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角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2013-03-09
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【出会い】
帯広図書館の新刊コーナーで出会いました。
【本書紹介のねらい】
~本書抜粋より~
ナマケモノは毎日20時間も寝ているが、現代人は7,8時間しか寝ていない、中には4時間ぐらいしか寝ないで働いている人もいる、そんなにあくせくしないで、少しはナマケモノを見習ったほうがいいんじゃないだろうか、というのが本書の主旨である。
一日8時間労働……場合によっては10時間、12時間、長く働くことが正しい、善き生き方と考えられる現代において、疑問符を飛ばすのが本書です。
人類が生物学的に働けるのはどれくらいなのか? 長時間の仕事ができないのは悪なのか? ちょっと考えてみましょうか。
【響いた抜粋と学び】
著者の池田さんは東京都立大学大学院で生物学を専攻しました。2004年より、早稲田大学国際教養学部教授となり、多元的な価値観に基づく構造主義生物学を提唱して、注目を集めています(執筆当時)。
人類が働くようになったのは7000年前頃に農耕を発明してからだ、穀物は貯蔵可能なので、余分に収穫できればできるほど有り難く、そのために農耕民は長時間労働を余儀なくされたのであろう、そこから「働かざるもの食うべからず」とか「労働は美徳である」といったイデオロギーが始まったのだ。
そもそも、人類は初めから農耕民族だったわけではない、というところから本書は始まります。狩猟民族だった人類は大自然と共に生きていき、食料が少ないときは飢餓に苦しみ、死んでしまうことがありました。
飢餓の問題を解決しようと、農耕が始まりました。それにより、莫大な労働時間が生まれることになるのです。
なんせ、狩猟民族の場合は、餌となる動物をとってくるだけです。一日3,4時間で済みます。しかし、狩猟民族の場合、餌がないときはどうにもなりません。そこで、食力を保存でき、しかも自分たちで作ることができる農耕が始まったわけです。
それにより、人類は爆発的に増えることになるわけです。僕たちの祖先は農耕を始めたことにより、大自然の摂理を超えてしまったわけですね。
狩猟採集民であったとき、人間は互いの部族に壊滅的な打撃を与えるような戦争はしなかっただろう、農耕をはじめたことで人間は長期間労働を行うようになり、さまざまな剰余すなわち富を生み出したのだ、その副産物が権力であり、奴隷であり、戦争なのである、農耕、労働、富、権力、奴隷、戦争、これらはみな同じ起源をもってつながっているのだ。
なるほど。食料の奪い合い、領土の取り合い、人材の取り合い、というところがつながっていくのですね。
ちょっと思うのは狩猟民族でも餌の奪い合いはあったんじゃないかな? というところです。実際どうだったのだろう。
東南アジアなどに行くと、いい歳をした男衆が真昼間から賭け事をしたり、雑談に興じたり、あるいはまったく何もしないでぐうたらしたりしている光景をよく目にする、勤勉な人からすれば、「こいつら何やってんだ?」とあきれることもあるだろうが、生物としては彼らのほうが健全な生き方をしているのかもしれない。
自然界の生物……例えば百獣の王であるライオンも常に動き回って草食動物を狩っているわけじゃありません。必要なときに必要な分だけ狩るわけです。
人類に当てはめてみると、狩るときには一所懸命行い、それ以外はぐーたら。それが自然なのかもしれないですね。
さらに言うと、現代日本においてのニートの存在は自然の摂理なのかもしれません。昔の日本はみんなが頑張らなかったらどうにもならなかった。サボるわけにはいかなかった。
しかし、現代はどうでしょうか。実際、働かなくても食べていけるからこそニートと呼ばれる人たちは働かないわけですよ(親御さんがいつまでもお金を出して、御飯を出してくれたら、そりゃあ働かないさ)。
昔ではありえなかったことが現代には起きているんです。まさにユートピアですよ。
コミュニケーションの能力は劣るけど、家をつくらせたら天下一品だとか、そういう人はたくさんいた、受験勉強やコミュニケーションスキルとは無縁のところで能力を発揮できる人場がかつてはあった、その意味で受験勉強とコミュニケーションの才能ばかりが評価される社会というのは相当いびつな社会である、多様性が大事だと言いながら、社会へ適応できる能力の範囲は狭まっている。
まったくそのとおりですよね。第3次産業と呼ばれるサービス業が労働の全体の7割を超えています。この社会において、コミュニケーション能力が乏しい人は落第生です。これってどうでしょうか?
抜粋にあるように、大正時代は仕事が確か35000種もあったらしいです。それに比べて現代は2000弱だった気がします。
機械化が進むことで人間が行う仕事が減りました。そうすると、残るのは機械ができないこと、つまりサービス業です。
コミュニケーション能力に自信のない人には地獄のような社会ですよね。
成長して子どもを産み、老いて死ぬ、生物というのはすべてただそれだけの存在であり、人間も例外ではないのだが、脳が大きくなった人間は、どうしても人生に意味を見いだせなくなってしまうものらしい。
生物学的に考えると、そのとおりなのですが……発達した脳と高度文明社会に生きる僕たちは単純に子孫を残すために生きて死ぬ、という生き方ではなくなりましたね。
そこに何かしらの意味を見出したくなるようです。それが迷い、悩み、苦しみの権化かもしれませんね。
【編集後記】
昨日、担当者会議3件あったため、その書類作成がまだ終わらず。本日は早朝出社します。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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