『リアルワールド』 桐野 夏生 | ほんとなかよし

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4人の女子高生、ホリニンナ、ユウザン、テラウチ、キラリン。ホリニンナの隣家の高校生ミミズが母親を殺して逃亡した! 4人はミミズの逃亡を手助けすることに。現代の高校生の心の闇を描く、力作長編。


出版社/著者からの内容紹介


10~30代の女性から薦められる事の多い桐野 夏生さん、現代女性の心理描写を捉えていると賞賛する人が多く、勝手ながら若手人気作家さんのイメージを持っていましたが、なんと還暦を迎えてらっしゃるとの事で驚きました。「リアルワールド」発表時で既に50才を超えているわけで、登場人物や(薦めてくれた)読者層からすると完全にオバハンの領域の方って事になります、つまり大人は解ってくれないなんて若者の台詞を吐かせながら吐いてる世代に支持される大人という矛盾を見事にやってのけるオバハンという事になります、オバハンといった表現は悪く聞こえますかね?でもそれぐらい凄い事をやっているのです。よく年配のスポーツ選手の事を鉄人と言いますが、女性精神面の鉄人と言えるのではないでしょうか・・・「リアルワールド」は、母親殺しの少年と事件に関与する事になった4人の女子高生の計5人の視点で描かれる物語、逃走の果てにたどり着く少年の心理、友情では見えない心に潜む問題を抱える4人、それぞれの前に訪れる現実(リアル)とは、そして繰り返し提起される「取り返しのつかないもの」とは!?作品の印象は、多人数視点で語られる一つの事件であるが伏線を絡めて一本の物語が展開されるタイプの作品ではなく、一つの事件を基にしてそれぞれの視点・結末が訪れる形式になっており一義的では無く多義的な作品と考えられる。例えば、犯人である母親殺しの少年であるが前半と後半で全く異なる人物かと思える豹変ぶりを見せたり言動不一致な点も多くみられた、これを登場人物の未成熟な年齢設定と読むか、言葉では語りつくせない現実社会の揺らぎと読むか、どちらにせよ物事を多角的に考えさせられる事になると思います。登場人物は基本的にメランコリックに陥り自分は他人とは違う特別な存在というヒロイズムに陶酔する典型的な思春期特有の兆候を特出して体現しているような人物ばかりで、性同一性障害などの特殊な性格設定などを除けば誰しもが経験や思考に及んだ心理描写が多いため共感といった表現で感想を綴る人が多いのも納得が出来ます。また、独白部分と他者を欺き自分を偽る部分の使い分けの上手さは抜群です!およそ自分が男だと下らないプライドを持つ人間が聞けば胸糞が悪くなるような舐めた口調で話す女の会話が続いたかと思えば、俺が守ってやらなきゃと思わせる様な心の闇を吐露する弱音がポロっと零れだす、このギャップの使い分けは素晴らしいと思います。多数の視点で綴られるアンダーグラウンドな物語、「告白」の湊 かなえさんに近い印象を受けました。女心?(まぁダークな面が主ですが・・・)満載の作品ですので女性の方に特にオススメの一冊。



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