ニューヨークの音楽学校で殺人事件が発生、犯人は人質を取ってホールに立てこもる。警官隊が出入り口を封鎖するなか、ホールから銃声が。しかし、ドアを破って踏み込むと、犯人も人質も消えていた…。ライムとサックスは、犯人にマジックの修業経験があることを察知して、イリュージョニスト見習いの女性に協力を要請する。
超一流イリュージョニストの“魔術師”は早変わり、脱出劇などの手法を駆使して、次々と恐ろしい殺人を重ねていく。ライムたちは、ついに犯人の本名を突き止めるが、ショーの新たな演目はすでに幕を開けていた―「これまでの作品のなかで最高の“どんでん返し度”を誇る」と著者が豪語する、傑作ミステリ。
内容「BOOK」データベースより
ジェフリー・ディーヴァーが贈る最高傑作リンカーン・ライムシリーズ第五弾「魔術師」(イリュージョニスト)。第一の専門はイリュージョン、年齢国籍性別を問わない早変わり変装、被害者や警察の目を欺くための物理的誤導(注意をそらし)と心理的誤導(疑いをそらす)を駆使し演目に見立てた凶悪な殺人を繰り返す犯人、ライムは専門的な見地からアプローチをとイリュージョニスト見習いカーラを捜査に加えるのだが・・・最後の最後まで予測不可能な物語と千変万化する状況はイリュージョンショーそのもの!果たしてライムは犯人の真の目的に辿りつく事が出来るのだろうか!?天才VS魔術師のショータイムが始まる。
多くの読者が感じた事は、作中に様々な凄腕の魔術師(イリュージョニスト)が登場するのだけれども本当の魔術師はジェフリー・ディーヴァーその人だという事ではないだろうか?大掛かりな装置や音響といった場の空間を制圧し観客を魅了する事がイリュージョニストであるならば、活字と読者の想像力のみで文字通りイリュージョンを行なっているのだから作者が如何に凄い人物であるかは言うまでもない。確かにあとがきにあるように“どんでん返し”に拘り過ぎであるといった指摘は的外れではないと感じる、犯人の最終的な目的から考えて過剰すぎる殺人演出はどうなの?と感じた人も多いかもしれないが・・・ライムシリーズは今作第五弾なのである、ディーヴァーの“どんでん返し”の腕を既に経験した読者が今作を読むので一筋縄でいかない物語を構成しなければならない使命を帯びた作品なのである。そんなハードルの高いシリーズ作品にも関わらず読者がワクワクどきどきしながら“どんでん返し”展開を楽しめるのだからやはり作者は凄い。犯人の特技の一つである誤導だが、本書において一番誤導の被害者となるのは読者自身であるといっても過言ではないだろう・・・今作品は特に犯人の最終目的が不明な点が最大のミステリといえる、私のようなミステリ経験が少ない読者はあっという間にミスリードの術中にはまって間違った推理を得意気に披露してしまうだろう、今回こそ読めた!と思ったのが大失敗。ディーヴァーの作品は一瞬たりとも気を抜いてはならない。息もつかせぬタイムリミットサスペンスにどんでん返しの数々は健在。
さて、本書におけるキーとなる登場人物は捜査協力者でもあるイリュージョニスト見習いカーラの存在だろうと思われる、イリュージョンの豊富な知識の提供はもちろん捜査にも率先して参加する彼女なのだが・・・最初から最後まで目の話せない登場人物であるとだけ言っておこう。ジェフリー・ディーヴァーはイリュージョンショーを見て感動し本書を執筆したとの事であるが、構成力はもちろん自らが描きたい作品を創作する技術が高くなくてはこうも良質の作品を連発出来ないのではないだろうか?まるでショーを見ているかの様な作品に読者は魅了され感動する事になるだろう、秀逸な作品である。
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