先日7/20に公開した私のブログ記事でロシアが穀物合意を延長せず、終わらせた背景について書きました。

 

「穀物輸出船」としてウクライナに入港してくる船が NATOからの兵器や爆発物を運んでいたこともロシア側にバレて、それがクリミアとロシア本土とを結ぶケルチ大橋へのテロ攻撃に使われていたことが判明しています。

(下のインドのメディアでも報じています。 ビデオのタイトル:キエフと西側諸国の裏切り;ロシアは穀物輸出船から爆発物の痕跡を発見)

 

 

 

ロシア軍は「黒海に入稿してくる船は全てウクライナへの兵器を積んだ船とみなす」と言って、黒海を事実上封鎖し、オデッサ港やルーマニアとの国境に近くドナウ川に接しているレニ港をミサイルやドローンで攻撃しました。

 

(上の地図、穀物輸出が行われていたウクライナのオデッサ港とレニ港の位置)

 

 

ウクライナは当初「トルコやEU、国連からの援助を得て黒海からの穀物輸出を続ける」と言っていましたが、これら2つの港が「戦闘地域」になったことで、まず海上保険が掛けられなりました。また、トルコやNATO加盟国に船の「護衛」を頼んだものの、断られ、頼みのEUにも「東欧5カ国(ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア)がウクライナからの穀物輸入に強く反対しているので、穀物輸入でウクライナを助けられないし、助けるお金も持っていない」とウルスラ・フォンデアライエンEU委員長に言われてしまいました。

 

下はインドのメディア、Hindustan Times で7/29に流れたニュースより一部抜粋。

 

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欧州連合はウクライナを退ける理由に、欧州での金融危機を挙げた。

 

 

ウクライナの願いに欧州は「耳が聞こえないふり」

「欧州委員会にはウクライナの穀物輸出に補助金を与える資金がない。」

 

ウクライナの願いに欧州は「耳が聞こえないふり」

「穀物の輸出を支援する解決策を持っていない。人々は昨年から頭を悩ませている。」

 

ウクライナの願いに欧州は「耳が聞こえないふり」

「追加の資金が中期予算の見直し後に割り当てられる可能性はあるが、それには数ヶ月かかるだろう。」

 

 

ウクライナの願いに欧州は「耳が聞こえないふり」

「しかしながら、いくつかのEU加盟国は EUへのウクライナの穀物輸出への禁止の現在の一部禁止を巡っての紛争を理由に、この提案に原則として反対している。」

 

ウクライナの願いに欧州は「耳が聞こえないふり」

「EU加盟国の東欧5カ国は ウクライナの食品が彼らのマーケットに溢れて価格を下げた後、農家による大規模な抗議に晒されている。」

 

ウクライナの願いに欧州は「耳が聞こえないふり」

5月、彼らは委員会に圧力をかけて現在の一時的な禁止に賛成し、影響を受けた農家に対して補償金を支払うように圧力をかけた。」

 

ウクライナの願いに欧州は「耳が聞こえないふり」

「その制限は9月中旬に切れることになっているが、そのグループ(東欧5カ国)は年末までそれを延長するつもりだ。」

 

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上のニュースで報じているように、EUからの協力も得られず、ウクライナからの黒海を通じた穀物輸出は絶望的な状況になっており、陸路で輸送するにしても、ウクライナからの穀物輸入に大反対しているポーランドやルーマニア、スロバキア、ハンガリーからの輸出も難しいでしょう。ウクライナが穀物取引によって得ていた利益が毎月5億ドルほどあった と言われていますので、その5億ドルの貴重な収入源を 穀物合意での約束破りと彼らがやったクリミア大橋へのテロ攻撃での代償として、事実上失ったわけです。

 

また、ウクライナからの穀物はトルコとEU、そして中国に大半が届き、アフリカの貧しい国には わずか3%台しか届きませんでした。

 

そして、ロシアは「ウクライナの穀物をロシア産の穀物で置き換えられる。アフリカにも一部無償で送る」と宣言しました。

 

これもHindusutan Timesからニュースをご紹介します。

 

 

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ロシアのサンクトペテルブルグで7/27に行われた「ロシア・アフリカ・サミット」でのプーチン大統領の発言

「今後3~4ヶ月で私達は25,000~50,000トンの穀物をブルキナファソ、ジンバブエ、マリ、ソマリア、中央アフリカ共和国、エリトリアへ無料で供給します。」

 

「私達はまた、消費者にそれらの製品を無償で供給します。」

 

 

「ロシアはウクライナの穀物の代わりになれる」

プーチンのゼレンスキーへの大きな軽蔑

 

プーチンは50,000トンの無償の穀物を6つのアフリカの国々に送ることを約束した。

 

 

ロシアはウクライナのアフリカへの穀物輸出の置き換えができると彼は言った。

 

彼の保証はロシアーアフリカ・サミットが彼の故郷であるサンクロペテルブルグで開かれた時に出てきた。

 

 

黒海穀物取引の終わり

 

 

西側諸国は黒海穀物取引を終了させたので、ロシアを非難している。

 

 

米主導の西側はロシア大統領の決定を無責任だとみなした。

 

 

プーチンは繰り返した。モスクワ(ロシア)は(穀物取引)を終わらせる。なぜならロシアの穀物と肥料の輸出を容易にするという合意した約束が何一つ守られなかったからだ。

 

 

ウクライナの穀物の70%以上が欧州連合を含む富裕国へと行って、スーダンのような貧困国は騙されて、わずか3%以下しか受け取らなかった と、プーチンはサミットで言った。

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そして、このロシアのサンクトペテルブルグで開かれたロシア-アフリカ・サミットでは この方も参加されていました。

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ワグナーの元代表のプリゴジン氏です。

 

アフリカのいくつかの国では各国政府と協力して今でもワグナーが活動して重要な施設や鉱山等の周辺の治安維持や軍隊の訓練を行っています。ウクライナでの戦争でロシアが厳しい経済制裁を受けていても アフリカのほとんどの国はロシアへの制裁を拒否している というのはそのような事情もあるのです。

 

アフリカへのロシアや中国の影響が強まり、それと同時に 植民地時代の旧宗主国であったフランスやイギリスの影響力は弱まっていたり、現地の住民から激しい反発を受けています。

 

フランスのマクロン大統領は「BRICSに入りたい。8月に開かれるBRICSサミットにフランスを招待してほしい」と今回のホスト国である南アフリカに懇願したものの、結局断られています。

 

7/26に起こったニジェールでのクーデターは まさに、西欧諸国、特にフランスのアフリカでの凋落を示唆していますので、このトピックについては明日のブログで書きたいと思います。