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弁護士 渡辺 久の法律ブログ

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12月の半ばに、アメリカ西海岸への出張を強行したせいで、例年以上に慌ただしい年末になっ


てしまいました。当事務所は、12月26日(金)に仕事納めでしたが、ブース内の掃除が終わら


ず、昨日(12月28日)も出勤してしまいました。


さて、本日は、定期借家契約の問題点についてお話ししたいと思います。


定期借家契約には、様々な問題点が存在しており、法律家から見ますと、不謹慎かもしれません


が、とても面白い法律です。


我が国における借家契約(普通建物賃貸借契約)は、賃貸人からの更新拒絶あるいは解約申し


入れは、正当事由がなければ認められません(借地借家法28条)。定期借家契約は、その例外


となるものです。例外である以上、借地借家法38条以下で規定された事項を厳格に履践しなけ


れば、定期借家契約と認められず、普通借家契約となってしまいます。


例えば、借地借家法38条2項では、「(定期借家契約をしようとするときは)、建物の賃貸人は、


あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間


の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説


明しなければならない。 」と規定されています。


ここで規定されている書面と賃貸借契約書とを同一書面にすることができるのか、言い換えれ


ば、賃貸借契約書の中に、「定期借家契約である旨」を記載していれば、同条項の要件を満たす


のでしょうか。要件を満たさなければ、同条3項の、「建物の賃貸人が前項の規定による説明をし


なかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。」との規定により、普通


借家契約となってしまいますので、ことは重大です。


この点、最高裁は、平成24年9月13日付判決において、「借地借家法38条の規定の構造及び


趣旨に照らすと、同条2項は、定期建物賃貸借に係る契約の締結に先立って、賃貸人において、


契約書とは別個に、定期建物賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了することにつ


いて記載した書面を交付した上、その旨を説明すべきものとしたことが明らかである。そして、紛


争の発生を未然に防止しようとする同項の趣旨を考慮すると、上記書面の交付を要するか否か


については、当該契約の締結に至る経緯、当該契約の内容についての賃借人の認識の有無及


び程度等といった個別具体的事情を考慮することなく、形式的、画一的に取り扱うのが相当であ


る。したがって、法38条2項所定の書面は、賃借人が、当該契約に係る賃貸借は契約の更新が


なく、期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず、契約書とは別個独立の書


面であることを要するというべきである。」と判示しました。


つまり、定期借家契約である旨を記載した書面は、賃貸借契約書とは別に作成して、別途賃借人


に対して交付する必要があるのです。この判決において、「形式的、画一的に取り扱うのが相当」


と判示している点に、定期借家契約の成否に対する裁判所の姿勢が見て取れます。


私は、賃貸借契約にかかわる法律問題について、多数ご相談を頂いていますが、賃貸借契約書


中に、定期借家契約である旨を織り込んで、借地借家法38条2項の書面を兼用しようとしてい


るケーが見受けられます。このまま契約を締結してしまいますと、将来、賃貸借期限が到来し


たにもかかわらず、賃借人から、定期借家契約としての効力を否定され、明け渡しを拒否される


可能性がありますので注意が必要です。


では、既にこのような形式で契約書を交わしてしまった場合、賃貸人とすればどうすればよいので


しょうか。。。。。これは当職にご相談下さい。


以上の他にもいろいろな問題があります。実際、私がご相談頂いている事件でも、訴訟になり、


来年判決が出される予定となっているものもあります。この判決では、新たな論点に対する裁判


所の判断が示される予定ですので、判決が出ましたら、その概要をご紹介できればと思います


(ただし、ご紹介はこちらが勝訴した場合に限りますが(笑))。