『悪魔の星』 ジェイムズ・ブリッシュ | ほんとなかよし

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地球人調査団は、人類による植民の可否を検討するため新発見の惑星リチアに降り立った。この星は進化した爬虫類に支配されており、高度に理性的な文明社会が築きあげられている。だが調査団の一人、ルイスサンチェス神父は疑問を抱いた。神を持たない彼らに“良心”は存在するのか、結論如何ではリチアの封鎖が決定されることになる。ハードSFの巨匠が描くヒューゴー賞受賞作。


内容「BOOK」データベースより


近年ではアメリカSFファンタジー協会会員投票で選ばれるネビュラ賞と知名度を二分するSF・ファンタジー・ホラー作品に贈られる最も古くから存在するヒューゴー賞1959年受賞作「悪魔の星」。多元宇宙に飛び立った人類、様々な宇宙ステーションに変わる環境の惑星を開拓してきたが、新たに発見された惑星リチアには独自に進化・発展を遂げた爬虫類リチア人が住んでいた、初めて直面する人類以外の知的生命体の住む惑星を植民地として評価する為に調査団が送り込まれる、調査団の一人にして宗教的観点で送り込まれた神父ルイスサンチェスはリチア人に原罪を知らぬ頃の人類の姿を投影させる、果たして惑星リチアは悪魔の罠なのか神の恩寵なのか?リチア人に良心は存在するのか?未知の世界に直面する人類の葛藤を宇宙規模で描き出した素晴らしい作品。

神の楽園を目の当たりにして見えてくるものは己の醜さだろうか?「悪魔の星」は惑星リチアをさすのか地球をさすのかは最終的に悩む事になるでしょう。2部構成の物語は前半が惑星リチアに関する調査団のレポートや調査団それぞれの思惑が描かれ、後半が実際に植民地として運営される惑星リチアと地球との相互干渉が描かれている。圧巻なのは、その相互干渉をキリスト教の宗教観の一つ原罪を惑星間干渉によって引き起こしている所!当初は植民地政策や宗教改革の物語かなと安易に感じたのだけれども人類の良心に迫る物語は素晴らしい、人類に罪がもたらされたのは物語のような出来事があったからなのか?そして罪を送り出す一役を買った蛇になってしまった人間の苦悩や葛藤はどんなものなのか、宗教的な観点から読み解くのも面白いかもしれませんね。そもそもキリスト教関係に疎い日本人にはあまり馴染めない作品でもあるかもしれませんが、作者自身宗教中心の話題ではないと言っているように新惑星発見というハードSF作品として読む事が一番楽しめるのではないかなと思います。新惑星の知的生命体といえば相互干渉による宇宙戦争なんて安易なSFも乱立する世の中ですが、SFの名だたる名作と称される作品はだいたいにおいて社会的・精神的な干渉を描いているように思える、この作品も人間の良心を中心に惑星間干渉を描いた逸品といえるので読み応えは抜群といえるでしょう。干渉が意図的であれ偶然であれ、それが是であれ非であれ人類が自然に関わる事で何かしらの影響を与えてしまうといった事を考えさせられる作品でもあると思います・・・ハードSFが好きな読者にはたまらない名作。


悪魔の星 (創元SF文庫)
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