「悪霊のはびこる暗い夜ふけに、ムアに、決して足を踏み入れるな」―魔犬伝説にとりつかれたバスカヴィル家当主の不可解な死。死体のそばには巨大な犬の足跡がはっきりと残されていた。謎の吠え声がひびきわたる荒れ地を舞台に、怪異な事件が幕を開ける。「ホームズ物語」の中でも圧倒的人気を博す長編大傑作。充実した注と解説、全イラスト復刻の決定版。
内容「BOOK」データベースより
河出出版シャーロック・ホームズ全集第5弾「バスカヴィル家の犬」。富豪バスカヴィル家に代々伝わる呪い・魔犬伝説、まるで伝説をなぞるかのように当主が怪死した!表向きは心臓発作だが、現場に残った大きな犬の足跡、相次ぐ魔犬の目撃証言にダートムアに木霊する遠吠え・・・次期当主を迎える為には今後の障壁となるべき呪いの究明が不可欠と、ホームズに事件究明の依頼が持ち込まれる。
「シャーロック・ホムズの思い出」収録の短編「最後の事件」で宿敵モリアーティ教授と共に滝つぼに落ちたホームズ、その出版から8年を経て描かれたのが本書「バスカヴィル家の犬」。魔犬伝説の物語の筋書きを思いついたコナンドイルだがホームズを主人公にする事を思いつく、既に「最後の事件」で行方不明になっている為、時系列を「最後の事件」以前に物語と位置づける事で整合性を図っており、真の意味でホームズを復活させたとは言いがたい作品であるが、当時ファンがもっとも臨んだ作品である事は言うまでもない。またこんな逸話もある、ホームズの復活を快く思っていなかったコナンドイルは出版社に対して高額の原稿料(通常の倍~数十倍)を請求したのにも関わらず、出版社側はすんなりと要求を受け入れたとの事で、誰もがホームズの復活に期待していたことが伺えるエピソードである。4つある長編小説の中で唯一2部構成になっていないのが特徴的で、事件や犯人の過去に関する物語が描かれていないのが他の長編とは異なる点である。
同時に複数の事件を抱える事の多いホームズなのですが、奇怪で謎の多い興味深い事件にも関わらず依頼当初からそれほど乗り気で調査をしないホームズも印象的で、相棒ワトスン先生を現地調査に先に向かわせるという新しい手法をとっているのが今までと一味違う・・・ただこれには理由があって、後にホームズの思惑があったことが判明するのだけれど、それだけではなくワトスン先生の探偵能力向上が挙げられる、ホームズには及ばないものの数々の難事件をホームズと共に乗り切ってきたワトスン先生の調査・推理能力が向上するのは不思議な事ではない。事件の核心に迫るとまではいかないものの、その一歩手前まで調査・推理する事ができるようになったワトスン先生の姿が目撃できる作品です♪今までホームズの事件記録係に甘んじていたワトスン先生が相棒と呼ばれるに相応しい人物に成長したといえるのではないでしょうか?
富豪一族が夜間に訪れると魔犬に襲われるという呪い、この非科学的なミステリにホームズが挑む!これだけで読者は興味をそそられるのではないだろうか?ホームズといえば細かい観察眼と深い知識に裏打ちされた完璧な論理を組み立てて事件を解決するタイプの探偵である。この世のものとは思えない存在に対してどうやって立ち向かい解決を図るのかワクワクしながら読むことが出来るでしょう。真の意味ではないもののホームズの復活を是非堪能しながら読んだ当時のファンの気持ちを思いながら楽しんでいただきたい一冊。
河出書房新社
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