心のおもむくままに 1997.5.2 シネスイッチ銀座2 | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 イタリア映画で、向こうでは評判の原作で、という宣伝に乗せられたのが悪かった。内容は甘い甘い話。アメリカに留学しているマルタに祖母オルガが亡くなった知らせが届く。マルタはイタリアに帰郷して、祖母の手記を見つけて読む。それは彼女が孫に読ませるべく書いたもの。いわゆる不倫の経験を本人もなつかしがって書いている。悪い思い出ではなく、むしろなつかしく、かつ思い出深い出来事だったのだろう。

 

 母は事故で亡くなり、マルタは祖母に育てられたので、オルガは母親同然だった。ノートに残された内容は、母のイラリアがマルタを産んだ経緯と亡くなった状況も書かれていた。そのことは祖母の胸の中だけに収めておいた物語だった。しかしこのままでは孫が事実を知らないままになってしまう危惧からノートに残したのだった。でも全てが真実とは言えないかも知れない。しかしマルタは信じるしかない。

 

 思い出は美化されるもの。嫌なことは忘れ勝ちなわりには、楽しかったことはよく覚えているものなのだ。そういう風にできているからこそ生きていける。彼女の結婚生活は決して不幸なものではなかったように思う。それなのに、彼女のどこに別な男性を割り込ませる余地が生じたのか。きっと裕福な家庭と暇がたっぷりあるという環境がそうさせたのだろう。

 

 なにより主人公に魅力がないのが致命傷。同種の話の「マジソン郡の橋」と比べてみれば分かる。やはり道ならぬ恋は良くないものだ、という教訓にはなってませんので悪しからず。

 

監督 クリスティーヌ・コメンチーニ

出演 ヴィルナ・リージ マルゲリータ・ブイ ガラテア・ランツィ マッシモ・ギー二 チェッキー・カリョ ヴァレンティナ・チコ

1995年