私のブログの過去記事でも書いたのですが、イギリスはウクライナに14台提供したチャレンジャー2戦車用の砲弾として、大量の劣化ウラン弾を送付しています。それが格納されているウクライナ西部にある都市、フメリニツキーの倉庫をロシアが見つけて、5/13に精密誘導弾で爆破しました。

 

全部が劣化ウラン弾というわけではないでしょうが、そこには合計数百トンの砲弾や火薬があると言われていて、下の写真のような大爆発を起こしました。

 

 

そして、フメリニツキーでの環境中のガンマ線のレベルを表したのが下のグラフです。

 

 

 

 

 

 

 

(上の3枚のグラフ:原子力発電所があるフメリニツキーにはガンマ線の測定器があり、急上昇している)

 

ここで注意して見ていただきたいのが ガンマ線のレベルが急上昇しているのが ロシア軍がミサイル攻撃を行なった5/13からではなく、その前の5/12からだと言うことです。

これは おそらく 劣化ウラン弾がこの倉庫に到着した直後から放射線レベルが上がっていて、ロシア軍のミサイル攻撃では放射線レベルがほとんど変わっていないことを意味しています。

 

そして、放射線量が一時140ミリシーベルトを越えるまで上がっていますが、国際放射線防護委員会(ICRP)が2007年に出した勧告では、事故発生等の緊急時における放射線防護の基準値を20~100ミリシーベルトとしていますので、140ミリシーベルトは緊急時の上限も超えてしまっている ということになります。 劣化ウラン弾を供給した と表明した時の イギリス政府の弁明では 「劣化ウラン弾から出る放射線は微量で人体にも環境にも影響がないことが分かっているので、我々はずっと使用してきた。」と言っていますが、上のグラフを見れば分かる通り、爆発しなくても多量の砲弾が持ち込まれただけでも そこのエリアのガンマ線量が上がっているのです。

 

(上の地図: 当時風は東から西に流れていたので倉庫の爆発で飛散した放射性降下物はウクライナ西部、ポーランド、ドイツ方面に多く飛散するという予想図)

 

 

上の2枚の写真は この爆発火災で出動した消防ロボットです。消防士ではなく、ロボットが消火作業を行なっているということは 付近の線量が高いので 消防士は近づかないほうがよい という判断だと思われます。

 

 

イギリスは 劣化ウラン弾の危険性について、劣化ウラン弾が使用されたセルビアとコソボ、イラクでの癌急増や出産異常等のデータをきちんと調べた上で軽視した発言をしているとは思えないですね。もしくは知っていても知らないふりをしているのかもしれません。嘘記事ばかり書いているイギリスの新聞、ガーディアンですら、イラクで急増した出産異常を劣化ウラン弾と関係がある と認めています。(詳しくは下の過去記事をご参照下さい)

 

 

 

このチャレンジャー2用の劣化ウラン弾の砲弾がどこに貯蔵されるのか、おそらくロシア側は衛星などで常時監視をしていたのでしょう。そしてウクライナ西部の都市の倉庫に保管されたのを確認して、それが東部や南部へと移動してロシアに併合したウクライナ東部や南部が核廃棄物で汚染されるのを防ぐために、その場でウクライナの西部の倉庫で爆破させた ということでしょう。東部地域ができるだけ汚染されないように、おそらく風向きまで考慮に入れていたのでしょう。

 

風向きから言って、ドイツ方面に放射性降下物が流れた可能性があるわけですが、意外なことに、日本も含めた西側メディアは このニュースをあまり報道していませんし、劣化ウラン弾の倉庫を爆破したロシアを非難してもいません。 無責任極まりないイギリスがウクライナに送った劣化ウラン弾によって起きた汚い核汚染のニュースを隠したい ということで敢えて報道しないのでしょうか。 

 

私は この爆発に関しては 劣化ウラン弾をウクライナに送る と決定したイギリスのリシ・スナク政権をまずは非難すべきであって、それに対して強く非難し「断固たる措置を取る」と言ったロシアを非難する気にはなれません。

砲弾の倉庫をミサイルやドローンで破壊する というのはロシア軍がいつもやっていることですし、ウクライナ軍もたびたびやっています。たとえたった1つの砲弾から出る放射線量が少なくても、上のグラフで分かる通り、多数集まれば災害レベルの大きな線量になるのです。そして砲弾をウクライナに送れば、ロシア軍がミサイルで倉庫を破壊する ということも事前に想定はできたはずです。

 

(上2枚の写真:1枚目が露軍のミサイル攻撃前のフメリニツキーの弾薬倉庫で、2枚目が5/13の露軍のミサイル攻撃後の状態)

 

 

しかし、イギリスはいつも無責任極まりないのですが、兵器を送った後は「ウクライナに任せているので知らない」という態度です。これはロシアよりもイギリスのほうが 強く非難されて然るべきでしょう。

 

 

今回、インドのメディアが報じている現地での放射線量急上昇のニュースをご紹介します。

Gamma radiation spikes as explosions rock munitions depot in Ukraine

 

(和訳開始)

 

ウクライナの弾薬庫で爆発が起こり、ガンマ線が急増
ウクライナのフメルニツキーにある弾薬庫で爆発が発生、ロシアのミサイル攻撃によるものと思われる

 

【ニューデリー】ウクライナ西部の弾薬庫で起きた一連の爆発は、ガンマ線レベルの大幅な上昇をもたらし、劣化ウラン粉が大気中に放出され、公衆衛生に深刻なリスクをもたらす可能性があることを示唆している。

フメルニツキーでの爆発は、ロシアのミサイル攻撃によって引き起こされたと考えられている。ロシアとウクライナの専門家によると、その結果生じた火災はロボットによって遠隔操作で消火されているとのこと。

劣化ウラン弾は、通常、ガンマ線の放出は少ないが、フメルニツキー事件で疑われたように、大量の備蓄が破壊された場合、リスクをもたらすことが知られている。

ガンマ線の影響は、特に細胞構造やDNA/RNA分子に有害であり、気体や液体などの流体中では、その範囲が拡大する可能性がある。

一方、英国国防総省(DoD)は、ウクライナ軍に劣化ウラン弾を提供したことを確認しており、ロシア・ウクライナ戦争がより激化した戦いに進む中で、同様の放射能汚染が再発することが懸念されている。

 

(上の地図:爆発時の風向きを考慮すると、ドイツ方面に放射性物質は流れる可能性が高い)

 

報告によると、フメルニツキーの爆発した倉庫には相当量の劣化ウラン弾が含まれており、地元住民に警戒心を与え、周辺地域からの避難を促している。

線量計パトロールが市内で活動し、通常とは異なる場所で放射線バックグラウンドの測定を行っている。これまでの測定はフメルニツキー原子力発電所周辺に集中していたが、現在は地域の中心部、地域の西部地域、テルノピルにも拡大している。

爆発時に西向きに吹いていた風向きから、放射性粒子がドイツ方面に拡散する可能性が懸念されている。

政治学者のユーリ・コット氏は、破壊されたフメルニツキー倉庫に大量の劣化ウラン弾の備蓄があることを確認したと述べています。

住民たちはパニックを起こし、荷物をまとめてフメルニツキー、リヴィウ、テルノピルなど被災地を離れているという。

爆発後、フメルニツキーのガンマ線レベルは着実に上昇を続けている。劣化ウランは通常、低線量のガンマ線しか放出しないため、この上昇は特に問題であり、相当量の軍需品が破壊され、ウランのダストが周囲の環境に放出されたことを示唆している。


当局は、線量測定パトロールの継続的な作業と爆発による被害の程度について、まだ公式見解を示していない。

 

(和訳終了)

 

 

ウクライナを使ってロシアへの代理戦争をしているNATOの中でも ウクライナから遠く離れたイギリスは 自国に影響が及ぶことは少ないだろうと分かっていて大量の劣化ウラン弾をウクライナに送付したのだと思われますが、ウクライナの土壌が汚染されることも、ウクライナ人が癌になろうがどうなろうが知ったことではない という感じで、非常に無責任で、卑劣なやり方でロシアへの代理戦争をエスカレートさせています。

 

劣化ウラン弾は現地住民の健康や環境を害するだけでなく、軍事作戦に参加した兵士の健康にも影響を及ぼします。

セルビア、コソボへの爆撃に参加したNATOの空軍、イラク戦争に参加した米英の兵士からも癌が多発している という話がありますし、その1人が ジョー・バイデン米大統領の長男である、ボー・バイデン氏なのです。

ボー・バイデン氏は2008年、陸軍兵士としてイラク戦争に参加し、2010年から体調不良、2013年には脳腫瘍と診断されて2015年、46歳の若さで亡くなっています。

 

イギリスは すでに射程250キロの長距離弾道弾の「ストームシャドウ」を200発ウクライナに送っていますし、今後も400発送ると言っています。ロシアが言う「レッドライン」を超えないように長距離ミサイルの提供を控えたりしているアメリカ以上に、かなりロシアに対して好戦的な態度を取っている国がイギリスと言ってよいでしょう。

 

ゼレンスキー政権も 本来、ウクライナの人々の健康第一に考えるならば、癌や出産異常が懸念されている劣化ウラン弾の提供には断固として反発しなければおかしいと思いますが、喜んで提供を受け入れる ということは ゼレンスキー政権は 全く末端のウクライナ人のことなど考えていない ということがよく分かります。