第三十章 優勝の影に隠された秘密
俺達、星光工業高校サッカー部は、
県大会新人戦を優勝した。
全国の切符を手に入れた。
決勝戦の後、皆んなで祝勝会をすることに
なった。静奈達と俺らいつものメンバーで。
決勝戦から2日後、学校近くのハンバーグ屋
で開催された。
祝勝会後、静奈と2人きりになった。
長谷川、咲ちゃんが気を使ってくれたみたいだ
静奈 「優勝ってすごいね。ほんとに勝っ
ちゃうんだもん。」
俺 「俺も、あの時フリーキックを蹴った時
のこと冷静になってみたら
めっちゃ怖くなってきたもん」
静奈 「私、神様にお願いしたもん。多分
皆んなねw」
俺 「あの時さぁ、静奈の方見たの
分かった?」
静奈 「やっぱりそうだったんだ。目が合った
気がしたもん。距離があったから
そんな気がしただけかなーって
思ってた」
俺 「見ててくれって。俺、小学生から
サッカー初めて、馬鹿みたいに
毎日ボール蹴ってさぁ、中学で
やっと優勝手前まで行って、何も
出来ず負けて。でも、今日は
静奈が居てくれて、仲間も応援
してくれてさぁ、絶対!行ける!
ゴール決めれる!って自信が
湧いてきたんだよね」
静奈 「私は、神様お願いしますって感じ。
こんな気持ち初めてだったな〜。
ゴールした後、ヤス君最高に
カッコ良かったよ。スタンドの
皆んなが注目して、歓声が上がった
瞬間、何でか涙が止まんなくなったの
でも、顔は笑ってるの。
で、咲ちゃん達見たら、
皆んな泣いてるんだもん。
また、泣けてきちゃって」
俺と静奈は、あの時のことを一生忘れないね
って話た。
俺 「そういやぁ、なかなか来ないから
心配したわ、何してたん?」
静奈は、うつむき何か言いにくそうな様子
だったが•••
静奈 「家でて、駅まで行ったらお弁当忘れ
たのに気づいて、慌てて取りに帰った
の。そしたら、転んじゃって。
その時、足擦りむいちゃって、走る
と痛くて。遅くなりました。
ホント、鈍臭くて、ごめんなさい」
俺 「電話しても出ないからさぁ」
静奈 「電車の中で、マナーモードにして
降りた後もそのままで向かって
たから、全然気づかなかった」
俺 「電話してくれたら、良かったのに」
静奈 「恥ずかしくて、ごめんね」
俺 「足、酷く擦りむいたみたいやし
肘も怪我してるやん。派手に行った
なー」
静奈は、恥ずかしそうにうつむいてると
ばかり思ってた。後から、思い出せば、
少し考えこんだ辛そうな表情だった
ようにも思う。
優勝して、テンションMaxの俺は、全く気付
いてあげれなかった。
別れ際、彼女はホントに喜んでくれた
普段は、照れ屋な消極的な彼女が、この日は
違ってた。
俺に何も言わず抱きついてきた。
この時もっと、何かを察していてあげてれば。
彼女もテンション上がってるんだとばかり。
この時、
俺も初めて彼女を抱きしめた。
少し俺より背が低いくらいな彼女。彼女の
顔はうつむき加減で、俺の胸のあたりに
ある感じだった。彼女の髪からいい匂いが
したのは覚えてる。静奈は、
「おめでとう。よかったね」を何度も繰り返し
また、泣いていた。
俺は、嬉しくて彼女をより強く抱きしめてた。
5分くらいたったのだろうか、
俺 「どうした? 大丈夫か?」
と尋ねた
静奈 「・・・・・・。うん。ホントに
おめでとう。怪我して、不安だった
の知ってるし、練習頑張ってたのも
知ってるから、私まで嬉しくなっちゃ
って。ごめんね。大丈夫だから」
俺 「静奈がいてくれたから。俺の方こそ
お礼言わなきゃだめかもな。
こんな俺と、付き合ってくれたことに
感謝やし」
静奈 「今日さぁ、ほんとにカッコよかったよ
皆んながヤス君に注目したとき、
彼は、私の彼氏です!って言いたく
なっちゃったw。すごいでしょ!
って自慢したかったもん」
俺 「恥ずかしいけど、叫んでくれても
良かったのに」
静奈 「嘘だ〜。それはやめてっていうよ」
俺 「アハハ。確かに」
彼女の笑顔に少し安心した。
そして、この日改めてお互いの気持ちを
確認出来た気がして、別れた。
しかし、この日から静奈とは連絡が
取れなくなるのだった。