『不機嫌な果実』 林 真理子 | ほんとなかよし

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だったらいいな・・・

三十二歳のヒロイン、水越麻也子は、結婚六年目の夫に不満を抱き、昔の恋人野村と不倫の逢瀬を重ねていた。だが歳下の情熱的な音楽評論家、通彦との恋愛で、麻也子は大きな決断を迫られることになる…。「不倫」という男女の愛情の虚実を醒めた視点で描いて一大社会現象を巻き起こし、TV・映画化された、恋愛小説の最高峰。


内容「BOOK」データベースより


世の中の、妻を蔑ろにしている男性たちよ!この一冊に恐れ慄くがよい。


いやぁ~おっそろしい物語ですねぇ~夫がマザコン(に見えて仕方がなく)、結婚当初に比べて自分への愛を感じない(営みも減り、記念日のプレゼントもない)という~夫婦のマンネリに不満を持つヒロイン・・・常識や良識で語ればそれは当然乗り越えなければならないものなのに、不満や我慢が爆発してしまったのがこの物語!


なんといってもヒロインの傲慢さが目に付く!私は一人苦労している!昔の恋人と不倫はしているが、肉体関係のみのドライな感覚、不倫に溺れる愚かな女友達と私は違うと思っている。 やがて運命(と感じた)の人と出会うのだが・・・それも自分が特別な瞬間に出会ったと嬉々とし、やがて不倫とは違う真実の愛にたどり着いたと思い込んで一大決心をする!私は幸せになるべきだと言わんばかりに!!

そう、すべては題名にあるように「自分の不機嫌」が原因なのに・・・それに全く気がついていない、現状に満足することなく常に欲求や欲望を抱く心にこそ際限ない不満や不平が生み出されているというのに・・・私は特別な存在!なのにこの境遇!全ては最初の傲慢さが諸悪なのではないのか?そう立ち止る事すらしない、むしろ次々と不機嫌は生み出され、そして行動に移して行くのである。 おぉなんて行動力がある女性なんだろうか。恐ろしい。


この物語で一番面白いのは、そうやって不機嫌をぶちまけて生きているヒロインに常に一番おいしいポジションで接している昔の恋人=最初の不倫相手・野村である。 こいつぁ~一癖も二癖もある男ですな、世の男性に恐怖を与えるような筋書きの物語の中で、結局不倫ってものは男女共にそろってなければ出来ない行為なんだって事を象徴しているかのような人物として登場します。必見の人物ではないでしょうか?


この物語は、男性と女性でかなり印象が違ってうつる作品なのではないでしょうか?主人公の人間性や道徳観は抜きにして批判をしているのは男性で、女性は逆に共感する部分を多く見出しているように思えます。 真似る事やけっして偉いとは思わないが素直に純粋に生きている女性であると同性の方は評価しているように思います^^ でもそれを言うなら肉欲だけを見事に見たいしている野村の存在に賛同している男性が多いのも事実で・・・結局の所、人間は同性に共感しやすいという事でしょうか?ただそうなってくると林真理子という女性作家は、一部とはいえ共感をうむ男女を描き出しているという離れ業をやってのけているって事になるので・・・やはり凄い事なんですよね。 男女の愛を考えさせられる一冊。

不機嫌な果実 (文春文庫)
林 真理子
文藝春秋
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