『シャーロック・ホームズの思い出』 アーサー・コナンドイル | ほんとなかよし

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宿敵モリアーティとの緊迫感あふれる対決を描いた傑作短篇「最後の事件」をはじめ、学生時代のホームズや探偵初期のエピソードなど、さまざまな物語でその魅力を描いた、第二短編集。全十二篇を、「ストランド・マガジン」に掲載された初出の順番どおりに収録。充実した注と解説、全イラスト復刻。


内容「BOOK]データベースより


河出文庫版シャーロック・ホームズ全集第4弾「シャーロック・ホームズの思い出」、ホームズやワトスンが過去の事件をまさに思い出すかのように語られる一冊、一筋縄ではいかなかった事件の数々は魅力溢れるラインナップ、なかでも最凶の宿敵モリアーティとの対決を描いた傑作短編「最後の事件」はホームズを語る上で外せない物語である。

ホームズの相棒といえばワトスン先生です、ワトスン自身が推理に直接的な役割を果たすことは少ない・・・まれに自身の考察や推理を述べてホームズを関心させることもあるのだけれど、どちらかと言えば凡人代表としてホームズの推理を間近で見続けている人物である。彼自身元軍医で作中では開業医となっているから知能指数は高いはずなのだが、その彼が自分が凡人だと感じるぐらいホームズの頭脳のキレが凄いのである。ワトスンはホームズの事件伝記担当、これはホームズシリーズ読者には当然の事ですが、未読の方には驚かれることの一つかもしれません。そしてワトスンが公開・発表した物語が直接ホームズの事件として物語化されているといった形態をとっているのがホームズシリーズであります、ですので事件の時系列はバラバラなのです。ワトスンがホームズと別居してからの事件を扱ったかと思えば、以前の同居していた頃の事件を扱ったりと様々・・・そして本書「ホームズの思い出」では、思い出に相応しいワトスンと出会う前のホームズの事件が収録されているのがとても印象的でホームズと同じく思い出に浸った気分でミステリを読んでみましょう。


収録短編は、「白銀(シルバーブレイズ)号事件」「ボール箱」「黄色い顔」「株式仲介店員」「グロリア・スコット号」「マスグレーヴ家の儀式」「ライゲイトの大地主」「曲がった男」「入院患者」「ギリシャ語通訳」「海軍条約文書事件」「最後の事件」


犯罪界のナポレオンことモリアーティ教授との対決が書かれた「最後の事件」がイチオシですね、歴史小説家として大成したかったアーサー・コナンドイルはシャーロック・ホームズが人気になればなる程、ホームズを嫌いになっていったそうで・・・送られるファンレターはコナンドイル宛よりもむしろホームズ宛に送られることが多かったのだから、一人歩きしだした主人公をまさに持て余したという所でしょうか。 そして描かれたのが作者が登場人物を殺す物語なのである。重大犯罪を手がける犯罪組織の黒幕モリアーティという最大の宿敵との対決と決着をもってホームズを見事に終わらせる!ただ、嫌々ながら書き終には抹殺まで考えてしまったほどのホームズなのに・・・流石はコナンドイルである。終わり方が非常に格好良くそしてワトスンの回想が読者の胸を打つ!ホームズシリーズが復刻し続く事が解っているにも関わらず思わず目頭が熱くなるのは、やはりコナンドイルの凄い所でしょう。 この最後の最後まで読者の期待は絶対に裏切らない物語を作り出す作家であったからこそホームズが人気になったのだといえます。ホームズに悩みながらもコナンドイルにしかホームズは生み出せなかっただろうなと強く思わせてくれる短編でございます。

有名な「最後の事件」以外に印象的な短編を紹介しておきたい、それは「黄色い顔」である。肌の色に対するカラー表現はすぐに人種差別を想起させる、この物語も一種の人種差別的な感情が引き金に巻き起こったミステリーなのだが・・・これほど見事に美しく物語を終える事が出来るのは素晴らしいの一言に尽きる、立派な解説や説明なんかは一切ないし感動の涙を流す必要もないだろう。ホームズ自身は邪推してしまった推理を戒めるために言った台詞かもしれないのだけど・・・耳元で「ノーベリ」と囁かれると思い出して頂きたい物語である。ホームズが後に思い出すように、読者も時々思い出してよい物語である。



シャーロック・ホームズの思い出 (河出文庫)
アーサー・コナン ドイル クリストファー ローデン
河出書房新社
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