ロシア軍による包囲が近いと見られていたドネツク州の要塞、アウディーフカですが、ついにロシア軍による事実上の「戦術的包囲」が完了したようです。

 

 

昨年のバフムートの時もそうだったのですが、攻めるロシア軍は 大釜の蓋を閉じてウクライナ軍の周囲を◯で囲むように完全に包囲する必要はありません。

"⊃"の形にして補給の道路全てをロシア軍の大砲の火器管制下に置いて 市内中心部ににいるウクライナ軍兵士に対して新たな食料や弾薬の補給ができないようにすれば、ウクライナ軍兵士たちはまだ撤退できる位置にいる人達は撤退し、すでに撤退できない場所にいる人達は 降伏するだけです。

そのような「戦術的包囲」の状態が ついに2/14頃に完成した ということです。

 

これは新しくウクライナ軍総司令官になったシルスキー氏にとっては 元々悪い評価をますます下げることにもなると思います。しかし すでにザルジニー氏が総司令官だった時から、このアウディーフカの包囲は避けられず、もはや時間の問題 という感じでしたので、ザルジニー氏にとっては 自分が去った直後のタイミングで 戦線でまた新たな敗北を喫する というのは 国民に人気があるというザルジニー氏の評判を傷つけずに済んだことで、ザルジニー氏はほっとしているかもしれません。

 

そして、新たに司令官になったシルスキー氏に関して、とても面白い情報があるので

ご紹介したいと思います。

 

シルスキー氏はウクライナ語はあまり得意でなく、「ロシア語を話すロシア人」であって、ご両親やご兄弟は今でもロシアに住んでいる というのは下の過去記事でご紹介しました。

 

 

その中で ロシアのニュース記事RTによれば、ロシアにいるシルスキー氏のご兄弟のオレグさんはウクライナにいるシルスキー氏とは「長年連絡を取っていない」とのことでしたが、長期間連絡を取っていないのはオレグさんだけ、あるいはRTの記事は意図的な誤報で、シルスキー氏のご両親はウクライナにいる息子のオレクサンドル氏(シルスキー氏)とビデオ通話で頻繁に連絡を取っていた と隣の住人の方が言っているようです。

 

(上の写真:シルスキー氏のことを語るシルスキー氏のご両親の自宅の近くに住む隣人の方)※ビデオは上の写真からは再生できません。見たい方はこちらからどうぞ。

 

以下、シルスキー氏のご両親の近所に住む女性の話(英語字幕からの和訳)

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女性:彼が前回ここに来た時、私はいつだったか覚えていないけれど、彼は「私達はウクライナ人と一緒に働いていて、彼の本部の1つにいる。私達は彼ら全員、ウクライナ人を憎んでいる」と言っていた。

記者:そうなんですか。

女性:そうです。これらは彼の言葉です。

記者:でも、なぜ?

女性:そう、なぜなら彼ら(ウクライナ人)はとても狡猾でずるい、皆がそんな感じで、まるで彼らがそんな人達と混ざっているようだからよ。分かる?
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この近所に住む女性の言うことが本当だとすれば、ウクライナ人が大嫌いなシルスキー氏が ロシア側の工作員として、「肉挽き器」と言われたバフムートにしろ、今回のアウディーフカにしろ、わざと大量のマンパワーをそこで消耗させている可能性も出てくるわけで、今ネット上では オレクサンドル・シルスキー氏は 実はロシアのスパイなのでは・・・?という疑惑が持ち上がっているわけです。

 

ちなみに、ロシアにいるシルスキー氏のご両親は かなりの愛国者 というか、親プーチン的な考えをお持ちのようで、RTの報道によれば、ご両親は 第二次世界大戦でのロシア勝利の祝賀会に定期的に参加しており、オンラインの親ロシアコンテンツを気に入り、また、ウラジーミル・プーチン大統領への健康を願うメッセージに対して、シルスキーさんの母親が「いいね!」を押したりしている と書かれています。

 

なので、自分の息子がウクライナ軍の総司令官に任命された というニュースには

母親がとても悲しんで泣いている と友人が語っているということもこの記事に出ています。
 

そして、若かりし頃のシルスキー氏は まだウクライナが独立する前ではありますが(ウクライナ独立は1991年)、1986年に行われた赤の広場での軍事パレードに参加して行進しているところがビデオに収められていました。

 

 

(上の写真:1986年、モスクワの赤の広場で行われた軍事パレードに参加して行進する現ウクライナ軍総司令官、シルスキー氏の若かりし頃)※上の写真からはビデオは再生できません。見たい方はこちらからどうぞ。

 

上の写真のシルスキー氏は 当時、モスクワ高等連合軍司令部の士官候補生だった時のものです。

 

もちろん、ウクライナは 独立が1991年ですので、軍の幹部クラスが崩壊前のソビエト連邦軍での経歴があっても おかしなことではありません。

 

しかし、軍の学校もウクライナにある学校を卒業しているザルジニー氏と比べると、シルスキー氏が「ロシア人でモスクワでの軍歴がある」と言われて、おそらく民族主義的なウクライナ人たちからは特に好かれていないのだろう ということは容易に想像できます。

 

もちろん、「シルスキー氏がウクライナ人を嫌っている」というご両親の近所の方の発言や、彼の両親が 親ロシアの愛国者でもあり親プーチンである という情報のみで、オレクサンドル・シルスキー氏が ウクライナ軍を負けさせるために働いているロシア側工作員だと断言することはできません。

 

しかし、これは面白い情報だと思ったのでご紹介させていただきました。