時空を超える“タイムマシン”を発明したタイム・トラヴェラーは、80万年後の世界へ飛ぶ。そこは、地上に住む華奢で穏やかなイーロイ人と、地底をねぐらにする獰猛なモーロック人という2種族による原始的な階級社会だった…。SFの不朽の名作を、巽孝之氏の解説で読み解く。
内容 「BOOK」データベースより
「SFの父」と呼ばれるウェルズの不朽の名作「タイムマシン」。SF小説創世記の物語が今も色褪せる事なく楽しめる。これは凄い事です!1895年に日の目を見た作品が、1世紀経て尚読めるとは恐ろしい・・・むしろそれ程の作品だったからこそSFといったジャンルが生み出されたのだと言っても過言では無いのかもしれません。「タイムマシン」は、その題名通りの時空を越える装置を開発・使用した男が語る未来の体験談である。SF作品を語る上で一番やってはいけない事、微に入り細を穿つような科学根拠に寄る解釈や視界であろう。タイムマシンそのものの理屈や理論は、現時点では実現不可能な科学なので、まさにファンタジー部分であるのでこれをとやかく言う輩はSFを今後一切読むべきでは無いと思う。第一本作品の魅力もタイムマシンそのもののファンタジー性よりも、それを開発・使用した男が体験した圧倒的悲観論の延長線上にある未来像にあるように感じる。人類が漠然と抱える科学技術発展の先に感じる不安や焦燥といったものであったり、未来と言う不確定なものを予想する上で生まれる最終的な終末思想といったものが作品からありありと感じる事が出来る。SF作品は産業革命以後に急速に発展したジャンルと言われているが、人類と科学の関係性を描く文学作品として必然と生み出されたものなのかもしれない、なんてことを感じさせてくれた作品でした。
私が非常に面白いなと感じた点は、1世紀前に書かれた作品であるにも関わらず・・・地球の温暖化(寒冷化)が不安視されていたり、貧富の差が生み出す格差社会が社会構造上の問題として挙げられている点でした、なんと100年前と今と言ってる事が変わっていない・・・だからこそ作品を楽しめる訳でもあるのですが、科学技術が進歩発展している様に思っていても根底部分の人類の不安が全く解消されていないどころ変わる事なく付きまとっているという事に気が付く。これは人類が進歩していないと解釈するか、不安が消えないからこそ科学が進歩するのだと解釈するかで大きく変わってくるとは思いますが非常に興味深い・・・そしてウェルズが想像した不安の無い未来が訪れたならば・・・「タイムマシン」の世界が本当に訪れるのかもしれませんねぇ?SFの父にSFがなんたるかを教えてもらえる一冊。
