『ロングロングアゴー』 重松 清 | ほんとなかよし

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だったらいいな・・・

最後まで誇り高かったクラスの女王さま。親戚中の嫌われ者のおじさん。不運つづきでも笑顔だった幼なじみ。おとなになって思いだす初恋の相手。そして、子どもの頃のイタい自分。あの頃から時は流れ、私たちはこんなにも遠く離れてしまった。でも、信じている。いつかまた、もう一度会えるよね―。「こんなはずじゃなかった人生」に訪れた、小さな奇跡を描く六つの物語。


内容 「BOOK」データベースより


重松 清さんの作品はアンソロジー作品「あなたに、大切な香りの記憶はありますか?」で経験した事があります、その中の短編“コーヒーもう一杯”は題名通りコーヒーの香りから過去を思い出す物語でした。「ロングロングアゴー」も過去を思い出す意味で方向性が似ている作品でした。大人になった登場人物たちが各々の少年少女時代を思い出し現在と比べたり当時を分析する等様々な形で過去を思い出す、改題前の「再会」という題名通りに過去の自分達に再会する物語です。本作の興味深い所は、過去を美化したり郷愁を誘うような受けを狙う読者に媚を売るような展開が少ない点でしょう。いじめに自らの傲慢や偽善といった劣等感や罪悪感を思い出す人物が多く全ての物語が全体的に暗い色調を放っています。だからこそなのですが、内容紹介にある“小さな奇跡”が活きています!物語や過去が救済される訳でも展開が一新する程の力もない程度の奇跡なのかもしれませんが、一条の光の様に物語の闇を照らす“小さな奇跡”は読者の胸を打つ。結末は読者の望む形では無いかもしれない、でも素敵な結末ばかり

が待ち受けています。登場人物がじっくりと辿るように最後までじっくり味わって読んで欲しい一冊。
私の一押しの短編は「チャーリー」、大人になった自分から振り返ってみてイタい自分だった少年時代と瓜二つの生き方をしている我が子を前に、スヌーピーの登場人物であるチャーリーを掛け合いに出して時にはチャーリーに語りかけ(問いかけ)ながら過去を回想する男性の物語。イタい事に無自覚で、振り返ってみれば“いじめ”に近い人間関係にすら気付かず懸命に何かを成そうとしていた自分、成長の要素の中に社会適合といった項目が存在するとして次第に周囲や環境に適合出来なくなっていた自分を自覚しはじめた矢先に一人の先生が登場する、先生は特別何かを教える訳でも教訓めいた事をする訳でもありません、でも先生の抱える大人(社会)の事情を知る事で社会と個人の在り方を学んでゆく・・・大人と子どもの線引きは簡単にはいかないものです、実際にこの物語でも確たる線引きが成されている訳ではありません、ですが何かを失ってしまった(同時に得てしまった)自分が変化する前の自分と瓜二つの我が子と以前童心のまま変わらぬ姿で存在するチャーリーを前にした男性の胸中は子どもから大人へ成長する事に対する虚しさであったり悲しさが存在するように思えました。「なんで?」と問いかける少年・・・いつしか問いかける事なく様々な事を理解した気持ちになって自らで消化する事が出来るようになった男性、あえてもう一度子どもだった自分(チャーリー)に問いかける姿がとても印象的な作品。



ロング・ロング・アゴー (新潮文庫)
重松 清
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