揺るぎない自信の源 | 猛獣珍の恋愛小説

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第二十九章 揺るぎない自信の源



思うようにいかない試合展開。


静奈は、なぜかこない。そんな感じで前半が


終わった。


咲 「静奈、どうしたんだろ?なんかあった

   のかなぁ?」


加奈 「電話ずっとつながんないしね。」


かわちん「べーやん、気にしてこっちばっか

     り見てるで」


絵里 「早くしないと後半始まっちゃうよー」


皆んな、段々心配になってじっとして


られなくなっていた。


長谷川「静奈ちゃん。どしたんだろな?

    まだ、来てないみたいやな?」


俺  「おう、まだみたいやな。それより

    相手強いな。マークかなり厳しいわ」


静奈のことは、心配だったが、少し強がって

試合に集中してるフリをしてしまった。


長谷川「そやな、先輩らも中々、いつもみたい

    に行ってない感じやな」


俺  「このままやったら、先にいかれて

    まうわ。なんとかせなな」


そんな時だった。咲の携帯が鳴った。


静奈からだった。


咲 「もしもし、静奈どないしたん?

   今、どこ?」


静奈「ごめん。もう少しで着くから。試合

   どうなってるん?」


咲 「まだ、同点よ。早く来て、べーやん

   安心させてあげな、あかんで」


静奈「ごめん。ちょっと色々あって。」


絵里「大丈夫なん?待ってるよ」


加奈「入口で待ってるから」


まこちゃんが、俺らに合図をくれた。


電話があって、もうすぐ着くよ。がんばれ!

身振り手振りでだったが、そう言ってるのは

何となく分かった。


長谷川「よかったわ、事故でもあったんか

    思たわ。べーやん、よかったな」


俺 「心配かけんなや。こんなときに」


俺は、安心したのもあってか、冷たい返ししか


しなかった。


後半が、始まって5分ぐらいたったとこで


静奈の姿が目に入った。手を振る彼女の存在


は、俺にとって揺るぎない自信の源だった。


咲 「静奈こっち!こっち」


静奈「ごめん。良かったまだ、終わってなく

   て。皆んな、心配かけてごめんね」


絵里「電話ずっとかけてたのにどしたん?」


皆んな慌ててたせいか、静奈の汚れた服に


擦りむいた手と膝に気付いてなかった。


やま「静奈ちゃん、血が出てるよ?

   服も汚れてるし、どした?」


やまが、気付いた。


絵里「うわ!どしたん?」


静奈「あっこれ•••。さっき慌てて来たから

   転んじゃって。これぐらい大丈夫だから」


咲 「もう、何やってんのよ。」


まこちゃん「ちょっと待ってて。サッカー部の

      子に言うて、応急手当様の薬

      借りて来るわ」


静奈「これぐらい、大丈夫。ありがとう」


まこちゃん 「バイ菌入ったらいかんし、

       待ってて」


試合は、均衡状態が続いてたが、


相手のミスから、ゴール前で、フリーキックを


とった。ここだと思った。先輩達もだいぶ


疲労が見え始めてた。キッカーを願い出た。


決める自信があった。何の根拠もない自信が


あった。後、10分。チャンスはもう多くは


ない。先輩達も悩んでるようだった。


そんなとき、交代の合図が出て、ここで


長谷川が出てきた。


長谷川「監督からです。山部に託せだ

    そうです」


先輩達もその一言で、納得してくれた。


俺に託すと。 俺は、観客席の静奈を見た。


彼女は👍を空に突き立てるように、そして


俺に、自信を与えるかのように見えた。


迷いはなかった。このボールをあのゴールに!


長めの助走から、思いっきり振り切った!


ボールは相手守備陣の壁を超えて、ゴール


左隅にむかった!



静寂の間があった気がした。


ゴーーーール!  拳を突き上げた!


俺「よっしゃ〜!」


会場中が、ざわめいた!


仲間たちにもみくちゃにされながら、静奈たち


がいる観客席の近くまで行った。


俺「静奈!やったぞ!やったぞ〜!」


静奈は、笑顔で手を振ってくれた。


静奈「遅くなってごめんね!ちゃんと、

   見たから。見たから」


咲ちゃん達と抱き合って喜ぶ彼女をみたら、


最高に嬉しかった。こう言う場面を何度も


夢に見たことがあった。現実になってること


が不思議な感じもした。


試合は。この一点で決まった!


何と、優勝してしまった。全国にいけること


になった。まだ先のことだと思ってた全国挑戦


が決まったのだ。


閉会式を終え、皆の待つ所に向かった。


やま「やったなおい!」


かわちん「あれは痺れたわ!ヤバかったわ!」


咲 「ほんと、ドキドキ💓したー」


加奈「カッコ良すぎへん。静奈が来たら

   シュート決めるんやもん」


絵里「ドラマみたいやんなー」


まこちゃん「ほんまやで。惚れてまうやろ」


長谷川「俺が出ててたこと、皆さん気付いて

    ました?」


やま「そうなん?ボール触った?」


長谷川「おい!がんばったちゅうねん」


かわちん「知っとるって。冗談やって」


「wwwwwww」


俺「静奈、来るん遅いって。何かあった?」


静奈「ちょっと転んじゃって。携帯とか

   皆んな飛んでっちゃって、探すの時間

   かかったゃった、ごめんね」


俺「派手にこけたんやなー。皆んな心配して

  たんやで」


静奈「皆んなごめんね。おっちょこちょいが

   酷くて」


俺 「怪我してるやん。大丈夫?

   服も汚れたままやんか」



静奈「大丈夫、消毒もしてるし。これぐらい

   テニスやってても、たまになるしね

   慌ててたから、服の汚れも気にならん

   かった。ほんまやね、だいぶ汚れてた

   るわ」


咲「もう、しっかり者の静奈が、珍しい。

  彼氏の試合で、緊張してたんちゃう?」


咲「折角、私らお弁当持ってきてたけど、

  食べる暇なかったから、どうしよっか?」


かわちん「忘れた。今日の楽しみの一つやった

     のに」


長谷川「折角やから、皆んな食べようよ。」


俺 「腹空いてるし、そうしよ!」


静奈「私、お弁当バラバラになってたから

   捨ててしもうたんよ。ごめんね」


俺 「残念やけど、しゃーないか。咲ちゃん

   らの分けてもらおうぜ」


静奈「うん」


咲ちゃん達のお弁当を、皆んなで頂いた。


ワイワイ騒ぎながら、優勝の余韻にもひたり


最高に楽しかった。


俺は、この時、静奈の異変に全く気付いて


なかったのだ。