【2011-06-20(月)④】
※ 前以て パートⅠ,Ⅱ を読んでからをお勧め致します。
第2章 できるだけ一人で発見しない
このことは死体の第一発見者が心掛けておかねばならない基本中の基本である、これを怠るとその人の運命の歯車が狂い出してしまって、もおどおにもとまらないって状態に陥ってしまう危険性大なのである。
貴方が発見する死体は全てが異状死した死体つまりは変死体なのであり、病院で医師に看取られて亡くなった患者さんや自宅で主治医のもとに病死や老衰死したりした方等の一般的に自然死と言われるご遺体ではないのである。
異状死の場合警察が検視をすると決まっているのだがそれと同時に捜査というものも始まってしまうのである、この死体は病気で行き倒れた行旅病者なのか事故死なのか過失死なのか自殺なのか他殺なのかというようなことを考慮に入れて死因は何だったのかを検視するのだが、特に他殺の疑いが濃厚と思われるような場合は検視しつつも犯人はどんなやつなのかを既に考慮していて、そんな時に若しかしたらと一番最初に疑って掛るのは第一発見者と相場は決まっているのである。
せっかく通報して上げたのに疑われるんじゃ堪らないと思うのであるが「先ず第一発見者を疑え」は捜査の鉄則なのである、何故なら一番効率の良い犯人逮捕に繋がるからなのである、警察にとっては死因確認と同時に犯人逮捕なんていう以上のおいしい御馳走は他にないのである。
そんな疑いの眼を向けられない為には一人で発見するよりも複数の人間で発見した方が警察の心証も違ってくるのである、「この人達は偶然に死体を発見した善意の第三者なんだろうな」と思って貰い易いのである。
それが一人で発見なんかすると、相手は何故こいつはこんな時間にこんな場所に居合わせたんだろうか何処の何奴なんだろうかこの死体との関係は何なんだろうかと疑い、若しかしたら自分で殺しておいて第一発見者の振りをしてるんじゃないだろうか等と推理しながら接してくるのである。
刑事は疑うのが商売だとはよく言われるのだがホントにそうなのである、当たり障りのない口調で話してくるがその眼は明らかにお前を疑ってるんだぞという目付きをしているのである。
「俺はお前を疑ってるんだぞ何故なら死体を発見してしまう破目に陥るような碌でもない人間なんて滅多にいないんだからな」という眼に負けない為にも一人じゃないってことがどんなにか心強いことか、呉れ呉れも死体は一人で発見してはならない二人以上で発見するようにと常々から心掛けておくべきである。
例えば「あっ、あれ死んでんじゃないかな」とか「ひょっとして死体じゃないかしら」なんて場面に遭遇しても、絶対に一人でノコノコと近付いて行ってはいけない、先ず第一にしなきゃいけないことはもう一人誰かを探すことなのである。
通り過がりの人とか近くの家の人だとか相手は誰でもいいからできるだけ早く二人以上にならなくてはいけない、それは何故かと言うと後々お互いがお互いを唯の死体の第一発見者だと証言し合えるようにしておきたいからなのである。
「私達は偶々この死体を発見しちゃったんです、一人じゃ怖いから二人で確認してそれで通報したんです」という流れは是非とも作っておかなければならないのである。
敵が「先ず最初に第一発見者を疑え」ってくるのは分っているんであるから此方としては「どうだ疑う余地ないだろう」という姿勢は貫いておかねばならないのである。
疑いの眼を撥ね付けて「見当違いな考えをしている暇があるんならさっさと犯人探しに行けよ」と咎め立てをする意味でも二人のガッチリとしたスクラムは不可欠なものなのである。
そして複数が心強いというもう一つの重要な点は、通報から関係者が到着する迄の時間を一人で過ごさなくとも済むということなのである。
通報すればそれで立ち去っていいというものではなく関係者が到着する迄はそこで待機しているように要請されてしまうのだ、おまけに名前を聞かれたりどういう事情で発見したのかとか何故そこにいたのかとかどういう立場で通報したのか等も聞かれた上に誰も死体の傍に近付かせないように等と命令されたりもするのである。
そういう時間は意外と長く感じるもので、死体じゃないかと思える方と例え何分であろうと二人っ切りで過ごすというのは余り気持ちのいいものではない、できれば生きてる同志二人で和気藹々と過ごしてるうちに関係者が到着するというのがベストだと考えるのである。
以上述べてきたように「できるだけ一人で発見しない」という論理的理由がご理解戴けたものと確信するが、余りやり過ぎてしまうと却って犯人の周到な隠蔽工作ではないかと疑われてしまうということが稀にあるそうだから、その辺には充分注意を払うようにとお願いをしてこの章を終えたいと思う。
※ 以下 正しい死体の発見の仕方 パートⅣ に続く、但し掲載日は未定です。