RHEINGOLD ラインゴールド 2024.4.6 ヒューマントラストシネマ有楽町2 | ギンレイの映画とか

ギンレイの映画とか

 ギンレイ以外も

 ジワ・ハジャビはクルド系の音楽家のもとに生まれた。幼い頃からピアノを習わされたが熱心ではなかった。ピアノとラップは関係ない。あえてこじつければ、音楽、歌?  やっぱり関係はない。父は高名な音楽家だった。これも関係ない。彼は独自のアプローチでラップにたどり着いた。初めからラップやりたかったのかは不明。何が幸いしてか、とんでもない経歴を経てみごとラッパーになった経緯を紹介した話です。思いがけない、誰にも想像さえできない、でも事実だから、事実なんだと納得するだけだ。

 

 この映画は、これは事実を基にしています、と出る。本当にいた人のことなのだ。だから面白い。もちろん事実を脚色してるからさらに面白くなる。事実は小説より奇なり、とはよく言ったものだ。そもそも小説は実際にありそうなことを題材にしている。奇想天外な話でもSF以上のことを人はする。世界において人間がすることはどんなことでもある。よく考えられた話より事実の方がキテレツであってもよくあることなのだ。

 

 ラップは英語でこそ生きる、英語しかダメだと思っていた。日本語は意味がわかるのでいいが、それでも言葉としてラップには合わない。でもドイツ語で初めて聞くと悪くない。悪くないどことか英語よりいいくらい。これならあらゆる言葉で聞いてみて、何語が最適かを知りたい。どうせ意味はつかめないから、あくまでも音を聞くだけだけど。どの言葉でも早口でまくしたてるので、母語か相当馴れた言葉でないと意味がつかめない。

 

 刑務所で出来ることは限られている。それでも出来ることはある。むしろわずさわれることが少ない分、そのことに集中できる。それが強みだ。彼はいい場所を見つけた。何かじっくりとやりたい方は刑務所に入ることを勧めます。

 

 ジワ・ハジャビはあそこで何をしたのか。大ぴらに出来ることではない。しかしそう厳重ではない監視が幸いして、小声で見回りの来ない時間を選んで少しづつ作っていく。ここらから映画の観客からジワ・ハジャビのラップの観客になっていく。映画館の音声だから字幕も付くし最高だ。

 

監督 ファティ・アキン

出演 エミリオ・サクラヤ モナ・ピルサダ カルド・ラザーディ ソゴル・ファガーニ フセイン・トップ アルマン・カシャニ デニス・モシット

2022年