ビル5階にある新興宗教の道場から、信者の男が転落死した。男は何かから逃れるように勝手に窓から飛び降りた様子だったが、教祖は自分が念を送って落としたと自首してきた。教祖は本当にその力を持っているのか、そして湯川はからくりを見破ることができるのか(「幻惑す」)。ボリューム満点、7編収録の文庫オリジナル編集。
内容「BOOK」データベースより
単行本「虚像の道化師ガリレオ7」と「禁断の魔術ガリレオ8」から短編7編を収録し文庫化されたのが本書「虚像の道化師」である。 ひつ粒で二度美味しい作品といえるでしょう。 ひとつだけ注意が必要なのは、「禁断の魔術ガリレオ8」から1つだけ短編が省かれての7作収録とのことですので、ガリレオシリーズコンプリートを目指す方は是非単行本をお忘れなく!
ガリレオこと、天才物理学者・湯川と警視庁捜査一課・草薙の名コンビが怪事件に挑む推理小説「ガリレオシリーズ」。 テレビドラマに映画と認知度は抜群で、今を生きる名探偵では筆頭に挙げられる存在になっているガリレオ、私自身もなんだかんだでシリーズを通して読んできた事になります。
東野圭吾テイスト
理系出身の作者ならではの科学的なアプローチで描かれる事件は、魅力がたっぷり!時に現代の技術では理論は構築されているものの実用化がなされていない事象を取扱うこともあるため、突飛でもないと言えばそうなるのだけれど・・・面白いトリックを使う犯人ばかりが登場するのはミステリー好きにとって嬉しいポイントではないでしょうか?
心理描写なんてチープな表現を使ってしまいますが、とても巧みです!数多くの作品で読者の心を掴む東野作品は、ミステリーでもその力を存分に発揮しています。 映像化に協力的な作者だけあって、視聴者の求める真理をよく理解されています、喜怒哀楽を見事にコントロールしながら物語をすすめている印象が強いですね、そしてそれが不快じゃなくて心地よいのだから一流なんだと思います。
「幻惑す」(まどわす)
ガリレオシリーズを読んだ読者なら解る感覚だと思いますが・・・こんな事件解決できるのだろうか?これは超常現象の域でトリックなんてある筈がない!と思ってしまいます。「幻惑す」はまさにそう思った短編作品です。 新興宗教教祖が念力で殺人!手も触れずに転落死させるという、今度の今度こそ湯川教授もサジを投げるのではないか?と思わせる怪事件・・・ガリレオはどう挑むのか?
「心聴う」(きこえる)
幻聴に悩まされるOL、不審な行動ののち自殺した部長、病院内で暴れた男、同じ職場の同僚で発生する幻聴現象、音に関する謎の事件にガリレオが挑む! ガリレオの相棒・草薙の同期である北原が登場する物語、常に成績優秀な北原だがキャリア面で草薙に劣等感を感じていた・・・二人の差は?草薙の刑事として人としての姿勢が感じ取れる物語。
「曲球る」(まがる)なんて、スポーツ科学の夢のような物語ですし。「透視る」(みとおす)などは本当の真実は本人しか判らないテイストの奇術タイプ、「念波る」(おくる)はトリックネタ的にも肩透かし気味で逆に面白い!「偽装う」(よそおう)と「演技る」(えんじる)の二つは純粋ミステリーファンが好むタイプの作品ではないかと思います。 様々なテイストで物語を作り上げる技術は流石の一言です、純ミステリーファンにはトリックや推理部分が軽すぎるといった批判が沸き起こっているのですが・・・東野ミステリーは台詞や行間に書かれた想いなどを楽しむタイプの作品ですので、今作もとてもたのしめる一冊となっています。ガリレオシリーズファンならずとも、東野ミステリー入門短編として読んでみるのもオススメ!
文藝春秋 (2015-03-10)
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