タンゴ・レッスン DVD鑑賞 | アマルコルドのブログ

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監督:サリー・ポッター(脚本) 撮影:ロビー・ミュラー 音楽:フレッド・フリス、サリー・ポッター 振り付け:パブロ・ベロン
出演:サリー・ポッター、パブロ・ベロン、グスタポ・ナベイラ、ファビアン・サラス

新作映画の脚本を執筆中の映画監督サリーは、気分転換に出かけたパリの街でタンゴの舞台を見る。そこで出会ったアルゼンチンの有名ダンサー、パブロ・ベロンの情熱的なダンスに心を奪われたサリーは、パブロから1度だけレッスンを受けてタンゴの魅力にとりつかれ、自らブエノスアイレスを訪れてレッスンを重ねていく。やがてサリーと再会したパブロは、彼女が見違えるほど上達していることに驚き、本格的なレッスンを続けながらダンスのパートナーとしてステージで踊ることを提案。レッスンを通してパブロへの思いをますます募らせていくサリーに対し、あくまでもプロとしてのダンスを求めるパブロは2人の関係に境界線を引こうとする。(映画com.解説より)

 

顔をぴったりとくっつけて

腰をキュっキュとひねらせる

クルクルッと華麗に旋回

だが足元は、

まるで闘鶏の軍鶏の様に

鋭く蹴り上げ蹴り上げ

柔道の足払いのように

相手の重心を失わさせるさせるかのように

激しく互いの足を交差させる

重心が失われたかと思うその瞬間

一方が身を委ね、一方が支える

絶妙なバランス移動に

二人の間にドラマティックな空気が流れる

見つめ合ったと思う瞬間、逸らす熱い目線

歯切れの良いテンポのあるリズムと哀愁のあるメロディの中

緊張と陶酔が綾を成す

それはまるで”恋”の苦痛と悲しみ、喜びと悦楽のよう

この作品では、

”恋”という文字が映画(芸術)の製作、創造ということにまで仄めかされる

女性監督サリーは、染み一つない真っ白なテーブルクロスの前に向かい

これから創る映画の構想を練ろうとペンを走らせようとする

全体がモノクロの作品の中で彼女の頭の中で想像する作品のシーンだけは

色彩豊かで鮮やかな不気味で華麗な不条理劇

それはまるで、

まっさらな心の中に描かれた想像の鮮やかな熱い情熱を表しているよう

だが物事はそう上手くいかない

床の傷が気になって調べると部屋全体を解体、改装なければならないことに、、

改築中の騒がしい部屋で彼女はシナリオを書く

準備万端で流れるようになんて、、、

だからこそ、思わぬ出現がやってくる

とかく創造とはこんなもの、、、、?

そして恋も、、、?

障害、雑念、挫折、理解、融和

 

サリーを喜ばせようとダンサーのペドロはタップダンスをしながら料理を作る

興に乗ったペドロは、家具に駆け上りタップダンスを踊る

家具の後ろにかかった鏡はダンスをするペドロを写す

ダンスを終え二人は向き合う

が、ペドロに電話がかかり、二人は距離を置いて互いに後ろ向きの構図になる

これは、これからの二人の暗喩のよう

鏡に映った楽しそうに踊るペドロ

それはまるで自分自身しか頭の中にないような気にさせる

表現とエゴイズムと恋愛の関係の緊張感

 

嫉妬、悲しみ、喜び、自由、異国感、運命

これらが、

時には静かに、時には激しく二人の間で語られる

タンゴレッスンを縦糸に

映画製作を横糸に

二人のラブストーリーが織り成される

そして

タンゴダンスという鮮やかな色彩で染め上げられる

河畔で踊る即興のタンゴの楽しさ

別のパートナーと踊るネットリとしたタンゴの艶っぽさ

雨の中で踊るタンゴは、あの映画へのオマージュか、、もっと観ていたい

男3人女一人で踊るタンゴのなんと美しく華麗なことか!

 

時折、サリーの頭、いや心の奥で鳴り響くような

創造のインスピレーションを得たかのような不思議で心地よい銅鑼の音のような響き

その心地よさは、入れ子構造を持ったこの作品全体の心地よさ

 

なぜ、二人は出会ったのか?

切なく優しく繊細で力強いサリーの歌声がいつまでも心の中で鳴り響く

 

 

 

では!