誰もが知っているグリム童話やロシア民話、ピノッキオなどが、ロダーリ流の現代的なセンスとユーモアやアイロニーでよみがえる。表題作ほか「魔法の小太鼓」「哀れな幽霊たち」「星へ向かうタクシー」「旅する猫」など。
内容 「BOOK」データベースより
「それぞれの物語には3つの結末があります。巻末に、著者自身はどれが好きなのか書いて置きました。みなさんも結末を読み、考えてみてください。自分でつくることもできるでしょう。」(ジャンニ ロダーリ)帯封に惹かれた一冊。おとぎ話や童話がモチーフの短編集ですが、全ての物語に3つの結末が用意されています。面白い結末、悲しい結末、不快な結末、考えさせられる結末、簡潔な結末、納得がいかない結末、投げやりな結末・・・多種多様な結末を迎える物語。気が付けば読者は自分好みの結末を選択し、そして自ら結末を書くとすればと想い描くことでしょう。結末は物語の最重要部分でもあるので、その部分に多様性を持たせた事はとても面白い作品である。童話と言うと、日本の昔話のような曖昧な結末を嫌う傾向があり決着をつける志向が強いと言われます、それゆえ自ずと結末は一つといった形式になりがちなのですが、その結末の数を増やす事で想像力を沸き立たせファンタジーの世界に誘ってくれるのが本書の魅力だと思います。ファンタジー調作品ではありますがファンタジー一本調でない点も素晴らしいです、大人が読んでも納得の行く現実思考の結末が存在していたり、あまりに空想的な物語が存在したりと幅広い層が読める作品です。そして何よりも本書で評価したいのは、児童文学作家として実際の児童と接する事で選択された結末を大切に作品に反映しているロダーリの姿勢でしょう・・・あとがきに記された児童の想像力発揮を念頭に置いたロダーリの考え方や価値観は、教育者のみならず全ての児童に接する人々に読んで貰いたい程に優れたものです。「ロダーリ流児童教育論」なんて展開すれば一つの形が生まれるんじゃないかなぁ~なんて思ってみたり。想像の世界に浸れる一冊。
