『恐怖の谷』 アーサー・コナンドイル | ほんとなかよし

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ある日ホームズのもとに届いた暗号の手紙。見事解読するも、殺人はすでに行われていた!背後にひそむホームズ最大の宿敵・モリアーティ教授の影。奇妙な殺害現場からホームズが導きだした意外な答えとは?そして事件はかつてアメリカに存在した謎の殺人者集団の存在を明らかにしてゆく…。「ホームズ物語」最後の長編作。決定版、充実した注と解説、全イラスト復刻。


内容「BOOK」データベースより


河出文庫シャーロック・ホームズ全集第7弾「恐怖の谷」。全9集中4篇ある長編小説のラストを飾る一冊となっており「緋色の習作」「4つのサイン」と同じく、2部構成となっている。1部では、ホームズ生涯の宿敵モリアーティ教授の組織が計画している暗殺計画を阻止すべく事件解決に乗り出すホームズったのだが一足先に対象者が殺害されてしまい・・・暗殺者と動機を解決する物語、2部は1部にいたる背景となるアメリカの町で発生した物語が語られている。2部の舞台となる恐怖の谷が複雑に絡み、巨悪に立ち挑むホームズの大活躍がみれる長編小説。

「恐怖の谷」ってネーミングセンスが凄い!登場人物に事件概要と現実社会の出来事や人物を反映させる事が多いコナンドイル、シリーズの解説でも登場人物のモチーフが誰であるかを解説されている事が多いのだけど、この「恐怖の谷」2部の舞台の巨悪に支配された炭鉱町も実在していたというのだから凄い。

巨悪の根源モリアーティ教授の存在感を増す物語でもあります、ホームズとモリアーティ教授の唯一にして最後の直接対決「最後の事件」よりも以前という時系列で展開される物語であり、モリアーティ教授は他の作品と同じくその存在は仄めかされるものの本編に一切登場しません、にも関わらず読者は常にモリアーティ教授の存在を感じながら読むことが出来ます。巨悪の根源、黒幕といった描かないのに存在感を高めていく登場人物を描くスキルはコナンドイルの凄い技量の1つだといえますね。

本書は悪に立ち向かいそれを勇気で打破する人々の物語と胸を熱くさせてくれる展開がある作品でありますが、最後の最後にモリアーティ教授の凄さを思い知らされます、決定打を打てずに焦燥するホームズの姿が見れるのも本書の魅力といえますね。最後のホームズの決意に痺れた読者は私1人ではないでしょう。

最後に、事件のネタバレになるので伏字を使用します(読後に反転推奨)が、「恐怖の谷」はミステリー用語“バールストン・トリックを生み出した作品との事で、1部では読者はそう来たか!と思わせるトリックが使用されていますので、注目のポイントですね。1部と2部それぞれが独立したミステリ作品となっている事からも一冊で二度おいしい作品ともいえ、ファンのみならず読み応えあるミステリー作品。


恐怖の谷 (河出文庫)
恐怖の谷 (河出文庫)
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アーサー・コナン ドイル
河出書房新社
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