ワグナーのプリゴジン氏とワグナーの戦闘員たちのその後の状況についてですが、私が毎日チェックしているYoutubeのウクライナ戦争の戦況実況チャンネルを見ていたら、面白い情報が入ってきましたので本日ご紹介します。

 

いったんロシア北部のウクライナとの国境沿いの町、ベルゴロド州にあるキャンプにワグナーの兵士たちは引き返した後、一部はプリゴジン氏とともにベラルーシ入りし、ベラルーシではワグナーの兵士8,000人分の基地やキャンプが建設されている とのことです。

 

これは Military Summary チャンネル、THETI Mapping等、複数の戦況実況チャンネルでそう言っています。

 

 

 

 

 

 

ちなみに、「プリゴジンの乱」に参加したワグナー兵士の数は プリゴジン氏が言っていた25,000人ではなく、実際は3,000人程度で、多くのワグナー兵士は 目的を知らされずにウクライナへの何らかの軍事作戦の為なのだ と聞いて、事実上プリゴジン氏に騙されて動員されたことが分かっています。

 

そして、面白いのは その「プリゴジンの乱」に参加したのが 騙されて参加した兵士も含めてたった3,000人なのに、ベラルーシでは8,000人分のワグナー兵士用の基地が作られる予定 ということです。つまり、プリゴジン氏に同調してベラルーシに逃げるつもりだったワグナー兵士よりの数もはるかに多い、ロシア軍とすでに直接契約をしたと思われるワグナー兵士までベラルーシに行く ということは これは「何か新たなこと」が始まるのではないか という予想があります。

 

それは「ウクライナの首都キエフに将来再侵攻するための布石か」とおっしゃっている方がいらっしゃるのですけど(国際情勢Youtuberで幸福実現党の党員でもある及川幸久氏)、私は ロシア軍にもワグナーにもベラルーシ政府にも、キエフに兵を送るつもりは  少くとも当面は 無いだろうと見ています。

 

なぜなら、キエフのような大都市で人口が多いところ(2017年時点で288万人)を 今ロシア軍がやっているような「特別軍事作戦」で民間人の被害をできる限り最小限にする という方法では 兵士の数が明らかに足りないのであって、それこそ民間人殺害も気にせず核兵器を使うとかならばできるでしょうけど、それ以外では 高いビルも立ち並んで防御側が明らかに有利になる首都を陥落させることは 少くとも百万人以上の兵士をその方面に使わなければ不可能だからです。ですから、私は 「キエフ攻撃」の可能性はまだ低いと見ています。

 

では、何のためにワグナーの兵士が8,000人ベラルーシを拠点にして活動するかと言うと、それはNATOの元事務総長が語っていた通り、「ポーランド軍とバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)を中心としたNATO軍兵士が 近いうちに(7月末頃~9月上旬にかけての予定とのこと)ウクライナに入る公算が高くなっている」ことが関係していると私は思います。

それを示唆するかのように、6/28、ポーランド大統領とバルト三国の首脳がウクライナのキエフ入りしてゼレンスキー宇大統領と会談しています。

 

そして、ベラルーシへのワグナー兵士の配備は ウクライナ西部に入ってくる予定だとされる、ポーランド軍とバルト三国の軍の補給路を経ち、これらの軍隊を撃退するためではないか、とMilitary Sumary チャンネルの管理人のDima氏は下のビデオで言っています。

 

 

ベラルーシには先日配備を完了した戦術核兵器のミサイルもありますが、これは西から入ってくるであろうポーランド軍を威嚇する為だとも見られています。それはベラルーシが先に核兵器を使うという意味ではなく、ウクライナに入ってくるポーランド軍がベラルーシを攻撃する可能性も高いからです。事実、また、ポーランド軍の幹部は 堂々と、「ベラルーシでのクーデター蜂起を支援しなければならない」と発言していますので、ポーランド+バルト三国を中心としたNATO軍がベラルーシで軍事行動を起こす可能性もかなりあるのではないでしょうか。

 

 

 

 

そして、実際に 数百人のベラルーシの「反ルカシェンコ」の戦闘員をポーランドで軍事訓練まで現在行なっています。

 

これはポーランド人の方が下のビデオでおっしゃっています。→ビデオのタイトル:数百人のベラルーシ人がルカシェンコを倒すため、ポーランドで訓練を受けている。(英TIMES誌より)

 

 

今回、上のビデオでご紹介されている記事を ポーランド語から自動翻訳で日本語にしたものでご紹介します。

 

Setki Białorusinów przechodzą w Polsce szkolenie bojowe, by obalić Łukaszenkę — brytyjski "The Times"

 

(和訳開始)

 

数百人のベラルーシ人がルカシェンコ打倒のためポーランドで戦闘訓練を受ける - 英タイムズ紙

 

2020年の大規模抗議活動後に国外に逃れた数百人のベラルーシ国民が、アレクサンドル・ルカシェンコ打倒に向けてポーランドで戦闘訓練を受けている。英紙「タイムズ」によると、訓練は同じく国外退去を余儀なくされたベラルーシ治安部隊BYPOLの元隊員らによって実施されている。この組織のリーダー、アレクサンダー・アザロフ氏によると、ベラルーシ人の一部のグループは数カ月にわたって訓練を続けているという。

 

「私はこれを戦闘的ディアスポラと呼んでいます。私たちの強さは日に日に増しています」とインストラクターの一人、スウォレックというあだ名の元兵士は語った。

以前、BYPOLと関係のあるパルチザンは、ベラルーシ領土ですでにいくつかの作戦を実行して成功を収めていた。特に、ロシアのウクライナ侵攻が始まった後、ロシア軍が使用する鉄道路線で破壊活動を組織した。

 

同組織は今年2月、ミンスク近郊の空港でロシアのA-50偵察機を2機の無人機を使って攻撃したことを認めた。BYPOLはベラルーシで「過激派組織」として認識されている。

 

「私たちは平和的に行こうと努めました。しかし、国家は血を流さずに自由を勝ち取ったことは一度もなかった、とBYPOLの訓練キャンプに参加する決意を、「おじいちゃん」のあだ名で呼ばれる60歳の電気技師は説明した。「娘は私がここにいることを知りません。」私は彼女にペイントボールをするつもりだと言いました。「プレデター」のあだ名を持つ42歳のボランティアは、ベラルーシの戦いに備えて訓練するためにここに来たと語った。

研修生たちは、体制と戦うためにベラルーシに戻るとき、彼らの間で「タイムX」と呼ばれるものに備えている。別のベラルーシ人は、その瞬間は「ロシア連邦が(ベラルーシから)撤退するとき」に来るかもしれないと語った。

 

ベラルーシの大規模な抗議活動は2020年8月9日に始まった。この抗議活動は、現職のルカシェンコ大統領が正式に得票率80%以上を獲得した大統領選挙の改ざん結果によって引き起こされた。彼の主なライバルであるスヴャトラーナ・チハノフスカヤ氏の得票率は約10パーセントであった。   チハノフスカヤ氏のスタッフは選挙結果を認めず、ルカシェンコ氏に平和的に権力を移譲するよう要求した。

抗議活動中は数百人が拘束され、その多くは大規模暴動を組織し、社会的憎悪を煽り、選挙管理委員会の業務を妨害し、公序良俗に反する行為を組織したとして告発された。チハノフスカヤ氏と数千人のベラルーシ人は国外に避難しなければならなかった。ルカシェンコ氏は西側諸国が抗議活動を扇動したと非難した。EUと米国は選挙結果を認めなかった。

 

(和訳終了)

 

そして、最後に面白い情報をもう1つ。 Military Summary チャンネルのDima氏によれば、プリゴジン氏はいったんベラルーシに出国した後、6/28にモスクワへ行っています。

ポーランド大統領、バルト三国の首脳たちがキエフ入りしたのと同じ日です。プリゴジン氏は プーチン大統領と何らかの”交渉”を行う可能性が高いです。

 

あのような大騒ぎがあってからまだ日が浅いのに、プリゴジン氏とプーチン氏が もしも平和的に話し合うことができるのであれば、あの「プリゴジンの乱」は 完全な”演出”だった可能性もあるわけで、あの反乱が本物なのか、それとも演出なのか、たくさんの「専門家」と称される人々の間で色々な憶測が飛び交っていますが、今のところ 真実を知っているのはプーチン大統領とプリゴジン氏とロシア政府内のごく一部の人だけでしょう。