべきだ と声を挙げていました。

 

しかし、アメリカ政府がウクライナ政府に働きかけたことは全く無く、2,3度米大使館から本人に電話した程度で終わったようです。

 

ゴンザーロ氏は刑務所内で肺炎や肺気腫、肺水腫を患い、それが悪化して呼吸が苦しくなってもしばらくは放置されて、ようやく医師の診察を受けた時にはすでに肺水腫がかなり悪化していて、死亡に至った とのことですが、事実上、ウクライナ当局による虐待行為で殺されたのと同じではないでしょうか。

 

 

そして、もう1つ、アメリカが「中東で唯一の自由民主主義国家」だと称するイスラエルの、逮捕したパレスチナ人に対する刑務所内での酷い人権侵害を最後にご紹介します。これもかなりショッキングなニュースです。

 

逮捕されたこのパレスチナ人の青年の、逮捕前と今とを比較する写真を見ただけで、彼がどんなに酷い状況に置かれていたかが分かります。↓

 

 

 

 

Israel accused of negligence after photo of released Palestinian prisoner goes viral

 

(和訳開始)

 

イスラエル、釈放されたパレスチナ人の囚人が拡散された後、過失を非難された

釈放後、虚弱で栄養失調に見えるファルーク・アル・ハティブの画像は、家族、友人、イスラエルの刑務所制度の批判者に衝撃を与えた

 

イスラエルの拘禁から出た後に立つこともできない 痩せ細った若いパレスチナ人男性の写真が 、イスラエルのパレスチナ人拘留者の扱いをめぐる議論を再び引き起こした。

水曜日、イスラエル当局は、家族の主張によれば冤罪で8月に逮捕された30歳のパレスチナ人男性ファルーク・アル・ハティブを釈放した。

彼の家族がミドル・イースト・アイ(この記事を掲載している通信社のこと)に語ったところによると、ハティブさんはイスラエルの行政拘留中に4か月間拘留されていた間に健康状態が著しく悪化し、そこで体重が約25kg減少し、現在はわずか35kgとなっているという。

それ以来、投獄前後のファルークの画像がソーシャルメディア上で急速に広まった。

弟のホッサム・アル・ハティブ氏によると、ファルーク氏は釈放直前にステージ5の胃がんと診断され、現在は占領下のヨルダン川西岸のラマラにある病院で終末期ケアを受けているという。

ファルーク氏が8月23日に再逮捕された理由は不明だが、家族によると、ファルーク氏は2019年から2023年6月までの4年間の懲役刑を終えたという。

ホッサム氏によると、ファルーク氏は再逮捕後、当初は悪名高いオフェル軍事刑務所に拘留されていたが、10月7日にガザからのパレスチナ人グループによるイスラエル南部への攻撃の後、ネゲブ砂漠にあるナファ刑務所に移送されたという。

そこにいる間、多数のイスラエル人看守が囚人たちを攻撃したとホッサム氏は語った。「ファルークは太い鉄棒で腹を殴られた。

同氏は、家族は事件について何も知らなかったが、後に釈放された村の元囚人がファルークさんの状態を家族に伝えたと付け加えた。

受刑者によると、ファルークさんは事件後、腹部に激しい痛みを感じたが、刑務所当局は治療を拒否したという。伝えられるところによると、彼は3日間独房に監禁され、睡眠と食事も奪われていたという。

その後、彼はラムラ刑務所の診療所に移送されたが、そこで健康状態が悪化し、排便障害と持続的な嘔吐に苦しんだ、と家族は述べた。

「彼の状態が悪化したため、刑務所管理者は最終的に彼をソロカ病院に移送し、そこで生検が行われ、癌を患っていることが判明した」とホッサム氏は語った。

私たちは弁護士の面会を受け入れるよう刑務所管理者に圧力をかけようとして、地元および国際的な人権団体に連絡しましたが、私たちの要求はすべて拒否されました。

正当な配慮なしに釈放された
水曜日の朝、家族の弁護士は家族にファルークとの面会が許可されると通知し、夕方遅くに電話でラマラ近くのニリン検問所で釈放されたことを伝えた。

現在、ラマラ政府病院で治療を受けているが、ファルークさんが痛みで吠える中、取り乱した5歳の娘は湾の近くで泣き叫んだ。

ホッサム氏は、「イスラエル占領軍がファルーク氏を解放したのは間違いない。なぜなら彼の病気は末期であり、適切な治療も受けられず健康状態が完全に悪化したからである」と述べた。

MEE(このニュースの通信社)はイスラエル刑務所当局にコメントを求めたが、本誌発行までに返答は得られなかった。

パレスチナ人権団体は、パレスチナ捕虜に対するイスラエルの医療過失政策であると主張することを繰り返し非難し、1967年以来イスラエルの拘留下で数十人の病気の捕虜の死亡を記録している。

世界保健機関と占領地の人権を担当する国連特別報告者も、イスラエル刑務所の病気のパレスチナ人捕虜の扱いについて懸念を表明している。  

パレスチナ当局によると、イスラエルの刑務所にいる男女500人以上のパレスチナ人囚人が病気に苦しんでおり、その中には数十人が癌を患っているという。

刑務所権利団体アダメールによると、イスラエルの刑務所には少なくとも7,000人のパレスチナ人がおり、そのうち200人の子供と2,070人の行政拘禁者が裁判も起訴もされずに拘禁されている。

ファルークさんの兄弟のもう一人、カッサムさんは10月7日の襲撃後に逮捕されたが、家族は彼がどこに拘束されているのか全く分からず、弟の病気について知っている可能性は低いと述べている。

 

(和訳終了)