娘の緑子を連れて豊胸手術のために大阪から上京してきた姉の巻子を迎えるわたし。その三日間に痛快に展開される身体と言葉の交錯!
出版社 / 著者からの内容紹介
川上 未映子さんの作品を語るときに必ずといってよい程に紹介されるのは独特の文章スタイルだと思います。改行や句読点が少なく流れるように書かれている文章は他の作家さんでは味わえない異質な雰囲気を醸し出していることは誰が読んでも感じる事ができるかと思います。また関西弁を使った作家さんとしても名を馳せた彼女の作品は異端児系作家さんとして紹介されている事が多いように感じます。私が川上 未映子さんの作品で最初に読んだのは「ヘヴン」。関西弁を封印した作品として紹介されていたのに興味を惹かれて書店で買ったのを覚えています(めずらしくハードカヴァーで買いましたっけ・・・)当初、関西弁と独特の文章で名前が売れた若手美人作家さん♪と正直侮っていましたし、通ぶった読書家が語るように芥川賞などは出版社サイドの販売目的選考だぁなんて世迷言を盲目的に信用していた時期でもありました、そんな時に「ヘヴン」を読み。少なくとも私の読書観は変わったように思います。凄いと評価される作家や作品は、凄い!こんな当たり前の価値観を再認識させてくれたように思います。思えば、その時期から人気作品や作家さんを素直に読むようになったり、人から紹介される本を信用して読む事が出来るようになった・・・そんな私のターニングポイントな作家さんが川上 未映子さんです。「乳と卵」女性のアイデンティティー色の強い作品との事から敬遠していたのですが、読んでみるとこれまた面白い!「生」や「性」に悩む女性の話題、自我の芽生えなんていうテーマの話題であるにも関わらず俯瞰的で冷笑的な視点でクスッと笑って読めるコミカルなテイスト。解決法や打開策が提供された訳でもないのに安心感を与えられる。深層心理が垣間見えたようで不可解なまま終る。といったなんとも奇妙な印象を読後に受ける作品であります。「大切な事は辞書に載っていない」的なメタファー色の強い発言が飛び交う作品ですので、何かを得るというよりも何かを考えさせられる作品だと思います。「ヘヴン」ではニーチェが引用されているなど、哲学めいた内容が含まれているのも川上さんの作品の特徴かもしれません・・・「乳と卵」でも謎の名言・哲学が度々登場するので、感慨に耽ってみては如何でしょうか?苦手と言う人もいるけれども、リズミカルな文体は僕は大好きです。オススメできる作家さん。
