最近の高級ヘッドホンやイヤホンではノイズキャンセリング機能がついているものが多いですね。確かに周囲の雑音を消してクリアーな音を楽しめるので、凄い発明だなと思います。今回ご紹介するのは、そんな便利なノイズキャンセリング機能もちょっと良くない面もあるかもという話です。専門サイトではないので主要部分の抜粋を。

 

『米Gizmodoが話をきいたのは、オーストラリアのマッコーリー大学聴覚研究所のDavid McAlpine氏。先に結論から言っちゃうとこうです。

周辺の音が聞こえないのは人間にとって自然な状態ではない。

ノイキャンを利用することで、ヘッドフォンの音>周辺音にしようと過度に音量をあげる必要がなくなるのが、聴覚にとっては利点です。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)いわく、大きな音を長期的に聞いていると、聴覚障害を引き起こす可能性がありますから。

一方で、McAlpine氏はノイキャンが効きすぎるのも問題だと指摘します。意識を調整し、脳がANCオンの状態に反応しようとてしまうからです。聞こうと感覚を研ぎ澄ますことで、神経経路に影響を与えかねません。McAlpine氏はこれを「隠し難聴」と呼んでおり、2011年に論文も発表。論文では、耳自体の聴覚ではなく、脳が音を処理する能力による聞く力に焦点が当てられています。ANCオンという特殊な感覚状態に脳が慣れることで、一般的な普通の状況で脳が音を聞こうとする力が弱まるかもしれないのです。

「このタイプの聴覚問題は、脳の暗号化のルールが変わってしまうようなもの。聞き方を戻しても、脳の状態は以前のようには戻りません。不可逆的な現象なのです」

McAlpine氏は、大学研究室にある無響室に人がはいるとどうなるかを解説。人いわく、方向感覚を失い、耳や頭に圧を感じるといいます。この無響室内での感覚は、ANCオン状態にとても近いもの。人間の体は無音状態を想定してつくられてはいないため、周辺音なしでは感覚が鈍り、聞こえるものと実際の体験に断絶が生まれます。

「大きな音は耳に悪影響となります。なので、ヘッドフォンのノイキャン機能は適宜使うべきでしょう。一方で、周辺音は人が環境に存在し方向を判断するのに必要不可欠な情報でもあるのです」

2012年、McAlpine氏のチームによる実験では、17人の被験者に1週間イヤフォンを装着して暮らしてもらう試みを実施。内11人からは耳鳴りが報告されました。研究は、音がない状態は脳の音の処理方法そのものに影響を与えることを示唆。これは、耳の聴覚自体に問題がなくても起こりえます。ちなみに、被験者のみなさんは、イヤフォンを外すと症状が回復したので、ノイキャンヘッドフォンの利用そのものがダメという話ではありません。

 

~中略~

 

理想は、必要なときだけノイキャンヘッドフォンを使うこと。電車や飛行機の中など大きな周辺音がある場所では頼る。一方で、騒音とは言えないレベル、気にならない場所では使用しない。

テクノロジーの力を借りて、常に最大限の静けさを求めてしまうのは危険なのです。』

 

以上です。これはいわば「専門家の意見」に過ぎないので、エヴィデンスレベルとしてはあまり高いものではありませんが、わりと納得できる意見だと思いました。やはり常にノイズキャンセリングをするのではなく、比較的五月蠅いところで音楽を聴くときなどに限定してノイズキャンセリング機能を使用すると良いでしょう。

「ノイズキャンセル機能は脳に悪影響」って本当ですか? | ギズモード・ジャパン (gizmodo.jp)