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弁護士 渡辺 久の法律ブログ

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本当に毎日暑いですね。熱中症にならないよう,こまめな水分補給が必要です。



実は,私は,先週夏休みを頂戴し,久しぶりに高原ですごしました。もちろん愛犬も一緒です。朝晩はとても涼しく,早朝などは寒いくらいでした。昼間はそれなりに暑いのですが,木陰に入ると,涼しく,とてもすごしやすかったです。



さて,本日は,定期借家契約において再契約の予約を行う場合の注意点の第2回目です。

1 前回,ご説明したとおり,定期借家契約において再契約の予約を行うケースがあり,その予約にはいくつかの類型があります。



しかしながら,定期借家契約において再契約の予約を行うことは,契約期間が満了した場合は事由の如何によらずに契約は終了するという定期借家契約の本質的な効力を弱めるという問題や借家人に対し,長期間賃借できるとの過度のしかも不正確な期待を生じさせるという問題があります。



そのため,定期借家契約の期間満了に伴って,貸主が借家人に対して契約の終了を主張する際に,借家人との間でトラブルとなる危険性があります。



2 また,理論的にも以下のような問題があります。



定期借家契約においては,貸主は借家人に対し,契約締結の際,あらかじめ,この賃貸借契約には更新がなく,期間の満了により終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません(借地借家法38条2項),そして,貸主が,この説明をしなかったときは,契約の更新がないこととする旨の定めは無効とされます(同法38条3項)。つまり,借地借家法38条2項で規定された説明を行わないと,この賃貸借契約は,定期借家契約ではなく,普通賃貸借契約となるのです。



この点から,再契約の予約における上記の類型をみると,①再契約事由を列挙してその事由に該当する場合に限り再契約に応じるとするタイプについては,再契約事由に該当する場合には当然に再契約の効力が生じると解される場合,再契約に際して契約の更新がない旨の事前説明は行われないことになるため,再契約後の契約は普通借家契約に転化したと解釈されかねません。

      

また,②再契約拒否事由に該当した場合は再契約に応じないとするタイプは,再契約拒否事由に該当しない場合のみ再契約を締結することになり,その際には,更新がない旨の事前説明がなされることにはなりますが,再契約拒否事由に該当しなければ再契約を行うという内容の説明を行った場合には,そのような説明をすること自体,実質的には更新がない旨の説明を行っていないと解釈される可能性があり,その場合には,再契約後の契約は普通借家契約に変化したと解釈されかねません。



3 以上のように,定期借家契約において再契約の予約を行う場合,その説明の仕方や貸主と借家人との間で取り交わす覚書等の文言によっては,再契約後の契約は普通借家契約に変化したと解釈される危険性があるため,再契約の予約を行うこと自体好ましいことではないと思います。 



しかしながら,実務上の要請から,再契約の予約を行っている定期借家契約は多いと考えられます。



先ほど述べた点を踏まえますと,①再契約事由を列挙してその事由に該当する場合に限り再契約に応じるとするタイプは避けた方が無難のように思います。①のタイプとする場合には,少なくとも,再契約事由に該当する場合には当然に再契約の効力が生じると解されるような説明や覚書等の取り交わしをしないように注意する必要があります。



また,②再契約拒否事由に該当した場合は再契約に応じないとするタイプについても,再契約拒否事由に該当しない場合には,当然に再契約に応じると解されるような説明や覚書等の取り交わしをしないように注意する必要があります。

以 上