『十二番目のカード』 ジェフリー・ディーヴァー | ほんとなかよし

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だったらいいな・・・

ハーレムの高校に通う16歳のジェニーヴァが、博物館で何者かに襲われそうになるが、機転をきかせて難を逃れる。現場にはレイプのための道具に、1枚のタロットカードが残されていた…。単純な強姦未遂事件と思い捜査を始めたライムとサックスだったが、その後も執拗に少女を付け狙う犯人に、何か別の動機があることに気づく。


強姦未遂事件は、米国憲法成立の根底を揺るがす140年前の陰謀に結びついていた。そこにジェニーヴァの先祖である解放奴隷チャールズ・シングルトンが関与していたのだ…。“140年もの”の証拠物件を最先端の科学捜査技術を駆使して解明することができるのか?新鮮かつ強烈な刺激満載の好評シリーズ第6弾。


内容「BOOK」データベースより


博物館で先祖チャールズ・シングルトンについて調べていた少女ジェニーヴァが突如襲われそうになる、現場にはタロットカードが一枚「吊るされた男」とレイプパックが残されていた。通り魔的偽装の裏にプロの殺し屋の影を感じたライムは、殺し屋と依頼者特定に乗り出す。“アベレージ・ジョー”は自らの逃走の為なら一般市民を傷つける事に躊躇しない残虐非道な殺し屋、ハーレムという土地柄を最大限に駆使し少しずつだが確実にジェニーヴァに迫る血で絵を描く男“グラフィティ・キング”、危険な男が迫ってくる中ライム達はジェニーヴァを守る事が出来るのか?そして彼女が狙われる動機を見つけ出す事ができるのか!?ライムシリーズ第6弾「十二番目のカード」、ミステリ作品における重要な要素である動機に驚く一冊です。

凶悪な殺人犯が実は愛する人の復讐が動機で犯行していた!なんて終盤にほんわかする作品に馴染み深いのは現代日本人気漫画の影響でしょうか・・・ディーヴァーの作品にそんな生ぬるい動機なんてものは一つとして存在しない、どんでん返しがお得意のディーヴァーですが動機そのものがどんでん返しする事もしばしば、特に今回の作品は動機どんでん返しが際立っていた印象を受けます。と言うのも猟奇性や残虐性が他のライムシリーズに比べていくぶん少ない進行で物語が展開されます、140年前の事件が絡み合ってきそうでなかなか絡み合わない所も「十二番目のカード」にスリリングさを損なわせている所ではないかと思います、全体的に謎や不可解な事が多すぎて面白くない!・・・と上巻だけ読んで思うでしょう。しかし下巻に突入し特に後半部分に差し掛かった時には読者はディーヴァーのどんでん返しに夢中にさせられている事と思います。事件の動機が二転三転どんでん返しされる度に読者は、そう来るか!と唸る事になる、まさか140年前の事件がそういった具合に絡んでくるなんて、こんな計算が出来上がっていたんだと素直に驚く事になるでしょう。動機の面白いミステリは読んでいるだけで楽しい。

アメリカ文学の宿命とも言うべき人種差別(特に黒人差別)を取り扱う作品なだけに果たしてどんな作風に仕上がるのだろうかと最初は不安だったのだけど、流石はディーヴァーでした、残虐非道な事件とは対照的に希望や未来に満ちた志向を与えてくれる数々の人生の教訓や価値観を与えられたような印象を受けます。悲劇を乗り越え生を渇望したライムが発する言葉の数々は読者の胸を打つ、ライムシリーズの素晴らしい点をまた一つ見つけたような気がします。



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