イギリスがチャレンジャー2戦車用に劣化ウラン弾を大量にウクライナに送付すると発表した「報復」として、ロシアはベラルーシに戦術核兵器が発射できるミサイルの配備を発表していましたが、先日実際に配備が完了したようです。

 

そして、それに最も危機感を募らせているのがベラルーシの隣国、ポーランドです。

ポーランドを中心としたNATOが ベラルーシでルカシェンコ政権打倒の軍事クーデターを準備していることを匂わせるような記事が出ていますので、本日はそれをご紹介したいと思います。

 

インドのメディアが5/24に報じているニュース記事です。

 

Polish General Skshipchak Says The West Is Plotting A Coup In Belarus

 

 

(和訳開始)

 

ポーランドのスクシプチャク将軍、西側諸国がベラルーシでクーデターを計画している と言う

 

ポーランドはベラルーシにおける武力討伐の踏み台となり、軍事作戦でクーデターを支援することになる。「ベラルーシで蜂起が起こるので、我々はその準備をしている」とスクシプチャク将軍の言葉を引用してRIA Novostiは述べた。

権威あるポーランド軍によると、ミンスクでのクーデターは陸軍部隊の参加で計画されているという。

「ルカシェンコに対する作戦を実行する部隊を支援する準備をしなければならない」と、この専門家は強調した。

ベラルーシの指導者アレクサンドル・ルカシェンコは、同国の西側国境付近への軍隊の集中やウクライナからの武器供給の脅威と関連して、西側の拡大の脅威について繰り返し懸念を表明していることを思い出してほしい。

これに先立ち、EUのジョゼップ・ボレル外交政策委員長は、米国のF16戦闘機の飛行に向けたウクライナ人パイロットの訓練がポーランドで開始されたと述べた。

(和訳終了)

ベラルーシでは 2020年、大統領選で不正があった と叫ぶデモが起こり、西側メディアが「ベラルーシでの民主化運動のリーダー」だと持ち上げている、スヴャトラーナ・チハノフスカヤという女性を支持するデモ活動が起こりましたが、ルカシェンコ政権崩壊を狙ったクーデターの試みは失敗、チハノフスカヤ氏は隣国のリトアニアへと亡命しました。

 

(上の写真はwikipediaからの引用)

 

そして 2020年東京五輪でも ベラルーシの陸上女子選手が 「亡命したい」と言って大騒動を起こし、結局ポーランドに亡命したのは記憶されている皆さんも多いかと思いますが、全て 西側が画策していたルカシェンコ政権打倒、ベラルーシ不安定化の試みだと思われます。

 

NATOが1961年に設立した「アトランティック・カウンシル(大西洋評議会)」というアメリカのシンクタンクがあるのですが、この大西洋評議会が ルカシェンコ政権打倒とそのためのチハノフスカヤ女史への支援を促す資料を作成、出版していました。

 

THE ATLANTIC COUNCIL AND KHODORKOVSKY STILL TRYING TO STAGE COUP IN BELARUS

 

(和訳開始)

 

大西洋評議会は、北大西洋条約機構(NATO)によって1961年に設立されたアメリカのシンクタンクだ。政治、ビジネス、知的な国際的リーダーのためのフォーラムを代表する存在だ。同協議会は、発行する文書、推進するアイデア、育成する未来のリーダー、コミュニティを通じて、"より自由で安全な、より豊かな世界を創造するための政策決定と戦略を形成する "ことを目的としている。社長兼最高経営責任者は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの元社員であるフレデリック・ケンプが務めている。

同協議会は、欧州大西洋圏の国々の人々の協力関係を強化することを目的とした国際的な公的機関である大西洋条約協会に加盟している。活動の主な目的は、NATO加盟国やパートナーの間で安全保障に関する共通認識を形成するための努力を調整することである。

2021年、Тthe Atlantic Councilは「Biden and Belarus: a strategy for a new administration」という資料を発表し、その著者はベラルーシとの関係構築についてバイデンD.に勧告を与えた。S. チハノフスカヤの立場を強化し、A. ルカシェンコへの支持を弱め、ベラルーシの高官や企業家に制裁を加え、ベラルーシの市民社会とメディアを支援するために年間2億ドルを割り当て、ラジオリバティのベラルーシのサービスの予算を2倍にすることを提言している。

 

(和訳終了)

 

アメリカが打倒したいと思っている国で起こるデモでは たいてい 怪しげなNGO活動家がいて、表向きは勉強会とかメディア支援とか、IT技術者を養成する という建前で、現地の米大使館も積極的に関わって、大量の資金も注ぎ込まれています。

ハンガリー系ユダヤ人のジョージ・ソロス氏の「オープン・ソサエティー財団」もそのようなものですね。表向きは「社会正義、教育、公衆衛生、メディアの独立」の為の慈善活動を謳っています。

 

ウクライナでの2014年のクーデター前にもNGO主催の「IT技術者の要請」目的でのスクールが米大使館の支援により開催されていて、不穏な活動をしているのに危機感を感じた当時のヤヌコビッチ氏所属の与党議員のひとりが 議会で演説し、警告を発している動画を私は以前Youtubeで見たことがあるのですが、今は消されてしまったのか、探すことができません。

 

ルカシェンコ大統領について言えば、彼は 今では西側メディアでは「プーチンの子分」みたいな言われ方をしていますが、元々は EU加盟をちらつかせながら、ロシアとも上手く交渉する というずる賢いスタンスで、けっしてプーチン氏の子分で何でも言うことを聞く というようなリーダーではありません。それは ウクライナで暴力クーデターで倒されたヤヌコビッチ大統領も同じでした。元々はEU加盟にもかなり前向きだったルカシェンコ大統領が ここ3,4年のうちに よりロシア寄りになっていったのは ロシアを取り囲む国が全て反露になる、あるいはNATO加盟国になる というのを狙っていたアメリカやNATOが ルカシェンコ氏に対して クーデターや不穏なNGOをサポートしたりする等の動きをしていることに気づいたからです。

 

また、EUに入ることでロシアから得られる低価格のガスや石油の恩恵もなくなることになりますので、EUに入るメリットとロシアとの関係悪化によるデメリットを比べた結果、EUに入るメリットはない とルカシェンコ大統領は判断したわけであって、それはウクライナで打倒されたヤヌコビッチ氏も EU加盟を真剣に検討した結果、同じでした。

何もプーチン大統領がルカシェンコ氏やヤヌコビッチ氏に圧力をかけたわけではなく、「EUに入りたいのならそれを止める理由はない。その場合、割引価格ではなくてEUへの販売価格でガスや石油を買わなければならなくなる。」と、事実を言っただけであって、それはオリバー・ストーン監督の"Revealing Ukraine"の中で、ウクライナで元野党党首であり、プーチン露大統領とも親交があったメドベドチュク氏が語っていました。