1/28、ヨルダンにある米軍基地「タワー22」と呼ばれるところへドローン攻撃があり、米兵3人が死亡、30名以上の兵士が負傷した というニュースが入ってきました。

 

イランは その攻撃には「関与していない」と言っていますが、アメリカは 「イランの支援を受けた過激派」が攻撃を行った として、ネオコンたちが「イランを今すぐ攻撃せよ!」とバイデン大統領に圧力をかけ始めました。

 

早速、ドローン攻撃についてのニュースをオルタナティブ・ニュースサイトのANTI WAR.comからの記事でご紹介します。

 

Three American Troops Killed in Drone Attack in Jordan

 

(和訳開始)

 

ヨルダンでのドローン攻撃でアメリカ軍兵士3人死亡
バイデン氏はイラクのシーア派民兵組織に言及して「イランの支援を受けた過激派」を非難しており、これに応じてイランを直接攻撃する可能性がある

 

ヨルダン北東部で一晩の無人機攻撃により米軍兵士3人が死亡、バイデン大統領がガザでのイスラエル軍の猛攻撃に米国の重力を投入して以来、同地域で敵の砲撃で死亡した初の米国人となった。

CNNによると、片道飛行の攻撃用無人機が、シリア国境近くのヨルダンにある米国の小さな前哨基地であるタワー22を攻撃した。この攻撃で30人以上の兵士も負傷した。

10月中旬以来、ガザでのイスラエル人の虐殺に対する米国の支援に応じて、イラクとシリアの米軍基地が150回以上攻撃を受けている。ヨルダンでの一晩のドローン攻撃は、タワー22が標的となったのは初めてとみられる。

 

(上の地図:赤い点のところが攻撃された米軍基地「タワー22」シリアとの国境に近いエリアにある)

 

バイデン大統領は声明を発表し、イラクとシリアで活動するシーア派民兵組織に言及し、今回の攻撃は「イランが支援する武装勢力」によるものだと非難した。その日遅く、バイデン氏は米国が「対応する」と述べたが、その方法については明らかにしなかった。

ヨルダン政府の報道官は当初、攻撃はヨルダン領土ではなくシリアで起きたと述べた。しかしその後、ヨルダンは国境の自国側で起きたことを認めたようだ。

ヨルダン通信は、「ヨルダンは、シリア国境の前哨基地を標的としたテロ攻撃を非難し、テロ対策と国境警備でヨルダンに協力している米軍兵士3名が死亡、米軍兵士2名が負傷した」と報じた。

ニューヨーク・タイムズ紙は先週、バイデン大統領とその側近らは 米軍基地への攻撃で米兵が死亡するのは時間の問題だと考えていると報じた。報告書は、米国人が死亡した場合、米国はイランを直接攻撃する可能性が高く、状況が大規模な戦争にエスカレートする可能性があるとしている。

国防総省はこれまで、イランが地域の米軍への攻撃を指示している証拠はないと述べており、イラン政府は作戦への関与を繰り返し否定してきた。

米国当局者は10月にCNNに対し  、シーア派民兵組織が独立して行動する意思があるかどうかは常に「情報格差が根強い」ため、イランが自分たちの行動を指示しているかどうかは米国には分からないと語った。それにもかかわらず、米国当局者はイラクとシリアでの攻撃や紅海でのフーシ派の作戦についてイランを非難し続けている。

 

(和訳終了)

 

そして、イランがこれをどう報じているのか、イランのメディアPars Todayのニュースもご紹介します。

 

Iran says has no links to attacks on US forces in region

 

(和訳開始)

 

イラン、地域の米軍攻撃との関連性はないと主張

 

イランの国連代表部は、この地域の米軍への攻撃は抵抗勢力と 米軍との紛争に関連しているため、イランは関与していないとしている。

ヨルダンとシリア国境にある米軍基地への無人機攻撃で米軍兵士3人が死亡したことを受け、同使節団は日曜日遅くに声明を発表した。

声明は、イランは今回の攻撃とは無関係だとし、この事件は「報復攻撃に対抗する米国軍と地域の抵抗勢力との間の紛争」の一部であると付け加えた。

ジョー・バイデン米大統領は、米軍兵士3人が死亡、少なくとも34人が負傷したこの攻撃について、主にイラクに拠点を置く「イラン支援グループ」と呼んだグループを非難した。

 

この攻撃は、10月7日にイスラエルによるガザ攻撃の開始以来、米軍関係者が死亡したのは初めてである。

バイデン氏は声明の中で、攻撃はシリア国境に近いヨルダン北東部で発生したと述べた。しかしヨルダンは、それは自国の本土ではなくシリアで起きたと主張している。

(訳者注:ヨルダンは当初シリア領土内で起きたと言っていましたが、後に自国内のタワー22で起きたことを認めています。)

米国大統領は、攻撃の事実を収集する努力が進行中であると述べ、報復を誓った。

「疑いの余地はありません。私たちは、私たちが選択した方法で、一度に責任者全員の責任を追及します」と彼は述べた。

米中央軍の声明によると、無人機攻撃による負傷者の数は、治療を求める人が増えるにつれて変化すると予想される。8人の職員が高度な治療を受けるためにヨルダンから避難したが、容体は安定している。

対テロ戦闘員の統括組織であるイラクのイスラム抵抗運動は、ヨルダンとシリアの国境にある基地を含む3つの基地を攻撃したと主張した。

10月7日にガザ地区でイスラエルがパレスチナ人と戦争を開始して以来、イラクとシリアの米軍に対する攻撃は約160回あった。そのほとんどは地域の抵抗勢力によって実行を主張されている。

 

イランは、ガザでのイスラエルの犯罪に対して抵抗勢力が独自に行動していると頻繁に述べてきた。

(和訳終了)

 

そして、10/7以降、今まで160回ほどシリアやイラクにある米国の基地が攻撃されてきた中で、今回のヨルダンの基地の攻撃では 初めて米軍に死者が出たわけですが、バイデン大統領に対して「イラクを今すぐ攻撃すべきだ!」と煽っているのが 米のネオコンたちです。

下はネオコンの代表格と言ってよい、リンゼー・グラハム上院議員のコメント。

 

 ↓

今イランを攻撃しろ。彼らを強く攻撃しろ。

 

 

まだこの事件に関しては 起こったばかりで情報が少ないため、誰がやったのか というのは はっきりしませんが、イラクの反米・反イスラエル勢力が 犯行声明を出しているようです。↓ (写真はこちらのサイトからの転載)

 

 ↓

イラクと地域におけるアメリカ占領軍に抵抗する我々のアプローチの継続、そしてガザにおける我々の人民への虐殺への返答として、本日2024年1月28日日曜日の夜明けに、イラクのイスラム抵抗組織ムジャヒディーンが攻撃を行った。
4つの敵基地を攻撃し、そのうち3つはシリアにある。それはアル・シャダディ基地、アル・ルクバン基地、アル・タンフ基地で、4番目の基地は占領されたパレスチナの領土内にあるゼブルン海軍施設です。
イスラム抵抗運動は敵の要塞を破壊することでその継続を確認します。
(そして勝利は神からのみ与えられます。本当に神は力であり、全知である。)

イラクにおけるイスラム抵抗運動

 

 

これらのニュースを聞く時に、私達が忘れてはならないのは 10/7以降、「ガザのパレスチナ人たちの抵抗運動を支援する」として、イラクとシリアの基地が頻繁に攻撃されていますが、それらの基地は 米軍が違法に居座っている基地 だということです。

 

今回のヨルダンでの基地は ヨルダン政府が米軍の駐留を認めたものかもしれませんが、イラクもシリアも 米軍に対して「出ていけ」と言っているのであって、それでも石油目当てに居座り、石油を盗んでいるのがアメリカです。(特にシリアは80%もの石油が盗まれています)

 

そして、米軍兵士が初めて殺害された ということで、イランに今すぐ戦争しなければならないかのように色めき立っていますが、アメリカはイランの革命防衛隊のトップ司令官の一人だったガーゼム・ソレイマニ司令官、一緒にいたイラク人の司令官を2020年1月3日、イラクにおいてドローン攻撃で殺害しました。それはトランプ政権時代です。

 

でっちあげの「大量破壊兵器」疑惑で 勝手に侵攻して占領した土地で、多数の民間人を巻き込んだ絨毯爆撃、他国の軍隊の司令官を殺害する等の暴挙を行ってきたのは米軍であって、その米国とイスラエルの占領、虐殺行為に対して抵抗運動を繰り広げている武装組織や、それをおそらく兵器で支援しているであろうイランに対して、攻撃する というのは 中東だけでなく、全世界を第三次世界大戦や経済大混乱に導くもので、完全に間違っています。

 

米軍がやるべきことは まずイラクとシリアからの完全撤退、ガザのパレスチナ人に対する虐殺を行っているイスラエルに対して兵器支援、金銭支援の完全停止であるべきなのです。

 

そして、米軍自身も もう 世界の複数の地域で同時に戦争を行う能力も、兵器産業の規模もない ということを今のウクライナ戦争で自覚するべきでしたが、まだ 自分が軍事力の王様で世界の一強だ と思って未だに勘違いしています。

 

イランはアメリカが過去に軍事侵攻してきたイラクやリビア、セルビア等と比べると桁違いに強い軍事強国です。今現在行っているウクライナでのロシアとの戦争はあくまで「代理戦争」であることを考えれば、第二次世界大戦終了後は「弱い者いじめ」的な戦争しかしてこなかった米国は すでに極超音速ミサイルを開発したイランと同じレベルの軍事強国とは直接戦争したことがありません。

 

アメリカ本国では南部国境の混乱ぶり、国内でホームレスが溢れ、治安が極端に悪化していること等を踏まえると、アメリカはそこまで 本土の安全保障に直接関係のない国に対して介入できるような、余裕のある国ではなくなっていることを自覚するべきだと私は思います。