itc(東京都障害者IT地域支援センター)へ行ってきた
重度障害のある方が製作を担うデジタル図書 (マルチメディアデイジー図書)製作の報告会のことは、2023年12月のブログで概要だけお伝えしました。
その報告会の内容を少し紹介しようとコラムを書き始めています。
昨日は、実際に障害者が使っている機器の写真を撮りに、itc(東京都障害者IT地域支援センター)へ伺ってきました。
写真だけのつもりでしたが、いろいろなことを知ることができました。
まずは、この写真を撮りに行ったのです。
こちらは、入力する支援技術。小さな力で押せるものや、肘で押せるもの様々なものがあります。
画面左のスイッチは静電気で反応し、力が要りません。
音声で家電の操作。
そのほかにもたくさんの情報を入手しました。
・itcを受託運営しているのは社会福祉法人東京コロニー
重度の障害者がIT機器を使った社会参画と言えば、株式会社オリィ研究所が主宰・運営する「分身ロボットカフェ」がすぐ浮かびますが、実は古い歴史があるのです。
なんと、東京コロニーは、1951(昭和26)年10月に事業開始。私が生まれた年です!
そんな昔から、障害のある人の「完全参加と平等」を実現するため、平等性と企業性と民間性をコンセプトに各種障害福祉サービス事業等の運営を行っていたんですね。
デジタル機器を使ったテレワークのための教育や就労支援も80年代から実施しているそうです。教育体制にデジタルインフラが追い付いていなかった時代もあったとか。
このロボットも、病院にいる職員さんが、あたかもここで働いているかのように動かすそう。午後だったらお会いできたのに残念でした。
・国会図書館のデジタル化の作業を請け負っていること。
NHKのバックヤード番組でも紹介された国立国会図書館のデジタル化にも東京コロニーさんが関わっていることもわかりました。
以前。図書館関係者がアップしていた記事がこちら。
報道の記事の「再委託」と聞くと「搾取」という言葉がつい浮かんでくると心配されていた方がいましたが、仲介してくれた日本財団(東京)いたからこそつながったのことでした。
国立国会図書館での作業には、技術取得はもちろんですが、
デジタル化のための設備が必要で、そのための事前投資があったようです。
国立国会図書館の職員も最初は作業がうまくいくかどうか半信半疑だったとか。
ちょっと聞いてみたい気がします(笑)
一緒に見学に行った図書館司書Sさんの図書館でもデジタル化を検討しているとのこと。
作業依頼先として、今後は十分に可能性があるのではと感じました。
もちろん、「障害者だから安く」は論外。
皆さんの技術に見合うお金を出すのは当たり前です。
ほんの写真を1,2枚のつもりでしたが、凄い情報量になってしまいました。
少しまとめて、またきっちりお知らせできたらと思います。
そして、新しい情報も。
ZOOMのビデオ会議も手話用のワイプが使えるそうです。知らなかった!
音声の文字化といえばUDトークが主流でしたが、最近は他にもいろいろでてきているそうです。
24時間テレビから寄進(左)された「アイ・ドラゴン」というものもありました。聴覚障害者の方向けの手話と字幕の番組を見るために必要な専用受信機だそうです。こういう形に残るものはいいですね。
製品パンフレットの数々
そして、デジタルアクセシビリティアドバイザーという新しい資格を知りました。
ICT機器などのデジタル機器を障害のある人や高齢者に対して、その困りに合わせて適切にコーディネートし、その利活用をサポートできる知識と技術を認定された人材であり、デジタルアクセシビリティのマインドを持つ支援者の資格。
こういう支援は、図書館でも必要ですね。
こういう知識が少しあるだけで利用者への向き合い方は変わるような気がします。
これがその資格試験のためのテキストです。図書館にも入るとよいですね。
図書館にどれだけ入っているのかしら?あとで調べよう。
重度障害のある方がデジタル図書を製作することから話が膨らみましたが、昨今はデジタルを活用して、その方が元々持っている経験や知識を再び使えるようになる事例も増えています。例えば、洋服販売の専門性を持っている方が重い病に倒れたのち、自宅から画面を通してネクタイ選びを手伝う業務に就くとか、仕事の幅は随分と広がっているようです。
こちらも別途コラムで紹介する予定です。
まずは、覚え書きにて。