異形の怪人エリックは、愛する歌姫クリスティーヌに秘密の特訓を施して鮮烈なデビューをさせる一方、邪魔者には残忍な手を使うことも厭わない。とうとうクリスティーヌを誘拐し、追っ手を手玉にとったが…幾度も映像化・ミュージカル化されてきた傑作小説の真の「凄さ」を新訳で。
内容「BOOK」データベースより
フランスの小説家ガストン・ルルーによって1909年発表された小説「オペラ座の怪人」。数々の映画・ミュージカル化により読み継がれ語り継がれた名作。
オペラ座には怪人が住んでいた、神出鬼没で正体不明のF(ファントム)。そこに座る姿を誰も見たことが無いにも関わらず常に5番ボックス席を占有し、オペラ座の広大な地下に住みつき全てを知り尽くすFは支配人に月2万フランの大金を要求していた。 ある日、若手女優クリスティーヌ・ダーエは聴衆を魅了する歌声を披露した・・・「天使の声」にレッスンを受けたという彼女、その「天使の声」は正にオペラ座の怪人だったのだ。生まれつき醜悪な外見をしていたものの類稀な奇術と天性の歌声で他者を魅了する怪物は、やがてダーエを愛し支配しようと地下へ彼女を連れ去るのだった・・・ダーエの幼馴染にして恋人のラウル子爵は救出に立ち上がる、怪物を追い続けるペルシャ人ダロガも加わり地下へと潜入するのだが、そこで待ち受けていたのは・・・
外見が醜く生みの親に捨てられ見世物小屋で育った怪物、コンプレックスなんて生易しいものでは表現できない闇を抱えた怪物、ゆえに他者を虫けら同然に扱う残虐非道な性格を持ち合わせているものの、この怪人を不思議と嫌う読者は少ないのではないだろうか?それは、正攻法とは言えないけれどダーエに対する歪で深い愛情を目の当たりにするからだろうと思う。 独占し手にはいらなければむしろ壊してしまいたい衝動の大きさは怖いけれどもとても純粋な感情に映る。誰にも屈せず脅し賺し欺く性格の怪物であるがダーエの前ではまるで赤子のような姿を見せる、ダーエの足元にすがりつく怪物の姿は涙ぐましいものであり、恐怖が大半を占めているものの一時でもダーエの心を掴んでいた憐憫の情は読者にも伝わるのではないでしょうか。
オペラ座の怪人を読む上で、注目したいのは若手女優クリスティーヌ・ダーエの心理です!怪人を愛しているのか愛していないのか・・・結局の所よく解らない。愛についても恋人としての愛なのか母性としての愛なのかすら揺らいでいてなかなか掴めないのです。 奇術に心理学と他人を見事に欺きコントロールする怪人を見事に魅了させたクリスティーヌ・ダーエという女性こそが、ほんとうの怪人ではないか?と解釈する読者もいるそうで、その心理を探求する事も本書の楽しみ方のひとつではないでしょうか?
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