1/28にシリアとの国境のすぐ近くにあるヨルダンにある米軍基地「タワー22」と呼ばれるところへドローン攻撃があり、米兵3人が死亡、30名以上の兵士が負傷した という事件がありました。

 

これについては1/29のブログで記事を書きましたが、記事を書いた後に浮上してきた色々な疑問点がありますので、今回はそれについて記事を書きたいと思います。

 

まず、第一の不思議な点は ヨルダンは 当初この攻撃は 自国内ではなく、シリア領内で行われた と主張していた点です。

 

しかし、米国が「ヨルダンの基地が攻撃された」と断定する発表をしたので、その後に仕方なく(?)認めたような形になっています。下が米軍所属の機関によるプレスリリースです。

 

 

↓(これを日本語に変換したものが↓です。)

 

 

そして、私がヨルダンの日刊英語メディア、THE JORDAN TIMESを1/30時点で確認したところ、米軍基地への攻撃について触れている記事がなぜか見当たらないのです。もし本当に自国内の攻撃が起こったのであれば、これはトップニュースになっていないとおかしくないでしょうか?

 

下はヨルダン政府が自国内が攻撃されたことを1/29に否定しているニュースです。

 

Jordan denies attack on U.S. forces within territory

(ヨルダン、領土内の米軍への攻撃を否定)

 

(以下、上記記事の和訳)

 

アンマン、1月28日(新華社)-ヨルダン政府通信大臣のムハナド・ムバイディンは日曜日、シリア国境付近の米軍を標的とした攻撃はヨルダン国内で発生したものではないと述べた。

ムバイディン氏は国営アル・マムラカテレビに対し、攻撃はシリア南東部のアル・タンフ基地を標的としたものだと語った。

米国は日曜、シリア国境に近いヨルダン北東部に駐留する米軍に対する無人機攻撃で米軍兵士3人が死亡、数十人が負傷したと発表した。ロシアのスプートニク通信が報じたところによると、ジョー・バイデン米大統領は、イラン支援の過激派組織に対する致命的な攻撃の責任を非難する一方、米国はまだ事実を収集中であるとも述べた。

アル・タンフ基地はヨルダン国境近くのシリア砂漠に位置する。

 

(和訳終了)

 

なぜこの点にこだわるかと言うと、この攻撃がヨルダン領土内で起こったのか、シリア領土内で起こったのかの違いは大きいのです。

というのも、ヨルダンは政府が米軍の駐留を許可しているのですが、シリア政府は2011年内戦の内戦開始以来、米軍にずっと「出ていけ!」と言い続けているからです。

 

ですから、攻撃が違法に駐留している米軍基地に対して行われたのか、現地政府の許可を得て合法的に駐留している米軍基地に対して行われたかの違いが大きいのです。

 

そして、1/29のブログ記事でもご紹介しましたが、攻撃の後に イラクの武装組織からの”犯行声明”とされるものがネットに流出しました。↓

 

 ↓

イラクと地域におけるアメリカ占領軍に抵抗する我々のアプローチの継続、そしてガザにおける我々の人民への虐殺への返答として、本日2024年1月28日日曜日の夜明けに、イラクのイスラム抵抗組織ムジャヒディーンが攻撃を行った。
4つの敵基地を攻撃し、そのうち3つはシリアにある。それはアル・シャダディ基地、アル・ルクバン基地、アル・タンフ基地で、4番目の基地は占領されたパレスチナの領土内にあるゼブルン海軍施設です。
イスラム抵抗運動は敵の要塞を破壊することでその継続を確認します。
(そして勝利は神からのみ与えられます。本当に神は力であり、全知である。)

 

イラクにおけるイスラム抵抗運動

__________

 

上の声明文を見れば分かる通り、ヨルダンの基地には全く触れておらず、ヨルダン政府の1/29に発表した声明のように、シリアの「アル・タンフ基地」が攻撃目標だと言っているのです。

 

そこで、シリアにあるアル・タンフ基地と、米軍がここが攻撃されたと主張しているヨルダンにあるタワー22基地の位置関係を地図で見てみましょう。↓

 

上の地図の赤丸で囲んだところがシリアにあるアル・タンフ基地で、黒丸のところがタワー22です。

 

この2つの基地はシリア、イラク、ヨルダンの国境にまたがる「エリア55(AREA55)」と呼ばれている広大な米軍基地の中にあります。

もちろん、シリアとイラクの土地は アメリカが不法に占領して基地にしているものです。

 

そして、このアル・タンフ基地では何が行われていたかと言うと、米軍が支援してきて「シリア自由軍」と名付けられた反アサド武装勢力のテロリストたちの訓練です。(このことは元CIA分析官のレイ・マクガバーン氏がこのビデオの中でおっしゃっています。)
 

つまり、今回のドローンでの攻撃は 米軍が長年”子飼”にしてきたテロ組織の軍事訓練キャンプが攻撃された という可能性が高い ということです。

 

また、「エリア55」について解説したこのサイトによれば、アル・タンフ基地にいるのは 米国軍人は約200名、英国軍人が若干名いるだけで、他は反アサド武装勢力の兵士が500人いる と書かれています。つまり、米軍基地といってもメインの兵士は訓練のインストラクターである米英軍ではなく、訓練される側の反アサド武装勢力ということが分かります。

 

2つ目に、奇妙なのは このドローン攻撃での死傷者の数です。

死者3名だけならばまだ分かりますが、負傷者の数が30名以上とかなり多く、これは

小さなドローンではこの死傷者数を出すのは無理だ と元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏はおっしゃっています。以下、ラリー・ジョンソン氏のブログから一部抜粋和訳させていただきます。↓

 

これは小型ドローンではありませんでした。これは、ヘルファイア ミサイルのようなものから得られる損害と死傷者の数です。それが使われたと言っているわけではありません。しかしUASは大型で、ある種の強力な弾頭を搭載していた。

もう一つの奇妙さは、米軍関係者が米軍はそれが「友軍」機であったと主張していることであり、それが防空が発動されなかった理由を説明しているはずだ。最新の言い訳は次のとおりです

ヨルダンで米軍兵士3人が死亡、数十人が負傷した攻撃用無人機を、アメリカの防空部隊が迎撃できなかったのは、飛来した航空機が基地に帰還する友軍の無人機と間違えられたためだと当局者が月曜日に発表した  。

武器化された無人機は、シリアとイラクとの国境が交わるヨルダン北東部のタワー22として知られる施設で、コンテナ化された住居とされる兵士の居住区を襲った。国防総省報道官のサブリナ・シン氏は、 攻撃は 基地職員がまだベッドで眠っている日曜日早朝に発生したと述べた。

シン氏によると、国防総省はこの攻撃で負傷した職員の数を34人から40人以上に修正した。別の当局者は、他の当局者と同様に匿名を条件に事件に対する軍の進行中の評価を述べ、事件の結果47人の兵士が負傷したと述べた。

犠牲者は合計50人?聖なる煙?米国の兵器庫でこの種の威力を備えている唯一のドローンは MQ プレデター B だと思います。

MQ-9 は、  GBU-12 ペイブウェイ II レーザー誘導爆弾、  AGM-114 ヘルファイア II 空対地ミサイル、AIM  -9 サイドワインダー GBU  -38 ジョイント ダイレクト、攻撃弾薬 (JDAM)など、さまざまな兵器を搭載しています。 

それで、それは何だったのでしょうか?イランまたは他の国やグループは、MQ 9 ドローンに匹敵するシステムを入手したことがありますか?それとも防空軍が攻撃できなかった弾道ミサイルだったのか?使用された武器の種類に関する現在の話は真実ではありません。確かなことは、その基地に設置されていた防空システムはすべて失敗したということです。

 

(一部抜粋和訳終了)

 

米軍基地には防空システムがあるはずなのに、「友軍のドローンが帰還してきた」のだと間違えて、不審なドローンを撃墜しなかった と米国防総省が言っているのです。

 

このようなことを知ると、この事件が 「米軍基地」とは言っても、実質シリア政府打倒の為のテロリストの訓練キャンプに対して「友軍のドローンのような」ドローンが攻撃してきた ということは この事件が 9.11のような偽旗作戦である可能性が浮上してくるのではないでしょうか。

 

そして、米軍を攻撃して イランと米軍を戦争させて 喜ぶのはどこの国でしょうか?

もちろん、アメリカを戦争に引きずり込みたくて仕方がないイスラエルです。

 

なお、イスラエルにはアメリカを戦争に引きずり込もうとしてアメリカの軍艦をミサイルや魚雷で攻撃した「前科」があります。

 

それは1967年に起きた「USSリバティー号事件」というもので、イスラエルは当時中東戦争をしていたエジプトの軍艦と”間違えて”、大きなアメリカ国旗を掲げて兵士が休息を取っていた軍艦を攻撃し、乗員34名が死亡、173名が負傷という惨事になった事件です。

 

この事件ではイスラエルの攻撃が「故意か、事故か?」ということで米国内で論争にもなりましたが、状況から見て明らかに故意にやったと思われるのに、イスラエルが謝罪して賠償も支払ったということで、アメリカは「事故」ということで政治決着しました。

 

この事件について知りたい方は 英語版のウィキペディアのページを翻訳ソフト等で和訳してご覧下さい。日本語版のウィキペディアページもあるのですけど、事件の詳細が全く載っていなくて簡単すぎる説明になっていますので、英語版のほうがおすすめです。

 

USS Liberty incident (Wikipedia)